第28話 調査結果 ➀

表の売店でクレープとコーヒーを買って、フードコートへ移動する。

僕はチョコクリーム、彼女は苺クリームで。


「ん〜っ、美味しい!」


声に出さなくても伝わるような嬉しさいっぱいの表情で、大きなお口でクレープを頬張る彼女を見つめる。


「あれ?何かな?」


「うん、おっきなお口でほっぺにクリーム付いてて、嬉しそうだな〜と思って?」


クリーム付いたままで、


「そうね、嬉しいわよ?甘い物は幸せを呼ぶのよ。」


「へ〜、そうなんだ。」


「……………後で話すけど、中々食べられなかった時期が有ってね。」


うん、実は知ってたりする。

もう、調査結果の第一報が昨日の内に来てるからね。


「じゃぁ、今、幸せ?」


「うん、とっても!」


「それが、僕と一緒でもかな?」


「一緒だからこそよ?」


「……………恥ずかしくなることを、サラッと言うね?」


「へぇ〜、意外な反応だね?」


「本当に好きになった人とこうしてデートするのは、初めてだからね?」


恥ずかしくさせてくれたお返しに、言ってみる。


「へっ?……………すっ、スススス……ッ」


「雀でも居たかな?」


「……………由美香さんは、違うのかな?好きじゃぁなかったのかな?」


「由美香は、『家族』だったからね。好きと言うより、『大好き』かな?養子になって一緒に宿を継ごうと思った位には。」


「……………ふ〜ん?そっか〜、家族か〜。大好きなんだ〜。今でも『大好き』なのかな?」


「勿論だね。そうでなかったら毎週通ったりはしないさ。」


食べ終わって、コーヒーを啜りながら何か考え込んでいたと思ったら、ボソッと呟いた。


「家族って、どこまでが『家族』なんだろう?」


「人それぞれだと思うよ。」


「……………『人それぞれ』か……………私の『家族』って何だろう……………」


「少なくとも4年間は僕が『家族』だからね。」


「ん、ありがと!でも、恋人じゃぁないんだ?」


「それは、大好きになって、『家族』になった後でもいいかなと思ってる。これからの話だね。」


「……………なんか、順番が変だね?」


「それこそ、人それぞれだからね。僕と由美香は家族にはなれたけど、恋人にはなれなかったから。だから、僕と4年かけてお互いに大好きになってから、まず『家族』になろうか?」

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