第32話 人助け

「……………最初は、アルバイトのつもりだったんだけど……………」


サイズを確認した後、色々選びながら。


「でも、店長って……………」


「そうなのよ〜、二日目から全部任せるからって綾本君に無茶振りされてね〜?」


「……………いつぐらいから?」


「なんと!高校1年!!勿論、上司にマネージャーが付いてるから最初はアルバイトの延長みたいな感じで店舗運営の一部だけだったけどね。

あっ、店長はもう一人居るよ。モール内の店舗で年中無休だからね。」


「それで、学校は?」


「ん〜、部活みたいなノリでやってたんだ〜。結構条件良くしてもらって、土日は開店から午後四時までと、平日二日五時から閉店まで働いてあと一日マネジメント業務なんだ。」


「あと、綾本君が社長っていうのは?」


「そのままよ?彼の経営する店ね。このブランドのフランチャイズ店舗だけど、彼のデザインのオリジナル商品も出してるからね。」


「やけに下着にこだわると思ってたんだ。」


「そうね、この店が無ければ、ただのスケベに見られるけどね。」


「……………花室さんは、綾本君とはどうゆう関係なのかな?」


「それは私のセリフだよね?」


「う〜ん、昨日『拾ってもらった』みたいな?」


「あ〜、同じだね。私もここで働き始める少し前から急に貧しくなって、同じく『拾ってもらった』んだ。綾本君とは、小中高と同級生なんだ。」


「彼と『お付き合い』したことは有るのかな?」


「えっ、ないない〜、好みじゃぁないし!

それに、私は彼好みじゃぁないし、彼の好みは皆知ってるしね。

でも、彼さえ良ければ有りかな〜と思ったことは有るよ。

彼、優しいし?」


「わかる〜、私は昨日から『お付き合い』することになったの。」


「うっ、羨ましくなんか、無いんだからね!」


チョットだけ動揺する花室さん。


「でも、久しぶりに明るい綾本君を見られたから、良いことなんだろうね。」


「暗かったのかな?」


「そうなのよ、余り事情は話せないんだけどね。」


「一年前の失恋なら聞いてるんだけど、そのせいかな?」


「聞いてるんなら話は早いわね。綾本君を宜しくね。」


「宜しくって、まるで親戚のお姉さんみたいね?」


「彼に『助けられた』人達は、みんなそう思う筈よ。

彼、誤解されやすいから助けてあげてね。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る