第3話 道の駅 『昭和』 ②
気分良く走り抜けたコースを後にして、再び広域農道から道の駅まで慎重にペダルを漕ぎ続ける。
自転車用のレーンは有るものの、危険なことに変わりはないので。
そこそこ交通量が増えていて、帰り着く頃にはメインの駐車場は満車に近くなっていた。
自家用車の後ろに愛車を止めて、車の荷台で素早く汗を拭き着替える。
更衣室などという洒落たものは無いからね。
一応、カーテンを引き、外からは見えないようにはしているけどね。
さて、愛車を収納して、食事して、次の目的地へ向かいますか。
売店やフードコートが開くのは9時なので、まだ少し時間がある。
そういえば、今までは余裕が無くてどんな施設か知らなかったなと思いついて、広い場内を歩き始めた。
前二回は、バテ過ぎて周りを見渡すことなんか全く無かったし。
少しは進歩したのだろうか?
ひと回りして、まもなく開店する入口に向かっていると、外のパラソル付きの椅子に腰掛けた知人女子を見つけてしまった。
入学してまだ2週間の大学の同期生で、地味な子で、学部が一緒なので必修科目は被っているけど挨拶以上には親しくないんだよね。
地味なのは、僕も人のことは言えないんだけどね?
でも、ここは大学からかなり離れているし、人違いかも?と思いながら後ろを通り過ぎようとした時に、スマホの画面が見えてしまったんだよね。
見るつもりは無かったんだけどな。
動体視力には自信があるけど、変なところで役に立つんだよね。
その、出会い系サイトの画面には、『ホ別苺でどうですか?ゆう子ハタチです!』と表示されてたんだ。
まあ、他人の事だし、首を突っ込むことも無いしなと思いながら、僕は混雑し始めているせいか時間前に開店したフードコートへと進んだんだけどね。
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