第14話 ポニーテール

早めにあがって、自販機で買ったペットボトルコーラを飲みながら粕谷弁護士とチャットで打ち合わせ。


『藤城女史のルームシェア相手の情報を添付して送信しました。ソコソコ良いところの放蕩娘でしたね。娘の親とコンタクト取れました。

あと、頼まれてた藤城女史の情報はいつものアドレスに別途ファイルで送信しました。

パスワードはいつものとおりです。』


『ありがとう。見ました。ルームシェア相手、ソコソコどころかかなり良いところじゃぁないですか!

いつも仕事が早いね!』


『どういたしまして。

坊ちゃん、今回はどんな面倒事を拾ったんですか?』


『拾ったのは間違いないけど、人をトラブルメーカーみたいに言うのはやめてくれる?』


『トラブルシューターですかね?

坊ちゃんの拾ってくる女性はいつも美人さんなのに、何故か坊ちゃん好みではありませんでしたからね?何故ですかね。

解決しても、感謝こそされても、モテないのが不思議なんですけど?』


『なんで僕の好みを知ってるんだよ!

今回は僕好みだよ!感謝されれば充分だろ?

あと、いつも言ってるけど坊ちゃんはやめて!』


「へぇ〜、坊ちゃんは美人女性を拾うトラブルシューターで、モテなくて、私は『僕好み』なんだ?」


「……………………………………………」


「あれ?どうしました?」


「………………覗き見はよくないかと?

どこまて見たのかな?」


「『ブーメラン』って、知ってます?

トラブルシューターあたりからですね。」


「……………………………………………」


振り返るのが恐ろしく感じたのは、きっと、気のせいですよね?

今、顔を合わせるのは非常にマズイです!

どうやって、誤魔化そうか?


諦めて、振り返って、息ができなくなってしまった。


「……………どうしました?何処かおかしかったですか?頑張ってみたんですけど?」


「………………藤城さん?念のために聞くけど、何を頑張ったのかな?」


「綾本君は、こんな感じの女の子がお好みですよね?頑張って真似てみました。」


藤城さんは、ゆるフワに結んだポニーテールの髪をかき上げながら、薄化粧の顔を綻ばせながら、嬉しそうに答えた。


「……………なんで僕の好みがわかったのか、後学のために教えてくれる?

っていうか、なんでバレてるの!」


「簡単ですよ?ポニーテールで清楚系でワンピースの女の子を『ガン見』してましたからね?まあ、下着までは見えませんからわかりませんが、恐らく君は想像もしてましたよね?サービスエリアでも、ショッピングモールでも!」


「……………僕が、普段モテない理由がわかったような気がする。」


「もしかして、今までその理由に気が付かなかったんですか?誰も教えてくれなかったんですね?」


『粕谷さん、後でまた連絡するから。』


無理矢理チャット画面を閉じて、仕方なく、藤城さんに向き直った。

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