特別編:シトラスの誕生日②

「次は俺の番かな。なんか、ミヲツクシは最後にやりたいらしいし。」

と2番手にはショウイチが名乗りを挙げた。

「次はショウイチか。今日誕生日知ったって言ってたけど、どうやって準備したんや。」

とシトラスが聞いてくると、

「俺が用意したプレゼントとは、家で眠っていたガラクタの詰め合わせ。と言っても、決してゴミを送り付けるつもりは無いから、いらないものは言ってくれたら、こっちで処理するわ。」

とショウイチはよく分からないことを言う。

「それは、プレゼントとして成立しとるんか?」

とシトラスは疑問に思うが、

「俺今まで一回も人の誕生日なんて祝ったこと無かったからなあ。プレゼントをどうすればいいのかよく分からんのや。」

とショウイチが言うので、とりあえず納得することにした。そしてショウイチが取り出したのは、

「何これ、光陽学園の封筒?なんでそんなもの持ってんねん?」

とシトラスが聞くと、

「そればっかりは俺も忘れたわ。」

と言われたので、シトラスは謎の封筒の中身を取り出すしかなかった。そして、そこにまず入っていたのは、

「いや、ラノベ買ったら挟まってる広告やんけ、要らんて…あっ、広告じゃなくてSSか。昔読んでたやつのか、懐かしいなあ。」

とシトラスはゴミではないと判断した。

そして次に出てきたのは、

「ポチ袋とはまた謎のセンスしてるなあ、で、中には…何これ?カビのプレパラートシールって、どこで手に入れたんよ。」

とシトラスが聞くと、

「床屋で貰った。家の目の前にあるねん。」

とこれまたわけの分からないことを言うショウイチ。

「床屋ってなんでぇまたそんな所に…で、次は…、スリーブに入った遅延証明書って、お前どんなチョイスやねん。」

これまたシトラスは質問すると、

「これは俺がいつも通学に使う地下鉄の遅延証明書。これ個人的にはめっちゃ貴重やと思ってて、というのも地下鉄10年以上乗ってるけど、遅延してたのこの時ぐらいやったからなあ。」

とショウイチが答える。

「ほう、まあそれで…、まだスリーブになんか入ってるわ、何これ、恐竜カード?これまた、見たことないものが。で、あとは…うわ懐かし、塾の一点券やん。ようこんなん持ってたな。」

とシトラスが言う。

「俺、物もちめっちゃいいからな。」

とショウイチは自慢げに言う。

これで終わりだと思って、封筒をひっくり返すと、

「なんかまだあるぞ、これは石?」

シトラスが手に取り、裏返すと、

「アンモナイトの化石…、お前どんだけ変な物、家にあるんや。」

「正直蛍石にするかめっちゃ迷ったんやけど、蛍石は家宝やから今回はこれで勘弁してもろてって感じ。というわけで、これにておしまい、プレゼントのテーマとしては、『費用ゼロ、面白さ全振り』というのを掲げたつもり。あ、そういや、もう一個だけ『あーまんずJOURNEY』いる?」

「中一の英語の課題やんけ、ていうかそれはさすがに要らんて。」

と即答するシトラス。

「逆に他はええんか?」

とショウイチが聞くと、

「思ってるよりは良かったし、貰っとくわ。歴代で間違いなく一番面白かったしな、これはこれからプレゼントにガラクタ贈るのが流行ってまうわ。」

とシトラスが言う。

「正直大根栽培キットのインパクト抜群やと思ってたけど、秒で抜かれたわ。これは凄すぎる。」

と二人から比較的好評なプレゼントになった。


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