EPISODE 37:突破
「シャドーがいっぱい」
“
「大丈夫、問題ない」
軍勢を前にしてもセルピアは
自信に満ち溢れた瞳で影の集団を見据えている。怪人界のエリート街道まっしぐらの優等生だっただけある。ドロップアウトしてもメンタルはフルメタル超合金のままらしい。
「セルピアさん、“
遊の指示に従い右腕を上げ、セルピアは噴出孔より高圧水流を放つ。狙う先は眼前の邪魔なシャドー達。暴徒鎮圧を
数人倒れたら後はドミノ倒しだ。バタバタバタバタ、バタバタバタバタ。転倒が次の転倒を呼び、みるみるうちに防御が崩れて守りは手薄になっていく。
「今のうちに突破するラン!」
水流によって道が切り開かれた。このチャンスを逃す手はない。セルピアを先頭に、囚われの姫がいる塔へと突き進む。
しかし、シャドー達も易々とは通してくれるはずもなく。水鉄砲の直撃を免れた者達が起き上がり、侵入者一行の行く手を阻み取り囲む。
「“
黒い霧が辺り一面を埋め尽くし、シャドー達は標的を見失って右往左往。そこへセルピアの触腕が
ビシッ、バシッ、ドガッ、バキッ!
柔軟にして強烈な殴打が連続で炸裂。打ち据えられたシャドーは力なく消滅していく。が、いかんせん数が多くてきりがない。
「それなら、“
「うん、なるほど」
そこで、効率的に纏めて倒す一手に出る。
セルピアお得意の触手プレイ、もとい拘束技の応用だ。一体のシャドーを縛り上げると、それをハンマー投げの要領で回す。
ブンッ、ブン、ブンッブンッブンッブンブンブンブンブンブンブン!
中心のセルピアが台風の目、回転する触腕はシャドーの重さも相まって威力十分。遠心力で絶大な破壊力の持つ渦に飲み込まれ、影の大軍勢は抵抗虚しく粉々に吹き飛ばされていく。
ぐしゃ、どしゃ、べしゃっ。
黒い粘液と肉塊が降り注ぐ。その中には見知った妖精も混じっている。お約束なのか、グランも巻き込まれたらしい。大きなタンコブを作っていた。
「絶対わざとだろ、いい加減にしろラン!」
「人聞きの悪い」
「はいはい、そうですかっ。こいつも交代決定ランよ!」
責められてもセルピアは
「じゃじゃーんっ! 満を持してママの登場よっ!」
赤い仮面で表情を覆い隠し、
「頼むから、お前はちゃんとしてくれよラン」
「いつもしてるつもりだけど?」
「もう何も言うまいラン」
戦場に残るシャドーはあと少し。無尽蔵かに思えた軍団もようやく終わりが見えてきた。と、安心しかけたが、そうは問屋が卸さない。
「が、合体した!?」
リーダー格だろう門番を中心に、シャドー達が寄り添い
「“
「私の猛毒を食らいなさい!」
頭部より伸びる蛇の群れが巨体に噛みつく。流し込む猛毒でまずは弱体化、サイズというアドバンテージ差を詰めていくのだ。
しかし、巨人にはさして効いていない様子。というのも、その巨体が合体ではなく組み体操状態であるが故。一つの生命体ではないので全身に毒が回らないのだ。外側を担うシャドーが数人力尽きるだけで、さっぱり衰えてくれない。
本丸のリーダー格に攻撃を通さないと、巨人には勝てないだろう。
「“
ならば今度は格闘戦。胸部に陣取る門番シャドーを直接叩く。
「はぁぁぁッ!」
「きゃあっ!?」
地面に叩きつけられてワンバウンド。受け身を取ったピットは《かす》り傷で済み、すぐさま体勢を立て直す。
巨体相手では力負け必至。毒も有効打とはならず、核のシャドー狙いも難しい。
かくなる上は、あの手に出るしかない。
「ピットさん、大きいの出せる?」
「多分出せるわ」
力は温存しておきたい。故に技は小出しに、無理はせずに。
だが、それで突破出来なければ本末転倒。
いざという時は出し惜しみせず、全力で踏ん張り押し通すべきだろう。
「一撃で決めるよ、“
「任せてちょうだいッ!」
ピットの髪の毛――無数の蛇の群れが逆立つと、炎を噴いて一つの巨大な塊を形成していく。
元は散弾銃に似た四方八方に炎の弾丸を振り撒く技。一発一発は軽い火の粉だが、
答えは決まっている。
「私と遊ちゃんの愛の結晶……――食らいなさいッ!」
ズドォォォォォォォンッ!
大砲の如く撃ち出されるのは超巨大な火球。もはや連弾という名に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます