AM10:50 三時限目:化学(リョウ視点)

5分前にはもう教室にいるのは、化学教師倉田ハヤネである。


「それでは、前回の実験のレポートを回収します。」

すると、ある生徒が申し訳なさそうに手を挙げて、

「すいません、忘れてしまいました。」

と言う。

その声を聞くや否や、纏っていた空気が一変した。

「君、授業受ける気あるんですか。」

教室が凍りつく。

気圧されながらも、その生徒は

「...すいません。」

「いや、謝って欲しいわけじゃないんですよ。」

「.......」

(じゃあ、どうしろってんだ)

倉田は続ける、

「いや僕はね、君のことを思って言ってるんですよ。学校のレポートも出せないような人が社会でやっていけると思うんですか。」

「........」

(たかがレポートくらいで大げさな)

「だまってないで、何か言ってみたらどうですか。」

「.........」

「いやね、僕が間違ってるなら、遠慮せずに言ってくれていいんですけれども、間違ってますか。」

(めんどくさいなぁ、こいつもこいつで何か言ってみろよ)

その後も長い長い説教が続き、あと残り5分になった。

(何かデジャブを感じる............

ところで次の授業ってなんやったっけ、、、あ、体育やん、、早く終わってくれ、、)


結局休み時間を3分削って、説教は終わった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る