PM3:30以降 : 放課後① 逢坂関編 (リョウ視点)
「では……終わります……」
かくして終礼は担任の平田アツシの蚊の鳴くような声で終わりをむかえた。他クラスと比べて終礼が短いことだけが彼の取り柄である。ガヤガヤと雑談にまみれた教室を後にして、俺はまだ終礼をしている桐組の前で皆を待つことにした。
桐組の担任、間口スンが連絡事項を伝えているのを扉の外からぼおっと見ていた時だった。
「なぁ、竃……」
突然隣から亡霊のような声が聞こえてくる。
「うわっ!?」
反射的に振り向くとそこにはやっぱり例のごとく逢坂関ミヲツクシが立っていた。
「お前いい加減にしろよ、もう俺から言えることはないぞ。」
「もうその事は思い出したくないんや、言わないでくれ。」
そんなことを言っていると、樺組の終礼が終わったらしく、ショウイチがこっちに向かってきた。そして開口一番に、
「あれ、ミヲツクシやん。何してんねん。まぁ、そんなことはどうでもいいわ。お前さ、ツッタカターに自作自演の痛い写真投稿してたけど、広めてもいいか?」
シンプルにその話に興味がわいてきたので、
「どんな写真なん?」ときいてみると、
「『彼女とデート中』って言う文と一緒に、自分の両手を絡めて空に向かって挙げている写真。」
と返答するショウイチ。
「待て待て待て、言うんじゃない。頼むって、俺の体裁が関わってるんだよ。」
と慌てて言うミヲツクシ。
「お前、俺にそんなことお願いできる立場やったか?広めてもいいんやぞ、他の数多の黒歴史を。」
とさらにショウイチが言う。
「……許してください、何でもしますから。寛容なショウイチ様。」
「まあ、今度だけは許してやろう。ついでに一つ。シトラスとクシャンの肉体関係の話、あれ俺が二人に吹き込んどいてん。」
さらにショウイチが追い込む。
「えええええええええ、そうなんか…、心配して損したやん。」
「「何の心配してたん?」」
「シトラスのアイドル性。」
「「どうでもええやんけ。」」
「そんな訳ない、この地獄と言っていい男子校に現れた一筋の希望、それがシトラスちゃんやぞ。」
「「ああ、そうですかい……」」
そこから桐組の終礼が終わるまで、ミヲツクシによる、シトラスのアイドル性について二人で聞くことになったのだった。
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