AM8:50 一時限目①:英語(シトラス視点)

間口による、長い終礼が終わり、一時限目の開始を告げるチャイムがなった。一時限目は英語だが、松岡ユキエではない。この学年の英語教師は三人おり、残りの二人のうちの一人である武中たけなかソウイチという教師の授業である。この授業は、生徒にトップクラスで人気のない授業であり、というのも、まず面白くなく、予習の量が異常に多く、その上授業中に生徒を当てまくるからである。まあ、自分は天才児なので、予習なんぞしなくても、どうとでもなるので、他の人が当って、苦しむ様子でも見ておきたいのだが、


「はいじゃあ、早速授業を始めましょうか。この一文の訳を、そしたら二列目の最初から行こか。」

と武中が聞くと、

「………………分かりません。」

「じゃあ、後ろ。」

「………やってきてません。」

「次。」

「この世の中で最も……、有名な…、ここから分かりません。」

「次。」

「分かりません。」

「イラクを横断する川である、ティグリス川とユーフラテス川は、この世で最も有名な川のうちの二つである。」

「はい、そうやね。このwhichが修飾になってて.......」


と言った具合で生徒のほとんどが、答えることなく、次々と当たっていくので、面白みが全くない。はよ、終わってくれ。

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