第9話 偽りの?一泊旅行 ②

「ここから一時間弱くらいの日帰り温泉でお昼御飯の予定だけど、その前に何かリクエストある?お蕎麦が美味しいんだ。」


今、ちょうど12時。

地元では朝イチは曇りだったけど、こちらは晴れ間が出てきました。


「特には?………あっ、今コーヒー欲しいな!コンビニコーヒーでいいから!」


「オッケー!」


走り始めてすぐのコンビニでホットコーヒーLサイズを2つ買ってコーヒーマシンで淹れて、助手席の藤城さんに1つ手渡す。


「わぁ〜、ありがとう!」


コンビニコーヒーで、こんなに喜んでもらえるなんて、チョット嬉しいかも?

洋服と高級ブランド品の化粧品セット買ったときよりも、喜んでない?


お砂糖とコーヒーフレッシュを入れてかきまぜつつ、


「ん〜、少しは元気出たかな?」


「はい!ありがとうございます。なんてお礼をすればいいか?

やっぱり、身体で払いましょうか?」


「………それは、要相談って言ったよね?

そうだな〜、まあ、全部片付いてから、帰ってから相談しようか。」


「っ!……………………………ブゥ〜ッ?」


わざとらしく?ぶーたれながら、カップの蓋を外してフーフーしながらコーヒーを啜る彼女の横顔をコッソリと眺める。

可愛いけど、猫舌なのかな?


出発しようとしたところでスマホの通知に気が付いたので、


「チョット待ってね?」


ショートメールのメッセージを確認してから、


「もしもし?粕谷さん?連絡ありがとうございます。どうなりましたか?」


連絡は、荷物回収完了のお知らせでした。


「早かったですね、流石ですね!荷物はどれぐらいの量ですか?はい、1メート位の衣装コンテナケース2つ位?そしたら、僕のマンションのコンシェルジュにケースに入れて預けてもらえますか?あっ、ケースは買ってください。明日の夕方回収すると伝えて下さい。」


通話を終わらせ、ショートメール画面に切り替えて、


「無事に荷物回収出来たって!藤城さん、これ読んでおいて。」


「良かった〜!何ですか?」


端末を渡して、


「騙された件の落とし所を決めておいてほしいんだ。お金で済ますか、全部取り戻すのかをね?」


メッセージには、騙した相手の家族と連絡が取れそうだと書かれていて、以後の指示が欲しいと書かれていた。


「ん〜、お布団やぬいぐるみと文房具以外は引っ越してから買ったものばかりだから、お金で済ませます。」


「今回の件は、はっきり言って犯罪だから損害賠償の他に慰謝料と弁護士費用も相手に請求するからね?あと、この件の弁護士への依頼人はこの後から藤城さんになるから、宜しくね!」


「はっ?…………………えぇえぇッ!」

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