第21話商業ギルドとユズの旅立ち

ユズは公爵から戻った翌日商業ギルドに向かった。


商業ギルドにユズが入ると職員が両サイドに整列してユズを出迎える


「「「「「お待ちしてましたユズ様」」」」」


ユズはその歓迎ぶりに驚く


えーー!なんなのー!


ユズはあまりの歓迎ぶりに驚き帰ろうと一歩下がる。


『これなんか怖いのです。逃げるのです。』


ユズの動きを見て入り口に近い職員2名が入り口に立ちふさがる


「ユズ様どちらへ行かれるのでしょうか?登録受付はあちらです。お手を失礼します。」


ユズは二人の職員に手を握られカウンターまで連れていかれる。


カウンターの前にはこの前会った人材発掘官ベルメルアが立っていた。


カレンはギルド内の魔力の色を確認する


『ふーん。この商業ギルドこれほどの人間がいるのに魔力のよどみも色も皆綺麗ね。こんなこともあるんだ…

意地悪したあの子なんかピンクよ。


これってユズにかなり好意持ってるわね。それにしてもこれほどって、ユズって女性を惚れさせるような魔力でもあるのかしら?まぁ危険はないから様子見ね。』


ベルメルアが膝を折りユズの視線に合わせ挨拶をする。


「ユズ様ようこそ商業ギルドへ約束を守ってくれたんだ嬉しいわ。あ。紹介するわね。」


ベルメルアは二人の女性を紹介する


「クルーガー王国商業ギルド総責任者のロッテリナとシトラスト商業ギルド責任者のボナーラよ。」


二人も身長の低いユズの視線に合わせるように膝を折り挨拶をする


「ユズ様・・んーなんか緊張してるみたいだからユズちゃんって呼ばせてもらうわね。

私クルーガー王国商業ギルドの総責任者のロッテリアです。よろしくね。」


「ユズちゃん緊張しなくていいからね。私シトラスト商業ギルド責任者のボナーラです。よろしくお願いします。」


ユズは総責任者と聞いて緊張で言葉がでてこずカレンにどうしたらいいか尋ねる


『カレンお姉ちゃんどうしよう・・・一番偉い人だよ。ユズ話すなんて無理だよぉ』


カレンは不思議に思うたかが問題を解いてちょっと間違いを指摘しただけなのにと・・


『確かに総責任者まで出て来るのは異常ね。でも大丈夫よ魔力のチェックしてるから、みんな好意的だから問題ないわ。話したくないなら話さなくてもこの人達なら問題ないわよ。』


『ならいいけど、でもなんでこんな偉い人まで出て来たの?』


ユズが黙ったまま固まってるのを見てロッテリナがやり過ぎた事に気づいて職員に持ち場に戻るように指示する


「みなユズちゃんの顔覚えたでしょ。これから対応よろしくね。

ユズちゃんが驚いてるから皆持ち場に戻っていいわよ。

私も部屋に戻るのでボナーラ後をよろしくね。」


ロッテリナがカウンターの奥に消えると周りの職員もそれぞれ持ち場に散って行く。


残ったボナーラとベルメルア受付担当のキャンベラがユズの手を取り登録カウンターに行く。


登録カウンターにつきキャンベラが謝罪をする


「ユズちゃんこの前はごめんなさい。意地悪な事して、ユズちゃんがこんなに可愛い女の子なんてわからなかったから…」


ユズは黙ったまま迷っている


『カレンお姉ちゃんどうしたらいい?正直に男だって言った方がいいの?』


カレンは公爵家の事を思いだしこれは言わない方がいいと判断する。


『バレるまでこのままでいいわ。返事しなきやいいのよ。とにかく登録終わったらさっさと帰る。いいわね。』


『うん。わかった。』


ユズは謝罪は受け取ったので登録を済ませて欲しい事を伝える


「キャンベラさん謝罪は受け取ったのね。それより登録してほしいのね。ユズ森に素材採取に行きたいの。」


キャンベラは頷き1枚の用紙をユズの前に置く


「ユズちゃん登録用紙です。記入お願いします。」


ユズは登録用紙に必要事項を書いてキャンベラに渡す。


「キャンベラさんこれでいいですか?」


キャンベラは用紙を確認してユズに問題ないことを告げ奥に消える


「はい!確認しました。問題ないです。少し待っててくださいね。ギルドカード作って来ますから」


ユズが待ってる間商品登録部門のベレーナが話しかける


「ユズちゃんは凄く頭がいいと聞いています。私は新しい商品の登録を担当するベレーナと申します。


ユズちゃんにお願いがあります。ここ何年もギルドには新しい商品が登録されていません。


ユズちゃんなら何か新しい商品を思いついてたり開発してたりしませんか?


王都シトラストでは数年新しく商品が開発されていないから市場に活気がないのです。

何か新しい商品が開発されれば市場が活性化するんだけど・・・


ユズちゃんなら何かアイデアあるんじゃないかしら。

どうかこの国の市場を活性化させるために何かアイデアをお願いします。」


ベレーナは深々とお辞儀をする。


えーー!


