第8話 偽りの?一泊旅行 ①
結局藤城さんは、相談の結果、行くところの当てが全く無いということで僕と一緒に一泊旅行に付き合うことになった。
僕は、旅行を中止する気は無かったからね。
まあ、一緒に着いてこなくても、何とかしてあげる気は有ったんだけどね?
「さっきは言いすぎた。でも、謝らないからね。」
「大丈夫です。わかってますから。」
「部屋は一緒になるけど、手を出したりはしないから安心してね?」
「それはそれで、チョット残念なんですけど?」
「……………あとで、要相談ということでお願い?」
車を出す前に、人数が増える連絡を。
「もしもし、綾本です。今日はよろしくお願いします。突然ですみませんが、1人増えても大丈夫ですか?はい、女性です。はい、お願いします。」
「よく行かれるお宿なんですか?」
「うん、家族で行くことが多いかな?一人で呼ばれて行くこともあるし。
ところで、着替えとか小物とか無いよね?途中で揃えようね。じゃあ、出発!」
一人だと、下道をひたすら走るんだけど、今日は最初から高速道路使おう!
走り出してすぐに、藤城さんは眠ってしまったようだ。
僕を信用し過ぎだろうと思いながら、その薄汚れてるけど美しい横顔を確かめる。
きちんとお化粧すれば映えるだろうにと思う。
このままラブホに連れ込まれるとか暴行されるとは思わないんだろうな?
まあ、これから温泉旅館で同室だから似たようなものかもしれないな?
昨日部屋を締め出されて、余裕もなくて、一晩中寝てないんだろうけどね?
途中、サービスエリアで一度トイレ休憩して、有料道路に乗り継いで降りた先のショッピングモールの中のユニクロへ。
「藤城さん、2日分の服と下着も揃えてね。遠慮しないでね。これから山奥まで行くからコートも選んでね。寒いから、厚手の靴下や手袋なんかも要るからね。あっ、ブーツも要るな?」
「そんな、…………………悪いです!」
「風邪ひかれると困るから、ホントに遠慮しないでくれるかな?あと、旅行鞄も選んでね。」
「………………………わかりました。」
服は2セット、下着や靴下は予備も入れて3セット、コートと手袋とブーツはバーゲン価格になっていたので一番良いものを選んだ。
全部下着も含めて、僕好みの装いに誘導させてもらったのは内緒です!
僕の手で脱がせる気は無いけどね?
……………………今のところは!
良い買い物が出来ました。
店員さんにすぐに着替えたいと頼んで、値札を切ってもらって試着室を使わせてもらった。
着替え終わった藤城さんを見て、………
うん!上出来?
モロ、僕好みです。
薄いグリーンのワンピースに濃い茶色の春物カーディガン。コートは薄茶のショートコート。
ショートブーツも可愛いんですけど?
下着はナイショ。
セミロングの髪型だけが残念なんだけど、これ以上リクエスト出すとおかしいよね?
これで、デート中かカップル旅行中らしくなりました。
違うんだけどね?
「………………綾本君?君は、こんな感じの女の子が好みなのかな?」
「……………………………何でバレるの!」
「その、いやらしい目を見れば、バレバレですよ?下着も君が選んだ物だから、想像してたでしょ!」
「下着はお薦めしただけだし!目の保養になってるだけだし!!」
「…………………………………………」
苦し紛れの言い訳に、ジト目な藤城さん。
その後、隣のドラッグストアで彼女のコスメや小物や常備薬を選んで買ってもらった。
遠慮する彼女を説得して、化粧品は良い物をテストしてもらって、肌に合いそうな物のトラベルセットを2ブランド1セットづつ。
いつの間にか、一緒に薄いゴム製品をカゴに入れていたので、
「念の為に聞くけど、それ、必要?」
「勿論、必要ですよ?あっ、私は綾本君なら無しでも良いですよ?」
冗談にしては………………………………?
もしかして、僕、挑発されてる?さっきの道の駅でのお説教の仕返しされてる?
「……………わかった。念の為と言うことにしておきます。」
藤城さん、性格、変わった?元から?
大学では、あんなに地味で、おとなしいのに!
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