二時限目④(クシャン視点)

 色々あったが、とりあえず準備に当たる部分を終えた。この後は、グループ分けによる試合である。もちろん自分は、ほぼ全敗なので、一番下のグループに属している。確認するまでもない。

そして試合が始まるのだが、自分が試合じゃない時は他人がやってる様子を見るしか、やることが無い。一応ライン内かどうかの確認や、残り時間の報告などあるにはあるが、自分がやらなくても、意欲がある人が勝手にやってしまうので、自分の出る幕は無い。試合を見て参考になることを吸収したいが、いかんせん下手くそな上に、頭の理解もなかなか追いつかないので、これまた難しい。こればっかりは仕方がないが。

しばらくして、とうとう自分の番が回ってきた。自分の作戦は、勝つことはほぼ不可能なので、試合終了まで相手の技から逃げ続けて、時間切れの引き分けを狙うことである。

「開始!」

と試合のスタートを両谷が告げた。

自分は相手の動きを注視する。とにかくよく見る。相手が、足を前に出せば、自分は1歩下がる。そんな具合に相手に技の機会を与えないことを徹底する。その動きを続け、

「あと30秒」

という声が、聞こえてくる。

幾分か、相手の表情に焦りが見えてくる。恐らく、自分相手に技をかけられないでいるからだろう。そして相手が積極的に動き始めた。何度も転ばされそうになるが、何とか踏みとどまる。そして、

「試合終了!」


やっと終わった。久しぶりに引き分けに持ち込めたようである。これで少しでも成績がマシになればいいんだが。


そんなことを考えていると、休み時間が近づいてきた。

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