二時限目②:柔道(クシャン視点)
自分はなぜ柔道をえらんだのだろうか。未だに疑問に思う。
柔道において、体重は一種のステータスみたいなものであり、重い方が投げられにくいし、敵の攻めにも動じにくく、重い方が圧倒的に有利である。もちろん柔道の教師である両谷カズマもそのことはよく分かっているので、試合を組む時は体重別でリーグを分けて行うわけなのだが、自分の体重はモデル体型よりも軽く、同一リーグ内でもちろん最も軽く、2番目に軽い人とも10kg以上離れていた。そのため、試合をするとほぼ勝ち目がない。これでも以前にかかった謎の感染症の影響で体重が増えたのだが。
と、そんなことを考えて、着替えて、授業が始まった。
授業はまず柔道場を走り回ることから始まる。多分ウォーミングアップなのだろう。
そして、前転、後転、側転の後は受け身の練習をする。ここまでは良いのだ。問題はここからである。
この次に行うのは、二人組になってお互い技を決め合うというものだ。と言ってもただ技を決めるだけかと言うと、そういう訳ではなく、普通に抵抗をして良いので、人によっては滅茶苦茶暴れ散らかす奴もいる。かつて、ショウイチはこれで怪我をしたらしく、柔道が極端に嫌いになったらしい。そうして、ペアを組んで始まったのだが、自分の相手は何故かめっちゃ重いヤツである。なんでだよ。自分の攻めは、秒でひっくり返された。まあ、そらそうでしょうよ。そしてついに、相手の攻めが始まる。自分の体に自身の2倍はある体重がのしかかってくる。身体中が悲鳴を上げている。思わず、
「ぎえええええ」
という悲鳴が口から漏れた。
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