35 ~揺覚の少女~ YOUKAKU
「くグくぅウ………ガあァァァああああアアアアアアアア!!」
音速の衝撃波が周囲一帯を襲う、次の瞬間、ヤツは喰らい始めた。
まるで台風の中に居るかのような突風に包み込まれ、身体が人型の怪物へと吸い寄せられていく。
だがそれ以上に、紛れもない違和感が深刻な事実を突き付けてくる。
「――!? ま、
誰かが叫ぶ。
肉体だけではない。
身体の内に
「ま………まさかこいつ、魔力を、私達の魔力を吸い取ってる!?!?」
高速環状線の防音壁にしがみ付くリサ先輩が叫ぶのが、疾風に紛れて聞こえるのが分かった。
誰かがこの嵐の中、魔法を
軽い
だが、それが
誰もが、逃げられなかった。
怪物が吸い込んでいく物をよく見ると、吸収される寸前に、粉々に分解されているのが
このままでは、いずれみんな力尽きてしまう。それは誰の目にも
ふと、隣に立つルナちゃんを見る。
ディザイアーの特殊な攻撃、《
そう思った
「ぅ……ルナ、ちゃん………?!」
左手に拳を作り、固く握り
「っ! ダメ、だよルナちゃん! 確かにルナちゃんの力は凄いけど、相性が悪い! 頭の良いほうじゃない
「
化け物の
その
「あなたに私の何が分かると言うの! 私には、まだ失うものがある。無くなってしまうのが恐いものがある! もう何も失うものが無いお前とは違うんだ!!」
「―――――――っ!!」
その感情は、
その感情にも、
かつて、自分が
もう二度と味わいたくない、
「…………違うよ……」
気が付けば、
それに気付き、だけど止まらなかった。
「っ何が違うと―――」
「
「―――っ………」
「確かに
次々と、言葉が
「ルナちゃんが居るって!!」
「――!?」
「
「
「前にも言ったでしょ。ルナちゃんの大事なものは、
力をゆっくりと吸い取られていく
固く、握られた手を。
「だから、行かせないよ。だってルナちゃん、笑ってないもん。ルナちゃんの笑顔を
「……………なら、どうすればいいのよ! あなたにならどうにかできるの?」
その目には
そんな大切な友達に、
「分からない。でも、ルナちゃんと一緒なら。
「………それは根本的な解決になってないでしょう」
薄く
「――まったく。あなたはいつもそればかりね。……私を笑わせたいのなら、まずは考えなさいよ。あれをどうするのかを」
言って、野良の魔法少女は気配を落ち着かせる。
認める。とまではいかなくとも、彼女なりに、受け入れてくれたのだろうか。
そんなルナちゃんのためにも、どうすればいいか考えなくちゃ。
だが、この絶望的な状況で、打開策なんてものは
その時。
「
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