PM1:00 昼休み(シトラス視点)
昼休みになり、昼食を済まし、俺はクシャンとその他数人とで、とあるゲームをしていた。それは、今どきのソシャゲ…ではなく、
クシャンが最近百均で発見したという、謎のカードゲームであった。様式はよくある対戦カードゲームで、使われているキャラクターはなんと、『虫』である。最初にクシャンから聞いた時には、有名虫カードゲームのことだと思うくらい、よく似たものだった。
というか、そもそもとして百均のカードゲームとかクソゲーだし、棚にずっと陳列された売れ残り品だと思っていたのだが、どうやらそうでは無いらしい。クシャンが手に入れるために、3店舗の百均に行ってみたが、どこも売り切れだったそうだ。なんでだよ。最近確かに、カードゲームバブルが少し話題になっていたが、それのせいだろうか?
ちなみに、今俺たちが使っているのは、 クシャンがわざわざ電車で普段使わない路線まで赴いて、そこの百均で奇跡的に残っていたものを買ったものだ。
そんなわけで、手に入れてからは、昼休みにクシャンと試合をして過ごすことが多くなったのだが、周りからはかなり珍妙な目で見られる。確かに、百均の聞いたこともないカードゲームをやっているわけなので、考えてみれば、当たり前のことかもしれない。ただ、一部の生徒からは謎の人気を得ており、現在のように何人かの生徒が俺たちの試合を周りで観戦していた。
「じゃあ、ここでクロオオアリを召喚して、技『噛み付く』を使う。」
「サポートカードの『街灯』を使って、次のターン攻撃を無効化する。」
こんな具合に試合をしていると、この場所に学年トップクラスの変人として名を馳せているミヲツクシが何故かやってきた。
「お前ら、なにやってんの?」
とミヲツクシが聞いてくる。
「見ればわかるやろ、カードゲームだよ。」
とクシャンが答える。
「いやまあ、それは見ればわかるんやけどもやな、なんのカードゲームよ。」
とミヲツクシが続けるので、俺はデッキが入っていた、箱を渡して、
「読んでみ、あとは見ればわかる。」
とだけ言っておいた。
すると、ミヲツクシは、その説明を読み、
そして、
「いやこれ、百均のやつかよ。絶対クソゲーやんけ。」
と一言。
すると、周囲にいた生徒のうちの一人が、
「お前、わかってないなあ。このゲームの面白さと深さに気づけないとは、これだから
ショウイチにいじられるんやで。」
と口早に言う。
「それとこれは、関係なくね?というか、なんで俺がアイツにいじられてるって知ってんの?そんな有名やったんか?アイツ世間では優等生っていう、キャラクターを被ってたはずやのに。」
とミヲツクシは不思議そうに言う。
すると、その生徒は、
「いや、だってさ、大野が言ったことには、お前が数学塾で知り合った女に向けた口説き文句が『君の心も微分しちゃうぞ。』っていう話とか、去年のクリスマスに、『ニンヒドリーン、ニンヒドリーン、ニンヒドニンヒドリーン』って歌ってたとか、色々言ってたぞ。」
と答える。
すると、ミヲツクシは、
「いや、違うねん。ほんまに。マジで。というか、そもそもアイツなんでそんなことを?俺当たり前やけど、そんな黒歴史、わざわざ話さへんぞ。」
と焦って言ったが、
「いや、事実なんかよ。」
とクシャンに言われ、
「あっ……、もう、ヤバいって、またいじられるネタが増えてもた。」
と蒼白するミヲツクシ。
「まあ、なんかドンマイ(笑)。それよりなんか用事あったんじゃ?わざわざこのクラスに来たんやしさ。」
と俺が言うと、
「おお、そうやった、シトラスに聞きたいことがあったんよ。」
と言うミヲツクシ。
「何?」
と聞くと、
「いや、とある光陽生がですね、俺のツッタカターにシトラスの写真が欲しいっていう、メッセージを送ってきてまして、これって本人の許可済みなんかなあと思って聞きに来たんよ。」
と耳を疑うようなことをミヲツクシが言う。
「はあ?何言ってんのまじで、そいつ正気か?もちろん許可しとるわけないやろ。そもそも、なんで俺の写真が欲しいんか意味わからんし、それをお前にお願いすんのは、もっと意味わからん。」
と言う。俺としては、至極真っ当なことを言ったつもりだったんだが、
「そりゃあ、シトラスちゃんがアイドルだからでしょ。」
とミヲツクシは、当然のことのように言うし、
「あれ、お前知らんかったんか、コイツお前の隠し撮り60枚も持っとるからな。」
とクシャンはさらっととんでもないことを言う。
「いや、情報量多いって、アイドルのくだりは頭おかしいだけやからスルーするけど、
写真の話は意味わからんし、恐怖を感じるんやけど。もう、絶交でいいか?」
とミヲツクシに言うと、
「ごめんなさい、シトラス様、ほんの出来心だったんですよ。」
とぬかしやがる。
まあ、こいつの処遇は後で決めるとしよう。
もうすぐで、昼休みも終わるしな。
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