第6話ヘルマン公爵家

ユズが王都を出て森に向かった頃公爵家では・・


家長のジェシカが朝目覚めて屋敷の北側に面してる執務室に入って驚いた。


ジェシカは窓からの景色が凄く綺麗に見える事に思わず叫んでしまってた。


『なにこの明るさは!』


あぁ窓ガラスが驚くほどきれいになってるからか…


ん?


何裏の庭木!


生き生きとしている!見えるわ!


今まで何もなかったのに…


昨日私が城に行ってたたった一日でここまで変わるなんてどういう事…



『これはいろいろと聞かないといけないわね』


ジェシカは執務室から総メイド長のシーリアを呼ぶ


メイド長のシーリアは女性家長のジェシカに呼ばれて執務室にはいる。


「シーリアこの部屋に入って貴方何か気づいたかしら?貴方の部屋も北側にあったでしょ?」


シーリアは頷き答える



「私も驚いています。窓がまるで新しく取り替えたみたいに綺麗になってるのですから」


ジェシカも頷き嬉しそうに話す


「でしょ!ほんと窓ガラスを入れ替えたみたいに綺麗になって明るさが全然違うもの!

それにおどろいたのが裏庭の庭園です!」



シーリアも庭園と言われ何度も頷き興奮したように話す


「ジェシカ様庭園の植木が昨日までとまるで違います。私でも嬉しそうにしてるのがわかります。輝いてますから!ほんと綺麗です!」


ジェシカ達が話してるところに娘のアンジェリカと昨日から遊びに来ていたブリリアント王女が入って来る。


「お母様!みました?

裏庭の花が輝いてますわ。凄く綺麗になってるのです。」


王女も嬉しそうに話してくる


「ジェシカ叔母様凄いです!庭が輝いてます。昨日庭師の方頑張られたのですね。3階の窓からも凄く綺麗に見えてビックリしました。」


ジェシカは娘と王女殿下にその事を確かめてるから少し待つように言う


「アンジェリカ、ブリリアント殿下少し待ってて今その事を確かめてるから」


ジェシカはシーリアに一緒に確かめに行くので数名のメイドも呼ぶように命令し庭師も同行するように連絡させる。


ジェシカは朝起きて窓からまぶしいほど光が入り込んでることに驚き3階の窓から裏の景色をみて驚いたのだ。


それは今までなんだったのか?それほどまでガラスが曇っていたのかと改めて思った。


それに加え裏庭の庭園の状態だ。私は以前より庭師に命令してもう少し屋敷の北側の庭園を何とかするように言っていた。

ジェシカ自身も苗木を買って植えてたりしていたが根ずくことなくすぐに枯れる。


違う苗木を植えたら近くの花まで枯れる事もあり、何をやっても庭木はしおれやがては枯れる。この繰り返しだったのだ。

庭師も原因はわからないといってるし、庭師もいろいろ試しているのは知っていた。


ただ最近はその姿をあまり見かけていなかったから諦めたのだと思っていた。


それがだ!今朝見たら植物全て輝いてるのだ。


それを問いただすためにメイド長を呼んだのだが、本人はまだ確認していないと言う。


ジェシカはメイド長と一緒に屋敷の裏に回り庭を確認した。


そこには前日まで全く元気のなかった多くの花が生き生きと輝き、庭木も枯れかけていたのが葉を生き生きさせている。


しかも多くが植えられてた場所の土が変わってるのだ。


この土壌が庭の花や植木を元気にし、生き生きとして輝いて、庭全体が美しく見えるのだ。


昨日の状態がここまで変わることがあるのかと言うくらい変化していたのだ。


それに驚いたのが窓だ!


定期的に掃除してるにもかかわらず場所のせいなのか、汚れが酷くもう落ちなくなっていたのだ。

それがたった1日で、まるで窓を新しく取り替えた見たいになってるのだ。


庭も窓も…いったいたった1日で何があったのだ…


王女殿下も娘と庭に来て喜んでいる


「ジェシカ叔母様精霊たちが喜んでいますわ。こんなに精霊が飛び回るの見るの初めてですわ。」


ジェシカは王女をみて思い出したように呟く


『そうかブリリアント王女は精霊が見えるんだったわね。』


アンジェリカが庭師のトムスを呼び褒める


「トムスよくぞ一日でここまで手入れしてくれました。ブリリアント王女も凄く喜んでるわ。」


トムスはそれを聞いて喜びチャンスとばかり語りだす。


「アンジェリカお嬢様、ブリリアント王女殿下長年の成果が昨日やっと出ました。ほんと苦労しました。」


しかし精霊が見える王女殿下は少し疑問に思う。


『あれ?今精霊がおかしな動きになったわ。この方がほんとうに助けたなら精霊たちは嬉しそうにしあの方の周りを飛び回るはずなのに、逆に怯えているどうして?

このか方じゃないんだ…』


王女が疑問に思うのも当然で、同じようにジェシカもトムスの発言に疑問を抱いた。

ジェシカはトムスを見るブリリアントの態度で確信する。


『庭園を回復させたのはトムスじゃない…まぁとにかく一応聞いてみましょう』


ジェシカはトムスに尋ねた。


「トムス今まで私がいくら苗木を買って来て植替えても花はすぐしおれ、植木もしおれてたわ。

何をしたらああなったのかしら答えなさい !」


トムスはさすが庭師だけあり、昨日花や植木の土壌が替えられていたのを知っていたのだ。


それを枯れたら昨日の子供のせいにして、いい方に変わったので自分の手柄にしたのだ。


もっともらしくトムスは説明する


「はい!長年いろいろな角度から庭を見てまして、気になった花や植木の土を移し変えました。

まさかここまでよくなるとは思いませんでした。」


ジェシカはトムスの言動を観察してトムスが嘘をついてるのがわかったがも何も言わなかった。


ジェシカはトムスに労いの言葉をかけ、持ち場に戻るように促した。


「長い間ご苦労様。トムスもう戻っていいわ。」


トムスはニヤニヤしながら立ち去って行く。


王女が何か言おうとしたのを目で制止て、残った者達を見て話を始める


「アンジェリカ。ブリリアント。よく見て見なさい!二人とも一昨日から居るからわかるでしょ。」


アンジェリカはじめメイドも改めて周りを見る。


「はい!お母様窓全部が綺麗になってます。」


ブリリアントも感じたことを答える


「窓は確かに綺麗になってますが、萎れた花がなくなってるのが凄いですわ。

それに少し前に私が植えた花の位置が変わってます。原因は土だけじゃなかったのでしょうか…」


ジェシカは頷く


「そうみたいね。」


メイド達も頷くが一人のメイドだけは様子が違った窓を見つめたままぶつぶつ言っているのだ。


それを見たジェシカはメイドに尋ねる


「ナタリアどうしたの?あまりの綺麗さに感動してるのかしら?」


ナタリアは地面に頭をこすりつけるように泣きながら謝罪する


「ジェシカ様私とんでもない事をしてしまいました。申し訳ございません。

私はあの方に…あの方に…ぅぅ…暴言と評価を…ぅぅ」


それを見たメイド長のシーリアがひたすら謝罪を続けるナタリアの身体を起こし落ちついた口調で尋ねる


「ナタリア昨日のことね。叱らないからわかるように説明してくれる。」


ナタリアは頷き涙を拭いゆっくりと話し出す


「昨日依頼で北側の窓の掃除に来てくださった冒険者の方に、掃除が終わったからと聞いて確認に行きました。

確認に行くと日も落ちて薄暗くてなっていて、よくわかりませんでした。

なのに私は冒険者の方が貧民の汚ならしい子供だったので見下して、あの汚れた窓を綺麗にできるはずないと判断し2階3階が綺麗になってないと暴言を吐きました。」


ジェシカも周りの者も黙って聞いている。


シーリアは怒らずゆっくりとした口調で話を促す。


「それだけなの?まだあるの?私も一緒に謝罪するから包み隠さず話して…」


ナタリアは頷き話を続ける


「私シーリア様に冒険者の方の事を聞いてから時々見てたんです。

そしたら冒険者の方は庭のしおれてる花に話しかけるようにしてるようでした。


それから他の植木にも同じように話しかけてるように口元が動いてました。


私もやる事があり離れたんですが、再びあの方を見ると庭の中程で植木に隠れるように何かをしてたんです。


たぶんあの時地面の土をいじってたのではないかと思います。


それでこの方は勝手に庭の花や植木をいじったと確信しました。

そこからは窓の作業が終わってても冷静に見る事もできず…


勝手に庭の植木をいじったと、窓も綺麗でないと悪い評価を下し。報酬を下げると、言いました。

ほんとうに申し訳ございません。」


メイドは再び地面に頭をこすりつけ謝罪をする。


シーリアが何か言うのを制止てジェシカはナタリアに話しかける。


「ナタリアは深く反省してるようだからくどくど言うつもりはありません。

ヘルマン公爵家としてこのままではよくありません!


シーリアと二人再び冒険者ギルドに行き正しく昨日の事を伝える評価をしなさい。

そして謝罪の旨を伝えその方にもう一度我が公爵家に来て頂く事です。

その時私も謝罪し、できれば定期的に来て頂くようにお願いするつもりです。」


公爵家の主人が平民の低ランク冒険者に謝罪すると聞いて皆一様に驚く


娘のアンジェリカがそこまでする必要があるのか尋ねる


「お母様!昨日の事でお母様が直接謝罪しなくても、メイド長でもよろしいのではないでしょうか」


するとブリリアントがそれを否定する。


「アンジェリカ!メイド長ではダメよ!精霊様を喜ばせる事ができる方よ!

私が謝罪してもう一度来て頂きたいですわ。その方に王城の庭園もお願いしようと思うくらいです。」


ブリリアントの発言に皆が驚く


ジェシカがそんな様子をみながら話す


「皆そういう事よ。それほどの方だと言う事よ。わかったわね。シーリア、ナタリア」


「「はい!ジェシカ様」」


二人は立ち上がりジェシカの後ろに下がる


ブリリアントがジェシカにお願いをする


「ジェシカ叔母様私その冒険者の方にお会いしてみたいです。精霊様が喜ぶなんてあり得ない事ですわ。」


ジェシカは頷く


「そうね。私も是非お会いしたいわ。植物と話し元気にさせるなんて聞いた事がないわ。

それに長年の蓄積の汚れを落とす事ができる方法を持ってる。

他にもまだ能力持ってそうだし是非とも我が公爵家にほしいわ」


アンジェリカが嬉しそうに話す


「私もお会いしたいですわ。あ!シーリアあなたはその冒険者の方の容姿知ってるのよね。どのような方なの。」


シーリアは思い出すように答える


「冒険者様はユズと名乗ってましてランクはF装備はなく、衣服は破れ糸等で繕ってました。

靴もはいてなくて裸足でした。顔もかなり汚れてましたから、恐らく貧民ではないかと…

ですから屋敷に招くのはどうかと思います。」


それを聞いてガッカリするアンジェリカ


「そうですか…」


ジェシカはそれを聞いても関係ないようにメイドに指示をする


「では冒険者様の容姿も聞いた事ですから、謝罪と招待はシーリア達に任せて、残りのあなた達は冒険者様の新しい衣服の準備とお風呂をいつでも入れるようにしなさい。」


「「「わかりました。」」」


シーリアが念のために尋ねる


「あのジェシカ様よろしいのですか相手は貧民の子供ですが…」


ジェシカはニコニコしながら答える


「身分と容姿でしょ?何か問題ありますか?誰にも文句を言わせません!それが例えダントーラでもです。」


ブリリアント王女が呟く


『確かにジェシカお叔母様なら国王のお父様も文句は言えない…』




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