『カレンお姉ちゃんどうしょう。言ってる意味あんましわかんないけど』


カレンは即答する


『いろいろ作ってるしアイデアも沢山あるわよ。』


ユズはカレンの発言に驚く


『ユズ作った記憶ないよ。』


カレンは笑いながら答える


『ハハハだって言ってないし、ユズあたいに言われるまま作ってたからわからないわよ。』


『ぅぅ…知らなかった。どうするの?』


『そうねここの人皆いい人だし少しならいいんじゃない。』


『わかった。でも大丈夫なの?前もカレンお姉ちゃんやらかしてるし・・・』


『な・何言ってるのよ!あたいは女神様から叡智を授けられたのよ。あの時はちょっとうっかりしてただけよ。』


ユズは不安に思いながらベレーナに話す。


「新しい商品かわかんないけど、あるのです。」



するとベレーナとずっとユズを見つめていたベルメルアが顔を見合せてハイタッチして喜ぶ


「やったぁー」


「やっぱりユズちゃんは素晴らしいわ。」


ユズがカレンに出してもいい商品とレシピをだそうとしたところでキャンベラがユズの商業ギルドカードを持って来る


「ユズちゃんこれがギルドカードです。ユズちゃんD級からスタートだから頑張ってね。」


ん?D級?


「D級から?よくわかんないけど、わかったのです。」


ユズがわかってなかったのでキャンベラは慌てて説明する


「ごめんなさい。説明忘れてたわね。」


キャンベラがわかりやすく説明をする。


☆まずギルドの等級はA~D級まである事


☆ギルドの会費、販売税、店舗、屋台使用料金、貴族階級への販売権利、等級によって費用が大きくかわってくる。


☆等級が上がれば貴族街にも立ち入ることが出来る。さらに王族とも取引もできるようになる。


☆商品販売は何を売るにしても商業ギルドに入ってないと捕縛される。


☆何を販売するかも商業ギルドに届け出がいる。


☆無許可の商品の販売は捕縛される



「……とまぁいろいろあるから注意してね。」


「わかったの。」


『これって等級あげればヤバイよね。貴族や王族まで、絶対ダメなのね。旅できなくなるのね。』



ユズがギルドカードを受け取るのを確認して、ベレーナがユズにくいいるように迫る。


「さぁユズちゃんどんな商品があるの?それともアイデア?あるなら何でもいいから出してくれる。」


ぅぅ近いの……


カレンに言われるままレシピをだす。


「えっと遊ぶのが2つ、洗剤が2つと『ユズここまでよ』あと。」


『カレンお姉ちゃんまだ大丈夫じゃなかったの?』


カレンは職員の反応を見て止めたのだった。


『これ以上だすと、町から出られなくなるわ。レシピと見本の商品をだしたら、ちょっと疲れたからと言ってギルドをでましよう。』


『わかったの』


ベレーナがユズの動きが止まったのを心配して尋ねる


「ユズちゃんどうしたの?大丈夫?」



ユズは少し疲れたように元気なく答える



「はい。なんかちょっと疲れたのね。この4つでいいですか?レシピにだいたいの作り方書いてますの。

遊ぶ道具も作り方とルールも書いてるのね。見本の商品も置いてくのね。」


ユズはマジックバックから髪の洗剤リンシャーと手や身体を洗うソフトソープを出していく。それぞれ見本4本出して、説明書、作り方の説明書、その後遊戯のリパーシとチェンガの見本と遊び方や作り方の説明書を渡す。


「これが作った髪洗う洗剤リンシャーなのね。こっちは身体と手を洗う洗剤ソフトソープなのね。これが説明書なのね。

それからこれが遊ぶ物なのね。リパーシとチェンガなの。説明書がこれなのね。」


並べられた商品を見て全員驚き沈黙が続く


「「「・・・・・・・・」」」


ユズは思った。


『これこの前と同じパターンじゃん。絶対まずいのね。もうぉカレンのばかー!』


ユズはすぐに立ち上がりまた来るからと出口に向かって走り出した。


「ユズ疲れたからお家に帰るのね。また来るのー」


ダダダダダダダダダダダ・・・・・


「ユズちゃん!待ちなさい!」

「ユズちゃん待ってお願ーーい!」

「ちょっとちゃんと説明しなさーい!」



「嫌なのぉーーー」


ダダダダダ・・・


『カレンお姉ちゃんのせいだからね!ちゃんと捕まらないように案内してよ

!』


『おっかしいなぁ・・この世界にも洗剤あるから大丈夫と思ってたのになぁ』


ユズはにげながらプリプリ怒る


『何が大丈夫だよ!みんな見て驚いて口パクパクさせてたじゃん!』


『もう王都はいられないわね。急いで町出るわよ。この先曲ってバックから灰色のローブ出して着なさい。』


『わかった。』


ユズはバックから灰色のローブを出して身に着け貧民街に向かう。


『そのローブは認識阻害付与されてるからまず止められることはないわ。』


ユズ作った記憶ないけどまぁ見つからないならいいかな。


お家の荷物も処分したらカレンお姉ちゃんと旅に出て、お母さんの言って町やいろいろなところ行って見たいなぁ・・・


ユズは貧民街の家で少ない荷物をバックに入れ町の出口に向かって歩きながら呟く



『いろいろあったけど勉強になったからいいかな。これからカレンお姉ちゃんもいるし違う町楽しみだなぁ』


ユズは王都の門を無事抜け少し離れたところで、王都に向かってお辞儀をした。


『冒険者ギルド商業ギルドのお姉さんごめんなさい。貴族のお姉さんごめんなさい。』


カレンは寂しそうに王都を見てるユズに話しかける


『ユズ王都ではいろいろあって離れるけど、落ち着いたらまた戻って来たらいいのよ。

これからお姉ちゃんと二人でいろんなところ行くんだから。

楽しい事もいっぱいあるわよ。だからそんな顔しない!さあ行くわよ。』


うん



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