第11話 偽りの?一泊旅行 ④
「3時くらいには出たいから、よろしくね。休憩室で待ちあわせね。あと、これ、渡しとくね?使ってね!」
道の駅併設の、日帰り温泉。
今、2時過ぎ。
入湯料を二人分支払って、浴室へ向かう前に打ち合わせ。
チョット忙しいけど、暗くなる前に宿に入りたいからね。それに、今日はお泊まりだから宿のお風呂の他にも希望すれば近くの提携露天風呂にも入れるからね。
藤城さんに渡したのは、小銭の入ったポシェット。勿論、お札も入っています。
自販機や売店が有るのに、何も買えないのは寂しいからね?
「えっ?…………………チョット待って、いいんですか?」
中身を確認している藤城さんの引き止めを無視して、
「うん、遠慮は要らないよ、じゃあね〜!」
道の駅で藤城さんを『拾ってみた』から、いつもの予定より3時間ぐらい押してるからね!
あ〜、多分、彼女に遅いと文句言われるんだろうな?
それ以前に、藤城さんを見たらどんな反応をするか怖かったりするんだけど、それこそ自業自得と言われそうだからな〜?
『あの話』は、大分前に正式にお断りしてあるんだけど、本人だけは納得してくれてないから面倒なんだよね。
まあ、全部自分が悪いんだけど!
いつもなら岩盤浴なんだけど、今日は時間の余裕がないので残念ながらパス!
ゆっくりと湯船に浸かり、それなりに楽しかった道中を振り返ってみる。
「女の子」と話して、一緒に買い物と食事をして、自然に楽しかったのは初めてかもしれない。
藤城さんが僕のことをどう思っているのかが、非常に気になる自分に驚いているんだよね。
今までの会話や態度からは嫌われてはいないだろうと思うけんだけど、無理矢理選択の余地無く同室を強要したお泊り旅行に誘ったり、脅かしながらお説教したり、僕が選んだ下着を身に着けさせたり………………………
落ち着いて考えたらセクハラ以外の何物でもないしね?
これから嫌われたらショックを受けそうで怖いんだ。
そう思えば思うほど、迂闊に『手を出せない』んだよね。
まあ、成り行きに任せるしかないんだろうと思いながら湯から上がり、洗い場で頭を洗い始めた。
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