12 /9Fri.

｢空曇ってんなあ…｣

とリョウが駅を出るなり、少し悲しそうに言う。

｢昨日の続きかよ。空がブームやったりするんか？｣

とシトラスがやはり冷たく言う。

｢今日は気分が晴れないし、まるで俺の心模様を表しているかのようだ。｣

とリョウは言う。

｢いや、無視するんかい。｣

とシトラスに突っ込まれるが、特に気にしていないリョウ。

｢昨日も言ってたんかよ。でも、あながち間違いとは言いきれへんかも。この前読んだ本で、空の様子は人の感情と関連があるみたいなこと書いてたし。｣

と今日は2人と同じ電車に乗っていたらしいショウイチが言う。

｢おお、やっぱり俺は正しかったんや。その作者とは仲良くなれそうやなあ。｣

とリョウは嬉しそうに言う。

｢それで、なんで悲しかったんや？｣

とショウイチが尋ねると、

｢ソシャゲのガチャ爆死したんや……、推しが登場するまで、ガチャ禁してたのによぉ｣

と再び悲しそうに答える。

｢それはそれはカワイソウニ｣

とショウイチが言うと、

｢微塵もそう思ってないだろ、メシウマだと思いやがってぇ、こっちは死活問題なんだよ。｣

とリョウは突っかかる。

今日も騒がしく坂道を登っていくのだった。

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