三時限目②(シトラス視点)

 そんな感じにテスト返しが終わって、授業に入るかと思ったが、

「えー、そういえば、共通テストまでおよそ一年になったけれども、まあ君らのことやから、国語の勉強なんてほとんどしないやろうし、三学期から一週間に一回共通テスト演習やるから。」

 と間口が言う。

「え?それってどういう感じでやるんですか?」

 とクシャンが聞く。

「えー、そうやな、授業は50分しかないから、現代文と古文・漢文を交互に40分ずつテストして、丸つけするって感じやけど。」

と間口が答える。

それを聞いて、俺は『いや、先生は何しとくねん。』と心の中で思っていると、ある生徒が、

「先生その時間何してるんですか?」

と聞くと、

「えー、まあ特にやることはないけども。そもそも、共通テスト演習って教師がなんかすることじゃないからな。もう知識は全部教えとるし。」

と答える。

「「先生楽すぎでは?」」

と何人かが、突っかかる。

「うーん、そうかなあ。まあ、今まで忙しかったし、多少はね。」

と間口は答える。

確かに間口が忙しいというのは、結構有名な話だったりする。なぜなら、担任団の中で最も若く、パソコンの扱いにも長けているため、様々な教師から、合宿の計画立てや、資料作成をやらされており、その上でこの学年の授業をもっているからだ。ある教師の証言では、

「俺も教師で若い方やけども、間口先生への仕事の押し付け量は以上やで。しかも歴代の国語教師の中でトップクラスに授業に対する意欲も高いらしいし、いっつも、プリント作成に励んでるわ。」

というのがあったりする。

教師もなかなか大変らしい。

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