第31話ユズを求める者達

ユズ達がコルトレイアの町に入った頃王都ではユズの事が話題になっていた。


ブリリアントは母の第一王妃エリアリーナに公爵家の庭の事を伝え是非王城の庭も見て貰いたいと懇願する


「お母様ジェシカ叔母様のところが、もう別の庭じゃないかと思うくらい、とてもとても綺麗な庭に生まれ変わって、精霊様が沢山飛び回ってるのです。

是非王城の庭園もあの方にお願いしましょう!」


エリアリーナは娘を落ち着かせ話しかける


「ブリリアント落ち着きなさい!はしたないですよ。その話しは何度も聞きました。

貴方の話からするとその方はとんでもない方ですよ。


私も是非お会いしたいです。恐らくジェシカ御姉様の事ですから対応もきちんとされてるとおもいますが、この方の対応は謝ってはいけません。

この国に留まって頂くためにも慎重に対応しなくてはなりません。早いうちにジェシカ御姉様と話し合った方がいいかもしれません。」


ブリリアントは公爵家に行くなら自分も同行を求める


「お母様私あの方の事でジェシカ叔母様の所にいくなら、私もご一緒したいです。

私が戻ってからあの方が再び公爵家を訪れたと聞いています。

その時のお話も聞いてみたいです。」


エリアリーナはすぐに行動に移す

公爵家にアポを取りジェシカが3日後なら大丈夫だと、その時に話しもしたいとの事だった。


3日後エリアリーナはブリリアントと護衛の女性騎士数名連れヘルマン公爵家を訪れる。


公爵家ではジェシカとアンジェリカ、オリーブ姉妹が出迎える


エリアリーナとブリリアントは病で長く生きられないと聞いていたオリーブが出迎えてる事に驚く


特にブリリアントがその姿を見て涙を流しオリーブに歩みより抱きしめる。


「オリーブ元気になったのですね。ほんと良かった…グス」


ジェシカもエリアリーナも微笑みながら見守る


エリアリーナがジェシカに尋ねる


「ジェシカ御姉様確かオリーブは聖女様でも回復不可の難しい病だったと聞いてますが…見る限り一時的ではなく完全に治ったのでしようか?」


ジェシカは頷き答える


「はい!完治しています。その事については部屋でお話しするわ。」


エリアリーナがブリリアントを促しジェシカ達の後に続く


「ブリリアント続きは部屋でなさい。」



エリアリーナとブリリアントはジェシカ達について公爵家に入って行く。


応接室に入るとメイド達がテキパキとお茶の準備をする。


ジェシカはエリアリーナの連れてる護衛の事を尋ねると、エリアリーナは彼女達は自分の身内で問題ないと告げられ、ジェシカも護衛3人の様子を見て納得し準備ができたので話をはじめる


ジェシカは公爵家での一連の出来事を話す。


「ブリリアントから聞いてると思うけど貧民の冒険者によって最初裏の庭園が生まれ変わり、どうやったかわからないが屋敷北側の窓全て新品のように綺麗にして貰ったのよ。」


エリアリーナもブリリアントから聞いていたので、実際に応接室に入るまでに確認している。


「ブリリアントから聞いて半信半疑だったけど、先ほど見て納得しました。王城でも日の当たらない北面は、1階はともかく2階3階と、高くなればなるほど掃除がしにくく、汚れが残ったままです。

私も仕方がないと諦めてましたけど…あの状態を見ると何か方法あるのですね。」


ジェシカも頷く


「確かにどうやったか知りたいわ。そんな事より私が一番ビックリしたのが庭よ!

