第25話 事後
食後部屋に戻り、一応確認しておく。
「念の為に聞くけど、今後僕はどうすれば良いのかな?」
「どうゆうことかな?」
「さっき、二人から『逆プロポーズ』紛いのことをされたからね?」
「あ〜、ヤッパリ彼女もそう来たか〜?
まあ、けしかけたのは確かだけどね。由美香は放おっておけば?今すぐどうにかなるわけでもないし。
私はその通りよ。このままお付き合いしたいからね。」
「わかった。お付き合いでお願いします。」
「それよりも私、今日から行くところないんだけど、どうしようか?」
「あれ?回収した荷物は僕の部屋へ運んであるから、一緒に住めば?」
「えっ、良いのかな?」
「勿論、大歓迎だよ。」
「大丈夫なのかな?貴方、いいところのお坊っちゃまみたいだけど?」
「その通りだから、君の事は後で調べさせてもらうから先に話しておくね。」
「……………いいけど、どんな事を調べるのかな?」
「それは、専門家に任せてるからよくわからないんだ。」
「なにそれ、怖いんですけど?君に近づく女は全て調査が入るのかな?」
「大体それで合ってるよ。」
「由美香さんは、その調査に合格したって事だね。」
「彼女は特別扱いだからね。」
「そっか〜、そうだよね。調査要らなかったよね。」
「うん。」
「よし、そうと決まったらもう一度、部屋付きの露天風呂一緒に入ろうか!」
「えっ、いいの?」
「温泉宿来て、朝風呂入らないなんて勿体ないからね。チェックアウトまで、楽しまないとね?」
※※※※※※※※※※※※※※※
「……………行ったか。」
10時のチェックアウト時間ギリギリに部屋から出てきた二人を確認して、掃除をするためにドアと窓を開け放つ。
明らかに『事後』の残り香と雰囲気がある部屋。
今の私には二人を平常心で送り出す事は難しそうだから、出来るだけ顔を合わせたくなかった。
朝は勢いで友子と接していたけど、落ち着くと複雑な心境が戻ってきていたから。
掃除をしながらゴミ箱を空けようとして、
「ん、三つも使ったか……………」
使用済みのコンドームが、あからさまに隠す様子もなくそのまま入っているのを確認して動揺する。
うち一つは、明らかに今使ったばかりだった。
こんな事は、宿としては珍しくも無いはずなのに。
「負けないんだからね、友子!
がんばれ、由美香!!」
泣きそうになるのを必死に堪えて、濡れたシーツを籠に入れながら、呟いた。
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