第40話チェスラルの町の変化

ユズ達は冒険者ギルドを出たあと宿に戻りこれからの事を話し合っていた。


カレンがユズとルルランに明日の予定を伝える


『ユズ今日はいろいろあって町の情報があまり得られてないから明日は市にでも行ってどんなか見て回りましょうか。ついでに食材も手に入れたしね。そしたらいつでも次の町に行けるわよ。』


『そうじゃのまだもう少し情報がほしいかの』


『わかったの明日は市にいく。』


『なら今日はもう休むとするかユズ身体拭いてあげるから来なさい。』


『はぁーい』


カレンは二人の様子を見ながら自分の作業に取り掛かる


『じゃ私はマイワールドでアイテムでも作っておきましょう』



・・・・・・・


次の日ユズ達は市に向かいながらカレンに話しかける。


『カレンよ昨日の冒険者ギルドはあれからどうなったのじゃ?あの冒険者をスタンガンで処理したが、このまま素直に町を出れるのか?』


『そうだ。ユズもそれが気になるの。町歩いてたら何かされるんじゃ・・・』


カレンは暫く様子を見てみたいことを告げこのまま町に留まること。町の様子を見る事を告げる。


『冒険者ギルドなら問題ないわよ。念のため暫く町で滞在しながら様子を見ましょう。とにかくユズはこのまま市に向かって食材を手に入れましょう。』


ユズとルルランは頷き市に向かう


『それじゃ妾達はカレンの指示通り市に行くかの』


『はいなの』


ユズ達は市場を見て回るも並んでる商品に目を見て驚く


『ねぇルルラン母さん王都や近い町と全然違うね。肉がほとんどないし。野菜も品数少ないし品質も悪いよね。』


『そうじゃの食料が少なすぎるのぉ。だからこの町の住人は瘦せこけた者が多いのも納得じゃ』


ユズ達はその後も道具街や居住地など歩き町を見て回り宿に戻る。


次の日も孤児院や町を歩き回り町の外で薬草等素材を採取したりして過ごしていた。


宿でくつろいでいたユズにカレンが明日の予定を告げる


『そろそろ冒険者ギルドも落ち着いてると思うから明日向かいましょう。収納鞄の中にある大量のオークなどの貴重な素材をギルドに買い取ってもらいましょう』


ユズはもう一度冒険者ギルドに行くと聞いてごねる


『えーーあんなことあったのに嫌だよぉまた嫌なことされるから絶対嫌!』


ルルランはユズをなだめる


『ユズちゃん!カレンだってよくわかってるはずじゃ。それでも行けと言う事はユズが思ってる事にはならないからじゃ。妾もおるしカレンが言ってたようにここ数日市で見たとおり肉などの食材がほとんど売ってなかったじゃろ。ここはユズの収納鞄の中に大量に入ってる魔物の肉や他の素材をギルドに買い取ってもらうのがいいと思うのじゃ』


ユズはルルランに言われ暫く考えカレンの勧め通り冒険者ギルドに向かう


『わかったの。カレンお姉ちゃんの言うとおり冒険者ギルドに行くの』


・・・・・・


ユズたちが数日街を歩き回ってた頃

冒険者ギルドでは体制が変わり新しくリモアが責任者に昇格していた。

いつもならこうした案件は数日要するのだが今回はユズが原因のため本部も即断しその日のうちに処分が決まり翌日にはギルマスと男性職員の王都移動が決まり彼らは馬車で王都に向かった。


冒険者ギルドではリモアが職員全員を集めミーテングを始める。参加者は全員女性で男性職員は全て再教育処分となり王都ギルド研修本部に移動となった。ギルマスは本部で監察官から聴取を受けるため本部に向かっているため当然ここにはいない。


リモアは職員に檄をとばす


「今まで好き放題していたギルマスのオウロンはいない!賛同していた男性職員もいない。私たちはギルマスによって失った信頼を取り戻すためにギルド規定を徹底的に守らせ冒険者の行動を本来の姿に戻す!いいか暴力行為に走る冒険者は徹底的に断罪する!

皆職員の数が減り無理をさせるが王都から増員職員が来るまで頑張ってほしい。」


「「「「はい!わかりました。」」」」


「リゼールは元Cランク冒険者だから警備をお願いしたい。町の警備隊も来てくれることになってるから彼らと協力して対処してほしい。」


「わかりました。」


こうして新体制の冒険者ギルドはスタートした。


職員が全員女性に変わったことで今までなれ合っていた男性冒険者が窓口で揉める事案が多くなる。


当然もめ事が起こると女性職員では対処できないことも起こるがそこは町の町長の指示で警備局から数人待機していた。


「ドルナさんこれクエストに指示のあった部位の角の長さが随分短いのですがどうされたのですか?損傷も多くみられます。それに個数も半分ですよ。このクエストの達成条件は素材の納品数・損耗度が6割以上です。これでは完了を認めることはできません!」


