第7話 偽りのお誘い
「もしもし、甘木先生ですか?お久しぶりです、綾本です。あっ、息子のほうです。そんなに声が似てましたか?早速ですが、またお願いがありまして……………………」
こう言う事は、
甘木弁護士に話した後に所属の若手エースの粕谷さんに変わってもらい、依頼の詳細を伝えた。
単純に、藤城さんの荷物を、無条件で回収してもらうだけなんだけどね。
教科書とテキストやノートが無いと、来週からの講義に差し支えるからね。
あと、可能ならばと、藤城さんを騙したルームシェア相手の情報収集を頼んだ。
依頼の結果は、これからドライブなのでメールで一報をもらえるようにお願いした。
直ぐに動いてくれるように念を押して。
女性の部屋だから、回収は女性職員にやってもらってねと添えて。
着手金は、通話終了後にすぐにネットバンキングでいつもの金額を送金しておいた。
「あの〜、今の通話は?」
場所を僕の車の中に移してからの、通話終了後に聞かれた。
「僕の父の顧問弁護士事務所。」
「えっ、なんで…………………」
「それが一番確実で、早いから。マンスリーマンションでも締め出しや荷物の差し押さえは違法だからね。そこを突いて多少強引に進めるには弁護士さんに頼むのが良いんだよ。」
「でも、良いんですか?費用とかは?」
「僕から言い出した事だからね。頼まれたからには、最後まで面倒は見るよ?最後までね。」
「…………………ありがとうございます。」
「それよりも、この後、どうするつもり?行くとこ無いでしょ?」
「…………………………はい、無いです。」
「良かったらだけど、僕はこれから馴染みの温泉旅館に行くんだけど、一晩付き合ってくれないかな?」
「……………………………はぁあぁっつ!」
「正に、これが、『ホ別苺』だよ?明日の昼まで一泊で、これだけでどう?お願いできるかな?」
彼女の目の前に、左手で3本指を差出した。
「なっ、ななな…………………………っ」
「君がさっき、出会い系サイトでやっていたのはこういうことだからね?
ネットでやっていると、余り抵抗なかったのかもしれないけど、現実ではこんなもんだからね!
対面で話せないことは、話されて嫌なことはネット上でもやっては駄目なんだから。
あと、ネット上に書き込んだ事は消せないし、消せたように見えても何処かに永遠に残るんだから迂闊なことを書き込んじゃ駄目なんだからね。」
「………………………………………」
きつい言い方だけど、わからせてあげないとね?
もう二度としないように!
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