あの子が庭の花や木に話しかけ土をいじり、植え替えたりして北側の庭園が別物になったのよ。

しかもあの子は、長い間病に犯されたオリーブの病気の原因を知ってたみたいで、その根本を処理してくれてオリーブが回復したの…」


オリーブが立ち上がり歩き回り元気になった姿をアピールする。


「エリアリーナ叔母様このとおり私元気になりました。冒険者の方には感謝してもしきれません。ほんと嬉しい…」 


嬉しくて目をうるうるさせるオリーブをアンジェリカがすぐに抱きしめる


「私もオリーブを元気にして頂いたあの方にこの気持ちを伝えたいです。

妹を助けて頂いてありがとうございますって…そしてお友達になって欲しいと…フフフ」


それを聞いてブリリアントも立ち上がり叫ぶ


「アンジェリカずるいです!私もお友達になりたいと思ってますから!抜けがけはダメですよ!」


エリアリーナもジェシカも微笑ましく3人を見つめる


「しかしあのブリリアントがねぇ…上級貴族のお茶会やパーティーで婚約の話が来ては、あの子全部断ってるのに、よりによって貧民の冒険者に好意を抱くなんてねぇ…」


ジェシカも同じ思いだった貧民の冒険者とでは立場てきに話すのも許されない…


しかしこの度の行いや再訪された時の行動で公爵家としてなにが何でも取り込みたいと…


できれば娘のどちらかと結婚してくれたらと思うほどだった。


あの子が公爵家に来て与えた影響は計り知れないくらい大きく、ユズによって生まれ変わった庭園は、精霊達が留まりその効果が屋敷の者達影響を与える。


その事をジェシカは十分わかっていたのだ。だからユズには留まって貰いたかったのだ。


ブリリアントが後ろで控えてるメイド達に尋ねる


「あの方が再訪された時皆さんで綺麗にして服も整えられたのですよね。どうでしたか?」


王女からの質問にメイド達は顔を見合せる

それを見てジェシカがメイド達に正直に話すように指示する


「ユズちゃんの事は貴方達の見たまま全て答えてあげなさい。」


メイド達は各々ユズの事を話しはじめる


「正直に言いますと、最初ユズ様を見た時は何日も洗われてない汚ならしいボロボロの服と全く手入れのされてないボサボサの髪、そして何より靴を履いてなかったのに驚きました。」


「私もです。でもそんな格好にもかかわらずユズ様の行動に美しさを感じました。」


「貧民の小さな子供であそこまで丁寧で一生懸命な姿はほんと美しいと思いました。だから汚ならしい姿でも可愛く見えました。」


「でもユズ様の庭での仕事が終わりお風呂に入られ私達がお身体と髪を洗った時妖精が姿を現したのに驚きました。でもその後が大変でしたけど…アハハ」


メイド長もあの時の事を思い出し微笑み語る


「ほんとあの時はもう… 風呂場に呼ばれ行った時ユズ様が倒れてるメイドをタオルで綺麗にしてたのは驚きましたけど…フフフ


それにメイド達に磨き上げられたユズ様はほんと妖精でした。

ただ股間に立派なものをお持ちでしたけど…」


「ユズ様は妖精のような可愛い姿の男の子だったのは驚きました。」


メイド長のマリアンがジェシカと王妃を見てあの時感じたユズの癒しの効果の事を伝える


「ジェシカ様エリアリーナ殿下私が一番驚いたのはユズ様の行動で皆が倒れた後です。

勿論私もその恩恵に預かりました。

ユズ様には魅了に似た人を癒す効果があります。


ユズ様に接してほとんどの者が癒され特に直接接した者達はその効果が大きく、ユズ様が帰られた後、私も含めみな体調がよくなり、今までの疲れが完全に回復して身体が軽く感じました。」


マリアンの報告にジェシカもエリアリーナも驚き沈黙する。



『ユズちゃんてホントに妖精様ではないのか…』


『まさかの貧民の子供が妖精クラスの種族…これは大変だわ…』



考え込む二人のところにユズの担当メイドに指名された二人レイチェルとスミレが報告にくる


「ジェシカ様急ぎご報告したい事がございます。」


ジェシカは入るように返事をする


「入りなさい!」


入って来た二人に一言言って報告をさせる


「今王妃殿下と王女殿下が来られてますから、注意して話しなさい!」


二人は挨拶をして報告を始める


「実は今町で噂の妖精の洗剤として商業ギルドから販売されている髪専用洗剤のリンシャーと身体用洗剤のソフトソープを購入して試しました。」


「ジェシカ様見てください!私の髪!これ妖精の洗剤リンシャーで洗いました。」


ジェシカもエリアリーナ達もキラキラ輝く髪に目が釘付けになる


スミレが髪をさわり手をはなすとサラサラと髪が流れ落ち花の香りも漂ってくる


普段驚く事のないエリアリーナが思わず叫ぶ


「なんですのその綺麗な髪!素晴らしいわ!」


ジェシカも同じように反応する。


「信じられないわね。サラサラじゃない!髪がキラキラ輝くなんてホントに凄いわね。」


ブリリアントが尋ねる


「その妖精の洗剤はまだ手に入りますか?私も使ってみたいです。」


二人は首をふり答える


「洗剤の噂はギルド職員によってすぐに広まり王都の上級平民下級貴族婦人や女性達が殺到して更に広まり今商品は入荷のメドが経ってないそうです。」


「何でも作り方が難しく妖精様でないと大量に作る事はできないのではないかと言われています。」


エリアリーナは尋ねる


「もしかしてその洗剤を作ったのはユズちゃんかしら?」


二人は頷く


ジェシカもエリアリーナも顔を見合せ頷き話す


「ユズちゃんの与える影響が大き過ぎますね。至急私達で保護しないとよからぬ事を考える者達に捕まり利用されますね。」


「ほんとユズちゃんって何者なのでしょうか…今までこのような新しい商品がなく活気がなかったのに産業が活気づくわね。」



エリアリーナがジェシカに至急に王城にて話し合う必要ある案件だと告げる


「ジェシカ御姉様これは王城で話し合う緊急案件ですよ。至急に召集をかけて…「待ちなさい!エリアリーナ!」話し…」

 

「エリアリーナ騒ぎたててはダメですよ。ユズちゃんの性格からそんな事をすれば二度と私達の前に姿を現さないかも知れませんよ。」


「え?ですがこれ程の影響を与える方を保護しなくては…」


「エリアリーナここは国の霞み部隊に見守らせましよう。」


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