5 ~後輩の少女~ KOUHAI
授業が終わり、教室を出て廊下を歩いていると、
三年生の教室がある二階から、下駄箱のある一階へ下りる階段の
「今年の新入生達は元気な子が多いなー」
隣を一緒に歩く、さっきの授業の時間、
「そだねー……」
「何、さっきのカナちゃんの
ため息はあっても、元気も精気もない返事をする
「だっとぅぇ、最近は
その指をお返しと言わんばかりにぱくりと
すると
「ぐはっ」
「公衆の面前でいきなり何するのよ」
「——————っ……それ……
見た目以上のダメージに頭を
「思春期の男子に変な性癖を
敗訴。被告は
肩を落とし、しょんぼりと階段に足を向ける。
そこで
「あ、
「——?」
「っ!」
突然目の前が真っ白になった。
正確には、様々な色の表紙を開けた白い紙の
「きゃ、」
「はぶぁ――――!」
バサバサと降りかかるノートに生き埋めにされた
背中に積まれたノートを
ぶつかったのは、提出されたのであろうノートを運んで階段を降りていた一年生——二年生は何故か隣の教室棟が主な教室だからだ――の女の子だった。
降りてきた階段に尻もちを着いて、そのお尻を
「急にごめんね。
「あ、いえ―――。私の方こそよく見て降りてなかったので……トモナ?———」
「
「——へ?」
「ん? 犬がどうしたの?」
女の子が呟いた言葉にハテナを浮かべる
「あれ? あなた、どこかで会ったこと」
「
「えー、でも、今言ったイヌって———」
「聞き間違いです。膝の成長痛が
女の子は若干早口でまくし立て、目を
よくよく見ると、女の子は割と可愛い顔をしてる。黒い長い髪も綺麗でよく似合っている。将来大きくなったら美人さんになるような、そういった感じの
そんな美人ちゃんのセリフを聞いた
「そ、そうなの? そんなに痛いんだったらこのノート、
うんう——いや待って。
持っていってあげるのはいいとして、何故
「え? あ、は、はい。一年二組の
ん?
「
「
「ウっソだ! そんな変な苗字聞いたこともない! 都道府県の名前なんておかしいでしょウッ」
両手大振りの鞄が、言い終わるコンマ数秒の発音と同時に
「よし
「
若干
「
「じゃあ
「今のちゃんと聞いてたのか……。何気に凄いなアンタ。そこはいない……ハズ」
「そっか……。なんかごめんね。
「い、いえ。希少性の高い苗字だというのは、自覚、してるので……」
中学に上がったばかりの新一年生には
ああ、せっかく集めたノートをまた拾わなきゃだ。
いそいそとさっきよりも散らばったノートを集めていると、教室側の廊下の方から男子達の声が聞こえてくる。
「あっれ~? 誰かと思えば、さっきの授業で涎
拾う手を止めて見上げた先には、両隣に連れ
「私たちがぶつかってばら
特に言い返せることもなく、ただ固まるしかなかった
「う、うるせぇ! あれは、えと、あれだ。テストの事を考えてたんだよ。寝てはねぇよ!」
「別に私寝てたとか言ってないでしょ」
「う………。と、とにかくだ。
それだけ言って、
残りのノートを拾いきった
「
「そ、そうなんですか」
「あ、はは。まあ仕方ないよ。
やり場のない恥ずかしさと申し訳なさを、照れ隠しみたいに、自分の頭を撫でるような動作で誤魔化しながら、ノートを抱えて立ち上がる。
実際、今日もお昼休みの後、五時限目の授業には結局遅れちゃったし、そのせいで先生に少し
「あんたがドジなのは今に始まったことじゃないし、みんな
「う、うん」
どうとでもない。
というように
さっきから、新しい後輩ちゃんの前でみっともないところばかりを見せてしまってもいるし。
「(みっともない)」
「ん?
「い、いえ別に何も……」
けれど
「えっと、すみません。やっぱり用があるので―――あ、えっと、あと足も痛いのでノート、お願いしてもいいですか。職員室前の
「え、うん分かった。それはいいけど、大丈夫?」
「はい。それでは失礼します」
気のせいか。
さっき
手すりを持ちながら階段を降りていく
校内のスピーカーがザザッ、と音を漏らし、一気に音量を上げるようなマイクのノイズが響いたかと思うと、動揺を取り
『きっ、緊急警報。きんきー警報! 東京湾内に漁港にて超大型のディザイアーが出現!! 全校生徒はすぐにさま体育館に移動して避難指示を
直後、地震のような短く強い揺れと目では見えない
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