第20話 陰陽師は本物の霊能力者を知る
朝、朝食を終えて登校しようと、準備していた時にチャイムが鳴った。
俺が扉を開けると、よれよれのコートを来た渋い中年と、若い歳のスーツを着た女性がいた。
知らない奴だ。
「どちら様?」
「○△警察署の刑事、
とダミ声で言われ、警察手帳を見せられた。
「父さん、警察の人だって!」
「上がってもらいなさい」
俺は上げたくなかったが、父さんは違う意見らしい。
「じゃあ、どうぞ」
「邪魔するよ」
「お邪魔する」
二人をリビングに案内した。
「ご用件は?」
二人がソファーに座ったので父さんが尋ねる。
「甘露という麻薬をご存じないですかな」
「知りませんな」
「またまた、お惚けを。あなたのアカウントで出品されている」
「ああ、ネクターポーションのことですか?」
「ほう、あれの正式名称はネクターポーションですか。あれをあなたが出品したと認めるのですね」
「息子が作りましたので」
父さんは隠さない方向で行くらしい。
「俺が作った。麻薬と言ったが、そういう成分でも出たの?」
そう俺が尋ねた。
「出ないですな。富士山の天然水と書かれていて、その通り水の成分は富士山の物と一致します」
「じゃあ問題はないわけだ」
「おおありです。あれを飲んだらけがも病気もたちまち治る。下手な麻薬より始末が悪い。何せ文字通り不死身になれるわけでして。悪用されてないのが不思議ですな」
「ふーん、逮捕状は出ないわけか」
「絶対に出しますよ。私の目の黒いうちはね」
「それで何を聞きたいの。父さんは答える方向だから、全部答えるよ」
「ほう、どうやって作った?」
「天然水に術を掛けたんだ」
「うそだ。霊力の欠片も無かったぞ」
今まで黙っていた女性が口を挟んだ。
霊力ときたか。
本物の霊能力者で、警視庁に協力しているのかな。
「名前を聞いて良い?」
「資料係の
そう言って名刺を出された。
警視庁・資料課、
あんまり詳しくはないけど、そんなイメージを持った。
「霊力って何?」
「魔力、妖力、気、神力、霊力、呼び名は違えど、全て同じだ」
「へえ、そうなんだ」
別に驚きはしない。
異世界でも同じだったからな。
魔力を燃料にスキルは動く。
この世界の燃料とする力も同じだろう。
唯一の例外は俺のスキル。
使用回数に制限はない。
「基礎を知らないということはあなたが術を掛けた訳ではないのだな。ネクターポーションはどんな妖が作ったんだ。それとも神が」
「今から作って見せるよ」
俺はペットボトルを用意した。
蓋を開けて天然水数滴と水をコップに入れて、
「何の効果もないな」
「じゃあやるよ。カタログスペック100%。ノウモ・バギャバテイ・……ソワカ」
手を合わせて薬師如来印を組んで、真言を唱え始めた。
光のオーラを放つ天然水ができ上がった。
「嘘だ。今のは何だ? 何の力も感じない」
「落ち着け」
「どんなカラクリがあるんだ。分からない。オン・マユラキラティ・ソワカ」
おお本物の術か。
初めて見る。
「嘘っ、反応がない。邪気を含んでいないことは確かだ」
そう言ってから、
「くうう、まるで神仏に触れたような感覚。でも霊気の欠片もない」
「分かったか。これがすべてだ」
「こんなことあり得ない」
「話がそれだけなら、俺は学校に行く。話ならいつでも聞くから、今度はアポを取ってくれ。これでも忙しい」
そう言って俺はマンションから出で駐輪場に向かった。
そして、スクーターのエンジンを掛けた。
スクーターを走らせ、親戚の家の庭に停める。
さっきの、
孔雀明王の真言か。
俺には何にも感じなかったが、本物の霊能力者なら何か感じるのだろうか。
まあいい。
俺にはカタログスペック100%スキルがある。
これさえあれば問題はない。
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