第6話 道の駅 『昭和』 ⑤
「……………………どこまで見えたの?」
「『ホ別苺でどうですか?』まで。」
「…………………………全部じゃないのよ!」
「で、空振りしたんでしょ?」
「………………………………………」
「藤城さんがそうゆう趣味の人なら放っておこうかと思ったんだけど、食事にも困るぐらいなら誰かに頼ったほうがいいよ?余り親しくなくても、例え名前ぐらいしか知らない人でもね。勿論、僕以外でも誰かにね。身体を売ろうとするぐらいなら、大抵の事は出来ると思うんだけど。」
「…………………実は…………………」
上京するに当たって、ネットで知り合った他大学の人とルームシェアしたものの、預けた部屋代が支払われておらず、荷物も持ち逃げされたようで、更に部屋の契約がマンスリーマンションタイプだったらしく昨日から部屋に入れなくなってしまい途方に暮れていたとのこと。
相手の連絡先携帯は通じず、SNSも返信は一言『ごめんね?』だけでブロックされて。
多分、名前他全部、偽名や偽の身分だろう。
まあ、相手は最初から騙すつもりだったんだろうな。
危害を加えられなかった事だけは良かったんだろうけど。これを言うと、ショックを受けそうだから言わないほうが良いよね?
ルームキーごと売られて、夜中に襲われる事も十分考えられたんだからね?
あっ、今後の彼女の事を考えると言っておいた方が良いかな?
後でにして、要検討とゆうことにしておこう。
「それで、切羽詰まって出会い系サイトに登録したと?」
「………………はい………………」
「で、サイトを通して呼び出されて此処まで来てみたと?」
「………………そう………………」
「部屋には、荷物は何が残ってたのかな?」
「教科書とか、着替えとか……………」
「他の荷物は?」
「金目の物は、コートや布団とかまで全部盗られたみたいで………………」
教科書やテキストは高値で売れるけど、そこまで極悪では無かったという事かな?
まあ、本物の大学生でもないと、書籍の価値はわからないか?
「不動産屋、連絡先わかる?」
「これ…………………」
バッグから取り出した、コピー用紙に印刷された、『警告書』。
明後日までに、前払い賃料が支払われなければ契約解除して荷物は違約金や保管料と引き換えでなければ返せないと書かれていた。
「任せて貰えるかな?お節介かもだけど?」
我ながら、お人好しだよね?
まあ、何時ものことなんだけど。
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