メイデン☆クライシス~地球は女怪人に征服されました~
黒糖はるる
第一章:Alive A life
EPISODE 1:邂逅
見渡す限り一面赤黒く染まった大地が拡がっている。
かつて人々の営みがあっただろう住宅街は、グロテスクに泡立つ
しかし、こうなったのはつい一週間前のこと。人類は絶滅していないし、世界もまだ終わっていない。あくまでも現在進行形である。
そう、地球は今、前代未聞で空前絶後の危機に
何の前触れもなく、宇宙の彼方より降り注いだ謎の流星群。その一つ一つが巨大な槍。世界中の地面へ直角に突き刺さり、天高く
塔を中心に土地は汚染されていき、同時多発的に赤黒い粘菌が領土を拡大。更にそこから侵略者の
それはここ、
「はぁっ……はぁっ……!」
赤黒く染まったアスファルトの上を、息を切らせてひた走る一人の少年。
十歳を迎えたばかりの幼い顔には玉のような汗が浮き、癖っ毛とパーカーのフードが風に
彼の名前は
だが、置かれている状況は対極に位置する。
着実に侵略が進む地球の上、ただの子どもが無事でいられるはずがない。
「だ、駄目だ、追いつかれる……っ!」
遊の背後に迫るのは怪しき影の集団。うぞうぞと体をくねらせる、その誰もが没個性を通り越してのっぺらぼう。まるで全身タイツを纏っているかのように、頭のてっぺんから
彼女達こそ、
影の魔の手がぬるり、と。無防備な遊を遂に捕らえた。
「い、嫌だっ。たす、助けてっ」
滑るように黒い腕が巻き付いてくる。遊がどれだけ暴れ身を
「や、やめてっ……」
ふるふると首を振る遊などお構いなしだ。黒い手指は
「んっ……いやっ、そんなところ触らないで……っ」
上気した声色で懇願するも、影のいやらしい手は緩まない。魔の手はズボンの隙間を潜り抜け、隠されし未成熟の秘宝へと伸ばされる。
男の子の、大事な場所へと。
「そこまでランよ、変態女共!」
その時、
目がないくせに黒いお姉様方は
「今のうちに、こっちに来るラン!」
「う、うん」
襲われているところを助けてくれたのだから良い人。きっとヒーロー番組の主人公のような正義の味方なのだろう。そんな漠然とした信頼から、相手が誰とも知らずにホイホイ遊はついていく。
「ここに隠れていれば安心ラン」
光が収まり、段々と周囲の様子がはっきり見えてくる。雑居ビルの一階だろうか。不気味な粘菌に覆われた、赤黒く染まったロビーの中。居心地が良いとは言えないが、黒い変態婦人会は見当たらない。どうにか逃げおおせたようだ。
しかしその一方、助けてくれた声の主もいない。部屋の中には遊ただ一人だけである。
もしかして、さっきの声はおばけ?
血中に氷水を流し込まれたような感覚だ。背筋がぞくりと震えて
「おーい、グランはここにいるランよ?」
また声が聞こえた。今度は真後ろから。助けてくれた何者かが背後にいる。
ごくりと
鬼が出るか
白いワンピースを
妖精と呼ぶのが
「うわぁぁあっ!?」
――パシンッ。
巨大な
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