四時限目④(クシャン視点)

「まず接点の…を置いて、接線の…を⋯⋯y=mx+nと置きます。そして、…から恒等式が⋯⋯ます。これは対称式…で、実数解条件より、⋯⋯。」

そうだった、何言うかなんて分かるわけなかった。ただ、黒板を見た感じだと、

(四次関数)-(複接線)=(x-α)^2(x-β)^2

と置いて、展開そして、整理した結果、xについての恒等式になり、係数比較でα、βの対称式が求まる。最後に存在条件を解と係数の関係と判別式で求めて、解答終了らしい。

計算もそこまで面倒じゃなさそうだし、これに関しては、珍しく納得がいった。もしかしたら、普段からこんな授業をしていたのだろうか。でも、もしそうだとしたら、全員が聞いてそうなもんだが。

ここで、この問題が終わり、あと残り五分となった。恐らくもう授業は終わるだろう。

というのも、平田は四時限目の時は食堂に行く人のことを考えて、早く終わってくれることが多い。これは以前に話していたことらしいが、昔生徒だった時に、早く終わってくれない教師に苛立ちを感じていたからとのことだ。そうして、

「はいじゃあ、ここで今日は…、終わりましょうか…。」

と平田が言って、授業は終了した。

食堂利用者が一斉に教室から飛び出して行き、教室も騒がしくなっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る