第29話聖女の戸惑い
ユズが上手く誤魔化し聖女が来る前にさっさと町に入って行く。
暫くしてユズの行った通り聖女の乗る乗り合い馬車が到着する。
門のはるか手前で止められ御者は戸惑う。しかも周りには多くの兵士と見たこともない運搬車が3台止まっていたのだ。
さっきユズに対応したゼラートが御者に問いかける
「緊急事態のためこの場で確認させて貰う。定期運行の乗り合い馬車であってるか?」
御者は頷き答える
「はい!王都シトラスト商業ギルド所属の乗り合い馬車でシトラストからコルトレイアを経由しボンドとロンドーナまでの予定です。」
「一応全員確認したいので降りて貰えるか!」
兵士に言われ全員馬車から降りる。
ゼラートは聖女らしき女性と護衛と思われる女性を別にわけて質問する。
「聖女はフードを深く被り専属の護衛は運搬車の中に捕らわれてる男達の中に襲撃して来た者を見つけ聖女に耳打ちする」
その様子を数人の兵士が確認すしてゼラートに報告する
ゼラートは頷きユズの言ってた事が間違いないと思い込む
『どうやら間違いないようだなあの御者のお嬢さんの言った通りか…いずれにしてもこの盗賊達を警備隊の牢に入れるにしても数がなぁ…』
そこに王都から移送部隊を派遣したと連絡がはいる。
「ゼラート班長王都警備局より連絡あり、重要指名手配犯レッドストーンを引き取りに向かう。
聖女様の行動はできるだけ妨げないようできるだけ簡潔に状況だけ聞くだけでよいとの事です。 」
それを聞いてゼラートは聖女に確認を取る
「聖女アメリア・コルトラン様でいらっしゃいますよね。私コルトレイア警備局第二班の班長ゼラートと申します。身分を隠されてるようなので確認だけさせて下さい。」
聖女アメリアは護衛のシルクと話した後頷き答える
「はい… 定例の巡回訪問で、王国を巡るつもりで移動しています。私は大丈夫です。
専属護衛が二人ついてますので、できれば早く解放してほしいのですが…
この捕らわれてる方々は私を襲撃してきた者です。間違いありません。これでよろしいですか?」
ゼラートは指示通り長く拘束する事なくすぐに聖女を解放する。
その時に聖女と護衛に感謝の言葉を伝え周りの兵士も同様に感謝を伝え頭を下げる。
「聖女様お手数をおかけしました。素晴らしい結界魔法だった。と先にこいつらを運んで来た御者のお嬢さんから聞いてます。それに護衛の方々も爆煙の睡眠魔法と爆雷で倒してくれありがとうございます。」
「「「「聖女様ありがとうございました。」」」」
アメリアはゼラートに話しかけようとしたのをシルクとミレアが止める
「アメリア様ダメです。正直に答えれば私達は長く拘束されます。」
「そうです。彼らは何か勘違いされてるようですけど、ここはそのままにしておきましょう。」
「何か心苦しいですが、確かに長く引き留められるのはちょっとね…」
アメリアは頷きゼラートにお願いをして町に向かう。
「ゼラート様警備隊の皆様後の事宜しくお願いします。私の事は公にしないで下さいね。では失礼します。皆様にアマテラス様のご加護がありますように…」
アメリア達は再び馬車に乗り込み中で二人と話し合う
「シルクどういう事でしようか?私には何がなんだかわかりません。」
シルク達も頷き考えをのべる
「確かにあいつらは私達を襲撃したけどすぐに撤退した…これ程の人数しかも有名な盗賊団なのに何で?」
「アメリア様恐らく彼らは私達が誰かを確認するために襲撃したのです。彼らは撤退したと見せて、誰かが私達を見張っていたのではないかと思います。」
「そうか!あの後アメリア様は傷ついた者に回復魔法を使われた!それを確認した。それで本格的に襲撃しょうとして何者かに捕らえられた。」
アメリアは二人の話しに何度も頷き考える。
「となるとですね。ここまであの捕らえた盗賊達を運んで来たお嬢さんと呼ばれてた方が怪しいですね。」
二人も頷き答える
「班長はその運んで来た御者のお嬢さんに盗賊団を倒した状況を聞いたと言っていたから、恐らくその子があいつらを倒したと見るのが正解ね。」
「しかしたった一人の女の子があの盗賊団を倒したなんて信じられないわね。
あいつら長い事捕らえられなくてかなりの賞金が掛けられてたはずよ。
それに王国の騎士団でもかなりの犠牲を払うほどの連中を捕らえたとなれば、賞金だけでなく王国からもかなりの報奨があるはずなのに…
それを私達が捕らえたと報告するなんて、信じられないわ。」
アメリアは二人に尋ねる
「ねぇ私とあなた達であの盗賊団捕らえする事は可能?」
二人は即答する
「無理!」
「無理よ!」
アメリアは納得するように頷く
「そうよね…かなり考えてやらないと無理よね…しかしあの盗賊団を捕らえて私達に手柄を譲り立ち去った方は何者何でしょうか…」
シルクがハッキリと答える
「お嬢さんと呼ばれた方は私達の事を知り助けてくれたのでしようね。
恐らく襲撃者は私達が聖女一行だと知りアジトに戻り再び襲撃しょうとして、そのお嬢様に全員捕らえられた。」
「そうね。それでそのお嬢様は騒がれるのが嫌で上手く私達を利用して逃走したってところかしら…いずれにしても私達を守ってくれた方でかなりの実力者かな。」
アメリア達は手続きを済ませコルトレイアの町に入り宿に向かう。
シルクが宿の前に着くと中に入る。
「ここですね。森の香り邸この町で一番安心できる宿です。警備局の建物も近く、冒険者ギルドも近くにありますから…」
ミレアも中に入り納得する
「かなり掃除も行き届いているみたいですし、従業員の対応も問題ないですね。」
シルクが受け付けで手続きをして鍵を受けとる
「シルク様この度はこの森の香り邸をご利用誠にありがとうございます。皆様のお部屋は303号室3人部屋になります。
お食事は1階に食堂がございます。いつでも利用できますのでメニューからご注文ください。
お風呂は1階食堂右手側の扉の奥に大浴場がございます。それでは皆様ごゆっくりおくつろぎください。」
アメリアは風呂があることに満足し嬉しそうにシルクの後をついて行き部屋に入る。
「お風呂もあるんだ…楽しみだわ~」
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