第29話 陰陽師は呪いを解く
家に帰ると
「アポを取れと言ったよな」
「許してほしい。緊急なんだ。ネクターポーションが呪われた人間に効果があるとは分かったが、完治までには至らない」
「呪いの浄化か。調べて見る」
「急いでくれ。呪いで死んだ奴は骸骨の妖になってしまうんだ。仲間のあんな姿は見たくない」
ええと、パワーストーンには呪いを解くというのはないな。
「護摩の灰はどうだった?」
「効果はあったが、進行を遅らせるだけだ」
検索を掛けて見たら、呪いを解く刀印護符がある。
護符の画像と効能をプリントアウトする。
それと形代の画像と効能もプリントアウトした。
「準備は出来た。患者の所へ」
しめ縄がしてあるところが普通の病院とちがう。
神棚や狛犬もある。
「神域病院だ」
こんな施設があるとはな。
患者のところにいくと皮膚に黒い痣が広がっていた。
「じゃあ始める。カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
プリントアウトした護符をなぞり、早九字を唱える。
黒い痣と光が戦い。
光が勝ったようだ。
痣が綺麗に消えている。
「まだ、患者はいる」
「分かっている。次はこれだ。カタログスペック100%」
プリントアウトした形代と効能を取り出して、術を掛ける。
形代とは人間をかたどったもので、紙に書いた人形だと思ってくれたらいい。
年齢と名前を書き込み、患者にこすりつける。
患者の黒い痣が消え、形代が真っ黒になった。
「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
形代を燃やした。
形代が光に包まれ灰になる。
「形代の方が効率がいいな。患者の名前と年齢を書いて、こすりつけてくれ」
「分かった。すぐにやる」
看護婦が手分けして形代に書き込む。
集まったところで。
「カタログスペック100%。臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
形代を燃やした。
「助かった礼を言う」
「礼なら、秘伝書とかで返してもらいたい。代々の霊能力者なら持っているだろ」
「くっ、それは出来ない。それをすると弱点も何もかもさらけ出すことになる。どの宗派に聞いても同じ答えだろう」
「初級の奴でも?」
「基本の技は奥義に繋がっていることが多い」
「仕方ないな。じゃあ、貸し一つだ」
「捜査には手心を加えられないぞ」
「分かっている。ところで俺の術のことは何か分かったか?」
「今も信じられない。我らの祈祷ではあまり効果がなかったのに」
「ネクターポーションは値下げするから、たくさん仕入れてくれ」
「それはありがたい」
「わけのわからない物でも使うのだな」
「宗派が違えば物はだいぶ変わるのだ。ただ邪気のある物はわかる。わたしは自分の勘を信じる」
全ての呪いを治療して、病院を後にした。
技の書いた本は駄目なのか。
それがあればカタログスペック100%の役に立ったのに。
「史郎ちゃん、彼女が来ているわよ」
家に帰ると、
家の場所は
「いらっしゃい。母さん彼女じゃない、クラスメイトだ」
「そういうことにしておいてあげる」
「魔石発電のニュースをみたかね」
「いいや」
リビングのパソコンで検索する。
スケルトンから採った魔石で発電するらしい。
夢のエネルギーと書いてある。
「凄いと思わないかね」
「スケルトンは邪悪だ。良いものとして思われたくない」
「ふむ。だが、エネルギーに良し悪しはないと思うがね」
異世界でも魔石は魔道具に利用されていた。
邪神のいやらしいところだ。
モンスターを必要不可欠な物として定着させていた。
この世界でも同じことになるのかな。
スキルがないこの世界では、呪いに対抗する手段がないのに。
「呪いの対抗策ってないのかな?」
「西洋では妖には銀の弾丸を使うそうだ」
「銀は邪を払うのだったな。俺のスキルにぴったりだ」
俺には拳銃を持たせては貰えないだろうけど、あとで
「スケルトンの魔石が欲しいのである。ひとつ手に入れてはくれないかね」
「機会があればな。だけど、いまのところ望み薄だ。おそらく国が回収してしまう」
「やはりメイクしないと駄目か」
「美人になったからと言って法律は破れない」
「やってみなければ分からないのではないかね」
「はいはい」
俺に眼鏡属性がなかったのが幸いだ。
「美人さんね。少し変わっているけど、彼女にぴったりだと思うんだけど」
「母さん」
「でどうかね。魔石を採りにいってはくれないかね」
「却下だ」
「だが、メイクは気に入ったのである」
「あとで特別な化粧品を送っておく。勉強すると良いよ」
災いを遠ざける天眼石も大量に仕入れて、他のパワーストーンも一通り買った。
俺の周りにいる女達は手が掛かる。
何かの呪いかな。
形代に呪いを移すべきだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます