第13話商業ギルド

ユズは最低限の装備を森で討伐した魔物からカレンの指示に従い解体して何とか服とパンツを作った。

ユズが苦戦しながら作ったためかなり不細工デザインだったが、今まで着てた服は森での鍛錬でぼろぼろになったからカレンの指示で急遽作ったのだ。

ローブは母親の使ってたぼろぼろのローブにてを加えてサイズを調整したのを身につける。


ユズは準備もできたためAIのカレンの指示通り、王都に戻って素材を売り資金調達して、服や食材を手に入れ旅立つつもりだった。


ユズはローブのフードを頭からかぶり、王都に向かった。

サイズが大きいため手直ししたがそれでもまた少し大きく周りから見るとぼろぼろの少し大きいサイズのコートを無理に着てるように見える。


途中すれ違者全て大きなぼろぼろのローブを着て歩くユズを皆見て行く。怪しまれながらも無事王都の門に到着する。

ユズは一応市民石は持ってるので怪しまれながらも無事入る事が出来た。


ユズが王都の町を出た時はまだ肌寒い春先だったが、森で半年以上過ごし季節は夏を過ぎ秋も深まっていた。


『うわー町出た時春だったのに夏過ぎちゃってるし…』


ユズは秋の装いの町を見て思いにふける


周りをキョロキョロ見てるユズにカレンが指示をする。


カレン『ユズ無事入れたので、今から冒険者ギルドは避けて、商業ギルドを目指しましょう。

対応がしっかりしてれば年齢を多少偽っても大丈夫のはずです。

商業ギルドは読み書きと計算が出来る者ならば年齢は問いません。』


そうなんだ…でもボク読み書きは一応出来るけど計算はできないのに…

ユズは自信なさげにカレンに伝える


『カレンボクって計算なんかできないよ。』


『それは心配ないあたいがいるから、全問正解できるから』


ならいいか。商業ギルドで登録すれば市場で商売ができるのか。


『カレン商業ギルドで登録してどうするの?何か売るの?』


カレンが王都での行動を伝える


『まず王都で情報収集ね。売ってる物を見てどういった物を売ればいいかを考えて貰うわ。

売って目立つのを避ける事も考えて見て回るつもりよ。

ユズも下手な物売って目立ちたくないでしょ。』


確かに何も考えずに売って目立つと大変な事になるもんね。


『うん。よく見ておく』


カレンはユズが町を出るきっかけになった冒険者ギルドの事を思い出させる


『でもこの前の冒険者ギルドの件はまだ解決してないしユズも戻りたくないでしょ。』


ユズは頷く


『うん。文句言って冒険者カード叩きつけて出てきたから、行くと絶対何か言われると思うの。』


カレンは納得してユズに提案する


『だったら屋台で売るのをやめて、ここは商業ギルドに直接買い取りしてもらって、資金を調達しましょう。

屋台で下手な物売って目立ったら大変ですからね。でも登録だけはしておきましよう。冒険者カード返したなら商業ギルドガードが身分証明になります。』


『わかった。』


確かにボクなら作った物適当に売ってたよ。

もし売った物が珍しい物や希少な物だったら大騒ぎになってたはず…

それに身分証明のために商業ギルドガードかぁ…

さすがカレンだ。全然考えてなかったよ。アドバイス助かったぁ・・


ボクはカレンの指示通り商業ギルドを目指した。


商業ギルドに着いて中に入ると冒険者ギルドと違って凄く静かだった。


ここは乱暴な言葉遣いする人も騒がしい人もいないね。


『ユズ正面カウンターの右端が登録手続きの受付ですよ。』


ボクはカレンに言われたカウンターに行き登録手続きをする。


「あの商業ギルドに登録したいんですが、いいですか?」


うわー受付の人が睨んでくる。ボクのこの格好かな?


カレンがアドバイスしてくれる


『まぁ確かにユズのその汚らしい顔ボサボサの髪と大きな怪しいぼろぼろのフードだからしかたないわ。

早く何とかした方がいいわね。怪しいのは間違いないですから…

ユズは第一印象で失敗してますからね。早くまともな服装を揃えましょう。第一印象は大事ですからね。』


それを聞いてボクはカレンに怒る


『それなら早く行ってよ!』


カレンは反論してくる


『あら、それを言ったらユズどこにも行かないじゃない!お金どうやって稼ぐつもりよ!

こんなの最初だけ我慢すればいいのよ!

お金稼いだらすぐに服と身体を綺麗にすれば以後問題なくなるわよ!』


確かにお金稼ぐまで辛抱すれば・・


『ごめんなさい』


『フン!わかればいいのよ。』


カウンターのお姉さんは完全に嫌そうにしてボクに言って来る


「確かに登録に制限はありませんが、最低限の読み書きと計算が出来ないとトラブルの元になるので、そのテストに合格しないと登録は出来ませんが、よろしいですか?」


ボクは頷き返事する


「はい」


このお姉さん完全にウザがってるね。早く帰れ雰囲気でまくりだよ。


まぁこの格好と容姿だしね。


身体と顔洗って髪も洗って服も買って着替えたら普通の平民の子供くらいになると思うけど、何か嫌な予感するからこのままでいいや。


うわーこのおねえさんずっとユズを嫌そうな顔で睨んでる。


「ではこの用紙に必要事項を記入して、書かれている計算問題を解いて!」


「はい…」


うわー何かさっさと書いて帰れオーラが出てるし…


ボクは名前と年齢を記入し書かれている計算問題を解いていく

勿論解くのはAIのカレンだ。


『じゃカレンよろしくね。』


カレンは全部任せてくるユズに怒る


『何がよろしくですか!ちゃんと教えますから、ユズが解くのです。』


『えー--!何言ってるの?AIじゃん答え教えてくれてもいいじゃん!』


ボクは文句を言うとカレンはもっともらしく答える


『何言ってるんですか!せっかくの機会なんですから覚えればいいんです。

知識は宝です。損はないんです。時間が無くなればあたいの言う通り書けばいいんですからね。』


『わかった・・がんばるよ。』


『よろしい。じゃまず1問目ね。』


こうしてボクはAIのカレンに時間のある限り計算の問題を教えてもらった。

一通り説明してもらい実際自分で解いていく。

何度も叱られ書き直しながら回答を埋めていく。半分くらい自分で解いたところで時間がなくなり残りはカレンに言われるまま書き込んだ。


「はい!出来ました。」


ボクは用紙を提出すると受付のお姉さんがビックリして何か呟いていた。


『嘘でしょ!汚らしいあの子供を落とすために用意した、王国貴族学院の高等学部最終学年の計算問題なのに… まさか全部解くなんて・・これはギルマスに報告しないとまずいわ』


「少し待っていて下さい奥で答え合わせをして来ます。」


お姉さんはそう言って奥の部屋に入って行った。


ボクは何か嫌な予感がしたのでカレンに聞いてみた


『ねぇカレンあの問題全部解いて大丈夫だったの?』


『え?あぁあの問題ね。たかが6桁の掛け算と割り算問題ないわ。あたいこう見えて珠算検定1級持ってるのよ。あれくらい暗算で十分よ。それに中学程度の因数分解余裕よ。』


嫌そうじゃなくて・・このAIわかってるの?

珠算てなによ、因数分解?何それ知らないし・・

ユズは自分の思ってる事をカレンに尋ねる


『難しい問題答えて問題にならないのか心配してるんだけど・・』


『どうしてよギルドに出された問題でしょ?大丈夫でしょ』


えー-!ちゃんと考えてよ。サポートAIでしょ。なんなのこのAIは・・


『いや!さっき受付のお姉さんが何か問題を見てブツブツと言ってたからなんかマズイような気がして・・』


『何よそれ早く言いなさいよ!』


えー-!ボクがわるいのー


『ユズ登録はいいとさっさと断って!出るわよ!

調べたらあれは王国貴族院の高等学部最終学年の問題よ。何で言わなかったのよ!あれは一般平民が答えてはダメよ。』


おいーー!お前が悪いだろぉー-


ボクはすぐに近くにいたお姉さんに断った。

   

「あのお姉さんボクさっき登録の試験受けたんですけど難しかったから無理みたいなので帰ります。」


受付のお姉さんは微笑んで答えてくれた


「やっぱ難しかったかな?4桁の足し算引き算は、仕方ないわね。わかったわ伝えとくからまた勉強してから来なさい。」


やっぱし・・絶対マズイ


『ユズもうすぐ出て来るわ早くしなさい走って!』


『わかった。』


「お姉さんまたなの。ボク急ぐからバイバイなの」


ダダダダダダダダ


「あら?いない?メルティここにいた男の子知らない?」


メルティは走って出て行くユズを指さし答える


「難しかったから帰るってあそこ走って出て行こうとしてますよ。」


受け付けをしたキャンベラは叫ぶ


「ちょっと待ちなさい!ユズちゃーん」


ユズは止まることなくギルドを出て王都の町中を走る


はぁはぁ・・・


ここまでくれば大丈夫かな


ほんと考えなしのAIカレンにやられたよ。


『カレン誰も追いかけて来ていない?』

『大丈夫みたいね。一応ずっと警戒はしておくから安心して』


何が安心してだよ。お前が考えなしに問題を解くからだろう!はぁー全然上手くいかないどうしよう


お腹すいたのにお金ないから何も買えないしもうどうするんだよぉー!


もう王都で何かするの諦めて森の泉の場所に戻って食糧確保してから王都じゃなく違う町に行った方がいいかも・・


だって冒険者ギルドも商業ギルドも行けなくなったし・・


ボクがいろいろ考えてるとカレンが叫ぶ


『ユズすぐ動いて!向こうにある大きな屋台の方に向かって走って!早く!冒険者ギルドの受付の女性がユズを指さして叫んでたから急いで!』


えー-!


ボクは必死に走った。カレンの指示どおりに…


はぁはぁ…


『ユズこのままでは追いつかれます。あそこの路地に入って3件目の家に入ってください。薬師のお店があります。』


『わかった。』


ダダダダダダダダダダ


ここか・・呼吸を整えて扉を開ける


「お邪魔しまーす。」


バタン


奥から声がする


「おやこれは可愛いお客さんだね。」






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