第57話 陰陽師は分身する
二人が襲われている。
どちらを助ける?
そんなの決まってるだろ。
両方助けるだ。
二つ目の切り札を切る。
仙術の本を持って。
「カタログスペック100%」
なんの仙術修行をしたかというと断食。
そして、日めくりカレンダーをめくりまくった。
仙人になれたはずだ。
西遊記の本を持って、俺は髪の毛を2本抜いた。
「カタログスペック100%」
そして髪の毛に息を吹きかけた。
俺の分身ふたりが完成。
「分かっているな」
「おうよ」
「おうよ」
俺は分身に装備を持たせて、分身ふたりがスクーターに乗ったのを見送ってから、バンに乗った。
分身達よ、頼むから上手くやるんだぞ。
不動金縛りを授けておいて良かった。
マンションのベランダから手を振る
俺は動かないスケルトンに護摩の灰を掛けて回った。
マンションのエレベーターは異常なしだった。
「はーい」
ドアを開けたのは
「無事で良かった」
「もう、スケルトンの大群が襲ってきた時はどうしようかと。それでね気づいたの不動金縛りがあるって。あれなら離れた所でもできるでしょう」
「それほどピンチじゃなかったな」
「でも、時間が経つと金縛りは解けるのよ。だから、また掛けないといけないし。だるまさんがころんだを命を賭けてやっている気がしたわ」
「
「ええ、気をつけて」
『気に掛けてもらって羨ましい』
『グリプロに入りたい』
『私はファンでいいや』
『私も』
『そうそう、だって芸能人になったら、ふびと様に恋はできないものね』
『だよね』
「運転手さんお願い。急いで」
「わかってまさぁ」
バンは
現場のマンションの1階は既に破壊されていた。
スクーターが停まっていたので、分身は無事到着したようだ。
エレベータに乗ろうとしたら、止まっていたので階段を駆けあがる。
2階も全滅だ。
3階からであろう、戦闘音が聞こえた。
階段を駆けあがる。
分身が血まみれでスケルトンと戦っていた。
「カタログスペック100%。ノウマク・サマンダ・ボダナン・オン・マリシエイ・ソワカ」
俺は隠形法して近寄って護摩の灰を投げた。
スケルトンが溶けていく。
「ご苦労様」
分身に声を掛けると分身は髪の毛に戻った。
どうやら、間に合ったな。
「うわわん、恐かった」
「よしよし」
俺は
『やっぱり、後輩になりたい』
『思った』
『くっ、心が揺らぐ』
『なでなで券を所望する』
『ハグ券も』
「警察のヘルプに戻るよ」
『了解』
『寝ないで、活躍を見てる』
「じゃあ、行くから」
「うん、気をつけて」
女の子を交番に届けないとな。
交番の前に到着した。
「ご苦労様です」
「忙しいから、些細な用事だったら後にしてくれ」
「スケルトンに襲われていた女の子を保護したんだ」
「それはご協力ありがとうございます」
女の子がバンから出てきた。
「詳しく聞かせてもらえるかな」
「忙しいから調書とか後にしてほしい」
「そういうわけにもいかないのは分かるだろう」
「仕方ないな」
俺は状況を説明した。
「済まなかったね。あとで感謝状が出るかも知れない。外出禁止令を無視した事は不問に付してやる。早く家に帰るんだぞ」
調書を取る間に無線連絡があってそれを聞いていたから、スケルトンが大体退治されたのは知っている。
どうやら山場はこれで終りのようだ。
態勢を立て直した警察の敵ではなかったみたいだな。
そして、夜が明ける頃には、多数の被害者を出したが、スケルトン全ては退治されて、なんとか騒動は終わった。
テレビによると、警察の対応に多数の苦情が寄せられたらしい。
警察も報われないな。
スケルトンに対する専門の部署を作るという報道があった。
警察主導でやるか自衛隊主導でやるか揉めているらしい。
政治のやることは遅いな。
何となく、もう終わりが近いような気がしている。
なぜなら、怨霊に頼らないとバフを掛けられないというのが、邪神の弱体化を如実に表している。
もうそろそろ、打つ手がなくなるはず。
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