第16話冒険者ギルドと商業ギルド
ユズ達が冒険者ギルドに着くと入口には大勢のギルド職員が待ち構えていた。
職員達はユズが抱っこされた状態に微笑み挨拶をする
「「「「ユズちゃんお帰りなさい。」」」」
職員達の対応にユズは驚く
えーー!
何これぇー!
来た時と全然違うし
ユズが驚いたまま何も言わないので商業ギルドのベルメルア がユズに尋ねる
「ユズちゃん凄く驚いてるようですが、ひょっとしたら前に来た時と対応が全く違うとか?前何かされたのですか?」
ベルメルアの質問にギルド職員は動揺するも上手く隠す。
ユズはベルメルアの質問に驚いている
『このお姉ちゃん凄い…何か全部知ってる見たい…』
ユズが答える前にギルド職員が遮り話を変えるように話しかける
この前ユズちゃんが忘れてた冒険者カード持って来るからちょっと待っててね。
え?忘れたって…あぁそういう事なのね。
ボクがどうしようか迷ってるとカレンが話しかけてくる
『ユズここであったあの事ならここは冒険者ギルドに貸しを作ってあげればいいわ。』
『商業ギルドの人もそんなに悪い人じゃなさそうだけど…』
『確かにそうだけど、ユズはこの前の依頼で気になってる事あるんでしょ。
なら冒険者ギルドに貸しを作って、その気になってる事させて貰えばいいと思うわ。』
『わかった』
ボクはギルドお姉さんに話しかける
「お姉さんありがとうなの。あの時急いでたからカード貰うの忘れてたの。」
ユズを抱いているギルド職員が嬉しそうに答える
「フフフちゃんと保管してありますからね。」
そのやり取りに待ったをかける商業ギルドのベルメルア
「ちょっと待ったぁー!おかしくないですか?ギルドカードなんか普通忘れませんよ!貴方達が何かしたからじゃないですか?」
うわーほんとこのお姉さんするどいのね。
ユズが黙ってるとベルメルアさんがにっこり笑ってユズを見る
「どうやら間違いないようですね。ユズちゃんはいい子だから嘘はつけない見たいですね。沈黙がその証拠です。」
冒険者ギルド職員達は否定する
「何勝手に決めつけている!」
「ユズちゃんは作業依頼のクエストだったから、報告してそのまま帰ってしまったんだ。」
「そうよ!あの時忙しくて私達もカード預かったままだったの忘れてたのよ」
ベルメルアは職員達に首をふり話す
「まぁそういう事にしといてあげる。ユズちゃんも何も言わないからもういいわ。
私はユズちゃんに商業ギルドに是非登録してほしいから来たのよ。」
ベルメルアとナナシー達が話してると奥からパンジーが出てきてベルメルアを見て話しかける
「あらベルメルアひさしぶね。今日はわざわざこっちまで乗り込んで来て何するつもりかしら?」
ベルメルアはサブマスのパンジーを見てにやりとして話しかける
「冒険者ギルドも随分変わったわね。少し前なら、ユズちゃんのような身なりの悪い小さな子供は、相手もしなかったはずだけど…」
パンジーも微笑み答える
「可愛いユズちゃんはギルド職員に人気だからですよ。それより商業ギルドがわざわざ捜しに出向くなんて、今までなかったと思うけど何かあったのかしら」
ベルメルアは勝ち誇ったように話す
「フフ私達は冒険者ギルドと違い優秀な者は丁寧に扱うわ。後でわかって対応を誤魔化すような事はしないわ。」
パンジーはベルメルアに自分達の行動が見抜かれ唸る
「ぐぬぬ…なら商業ギルドはユズちゃんに何をするつもりよ。」
ベルメルアはあっさり答える
「成績優秀なユズちゃんに登録して貰いたいだけよ。だからユズちゃん警戒しなくて大丈夫よ。
優秀なユズちゃんは特別待遇で無条件で買い取りも販売もさせて頂きますよ。
勿論ユズちゃんの秘密案件もギルド内で保持して他言しません。何でもです。どうですか?」
それを聞いてユズの表情が変わる。
ベルメルアはそれを見逃さなかった。
ベルメルアはユズの成績を見て、一瞬で商業ギルドに莫大な影響を与える人物だと熱心に考えを伝え、ギルマスや他の職員も納得しユズを特別待遇する事が決まり捜し回ってたのだ。
先ほどの表情の変化でベルメルアは確信する。
この子は何か秘密があり我々が欲しい物を持っていると…
「ユズちゃん私達は商業ギルドに登録して頂きたいだけよ。
それにユズちゃんの買い取りして欲しい物も全て何も言わず買い取りします。勿論高額でよ。フフ」
ユズは興味深そうにベルメルアを見る
『ユズの事守ってくれるの?安心して何でも買い取りしてくれるって事?』
その様子を見てパンジーは慌てる
「な、何を言ってるの!利益と名誉重視の商業ギルドのくせに!ユズちゃん騙されてはダメよ!」
『え?そうなの?でもベルメルアさん悪い人じゃなさそうだし…どうしょう』
ユズはパンジーの発言に迷いがでる
カレンはユズがこの状況をどう判断するのか見守りその結果助言するつもりで黙って見ている。
というのもどちらもユズを害するような魔力の揺らぎが無いので問題ないからだ。
ユズが迷ってるのを感じてベルメルアは、ユズを見つめ優しい口調で語りかける
「このままだとユズちゃんに信用して貰えないから、ここは私達引き下がります。
商業ギルドはユズちゃんに登録だけでもして貰いたいと思ってます。
それ以上の事はユズちゃんにお任せします。私達はユズちゃんの味方だから…
一緒に戻れないの残念だけどそれじゃ…
気が向いたら来て…ユズを待ってるから」
ベルメルアの優しい口調と最後寂しそうにする仕草でユズは動く
「待ってなの!ユズ冒険者ギルドでどうしてもやり残した事あるの。
それやったら必ずベルメルアさんのところに行くから待ってなの。」
ユズの発言にパンジーはやられたと思い、ベルメルアは勝ったと思いお互いユズの見えないところで表情が変わっていた。
『やられたぁー!くそぉー!』
『よっしゃあー!勝ったぞぉー!』
カレンは上手く誘導されたユズを見て思う
『ほんとユズの心の揺らぎを見て上手く誘導したわね。
まぁ悪意が感じなかったから何も言わなかったけど、ユズはまだまだね。』
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