放課後② 村正編(リョウ視点)
桐組の終礼がようやく終わり、シトラスが教室から出てきた。ショウイチは用事があるらしく、ミヲツクシを侍らして、ここから去っていった。
「ようやく終わったんか、長かったな。何をずっと言ってたんや、間口は。」
とシトラスに聞いてみると、
「提出物出してない生徒の名前を読みあげてたんやけど、たまたま名字に全員『川』が入ってることに先生が気づいて、そこから漢字の『川』について語ってたわ。」
との返答が。
「へぇー、さすが国語教師やな。」
と言うと、
「聞いてる側は普通に面白くないし、苦痛やで。体感すれば分かる。」
と返してくる。
「そうなんか…、そういやクシャンは?」
「あいつなら掃除やで。置いてくか?」
「いや、待ったれや。」
「しゃあない、じゃあ、あいつが来るまで俺が新たに手に入れたイヤホンについて論説しようか。」とシトラスが言い出した。
「いや、それは遠慮しとこうかな…。」
シトラスは生粋のイヤホン好きであるのだが、イヤホンに関することになると、発言が急に意味不明になるのだ。
「まあ遠慮しなさんな、今回のイヤホンはな
そのままやと美味しくないねんけど、調味料を使うことで化けるやつやってん。俺感動したんよ。」
「お前イヤホン食ってたりする?」と聞くが、
「は?何で食べるねん。イヤホンは耳につけるもんやぞ。何言うてんねん。」
と返してくる。
「今の説明はどう考えても、イヤホンを食べてるようにしか聞こえないんだわ。」
「それは、君の理解力が俺の域に到達していないだけだ、いずれ理解できるようになるさ。で、そのイヤホンは.......」
シトラスが止まらなくなってしまった。こいつはこうなると喋り尽くすまで止まれないので、放っておくしかない。
(まあ、クシャンが来るまでの辛抱や。)
そう思って俺は掃除が早く終わることを祈ることにしたのだ。
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