新しく受付担当になったヴェニスはクエスト失敗の処理をしようとするとドルナたちがごねだす。


「ちょっと待てよ!今までならこれで問題なく処理してくれてたはずだ!ギルマスに確認しろ!」


「そうだそうだ!お前はちょっと前までルーキー受付だったじゃないか!ちゃんと査定しろや!」


ヴェニスは査定明細を見せる


「今まで口頭でお伝えすることが多かったですが、こういったトラブルを避けるため紙に詳細を書いて残すようになりました。これがクエスト詳細に対しての提供素材の査定内容です。」


ドルナは詳細に書かれた内容に驚くも引き下がらずクエストを認めさせようとする


「俺たちはDランク冒険者だ。この町では貴重なはずだ!薬師の店に行ってみろや!何もないじゃねえか。素材の欲しい薬師はこれでも納得して報酬を払うはずだ!確認しろや!」


ヴェニスは強引に認めさせようとするドルナを断罪する


「今回は薬師組合からの依頼で詳細通りあの状態ではほとんど使えないそうです。他にも町の市場や鍛冶師からも数が不足してたり品質の悪い物は支払いできないと言われています。

今までが特別だったのです。これからは依頼内容とかけ離れた素材は認めません!よってクエストは失敗とみなします。」


ドルナはなんとか認めさせようと別の手段にでる


「わかったよ。それじゃこれ商業ギルドに持って行って買い取ってもらうけどいいんだな。向こうも欲しがってるだろうしいい値段着くんじゃねぇギャハハ」


ヴェニスは呆れてドルナを見て告げる


「はぁ・・・別にいいですが無駄だと思いますよ。薬師組合や市場組合共私たちは話し合っていて冒険者ギルドの査定官が認めた者以外は彼らは支払いに応じないですよ。もちろん商業ギルドもこのことは認めてくれています。どうぞそのまま持ち込んでみてはいかがですか?」


素材については基本冒険者ギルドの査定者の書類がないと買取ができない。トラブルを回避するためにも査定者の書類がない物は買取できない仕組みになっていた。

今回の件で冒険者ギルドから各組合に徹底されたのだった。


『相変わらず男どもは相変わらずね。前より徹底されたのに以前ならあのバカなギルマスがいたから書類なくても買取はしてもらえたもでしょうがこれからはそんなことできないから』


ドルナは馬鹿にしたようにヴェニスを睨み一言告げ提出した素材を奪いギルドを出ていく


「わかったよ!素材返せ!組合で買い取ってもらえば失敗は取り消して貰うぞ!それと謝罪もしろよな!」


ヴェニスも睨みながら答える


「どうぞご髄に。買取していただけたら謝罪させて頂きますわ。」


ドルナ達は笑いながらギルドを出ていく。


しかし結果は商業ギルドは一切応じずドルナ達を追い返す。


「ドルナさん今までは前の貴方達のギルマスの圧力で買取してたがこれからはこうした直接の買取はできないのでお引き取りください。」


ドルナは食い下がるも相手にされず一言脅し文句を言って立ち去る


「わかったよ。今後俺たち冒険者は商業ギルドからのクエスト受けねえからな!」


バタン


「アルテナ!記録録ってるね。」

「もちろんです。」

「この書類と一緒に記録魔道具を冒険者ギルドに持って行ってくれ」


その後ドルナ達は商業ギルドからの脅迫行為の訴えを受け冒険者ランク降格処分と1年間の活動停止処分を受けることになる。


その後も素行の悪いDランクEランク冒険者パーティーが次々降格処分、活動停止処分を受ける。


結果チェスラルを活動拠点にしていたほとんどの男性冒険者パーティーが何らかの処分を受けていた。


☆冒険者ギルドの責任者がリモアに変わってから1週間ギルド内ではリモアが朝のミーティングで皆と話す。


「五月蠅い連中がいなくなって少しづつ女性冒険者が戻ってきてるみたいね。」


カラーも頷き話す


「時間外を上手く利用して活動してた子たちが戻ってクエストをこなしてくれています。」


「そろそろ来てくれるかしら」


リモアが呟くと


数名の職員が騒ぎだす。


「ルルランさん達は商業ギルドの方に時々いかれてますよ!」

「市で可愛いユズちゃん見ました。もう一度来てほしいです。」

「うんうん。あの子可愛いからもう一度来てほしいよね。」

「うん。来てほしいー」


リモアは嬉しそうに話す彼女たちを見て微笑みながら指示をする


「はいはい。わかったからお話はそこまでよ。もうすぐ営業を始める時間よみんな準備して頂戴そろそろあの子が来てくれるかもよ。」


「「「「「はい!」」」」」







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