33 ~面影の少女~ OMOKAGE
戦場と化した名古屋市の中心から離れ、魔力を使い果たしたであろう野良の魔法少女・ルナちゃんを抱えて、
しかし、跳んできた後ろの様子を
「みき………ちゃん??」
前に呼んだ
ただ一つ違うとすれば、その
だが、力無く
いや、
頭がぐるぐると
「………トモ……ナ?」
「っっ
「———!!」
「………良かった、
「……………
「違うわ」
目の前の薄白の少女は、ピシャリと言い放つ。
「この顔は、体は確かにあの子のものではあるけれど、違う。私はルナ、あなたの言う
「そ、そうなんだ……」
ルナちゃんの言うことは、正直全ては分からなかった。
でもルナちゃんの言う通り抱きかかえるこの女の子が、
事実、ルナちゃんは
魔法少女として変身すれば、身体的特徴に変化が起きる子は普通に多い。
だけど、ルナちゃんのそれは
どこか、雰囲気が似ているようで違うのだ。
でも、それでもいいとも感じる。
「……うん。ルナちゃんはルナちゃんだもんね」
「トモ、ナ………———! そうだ、アキラは!」
「えっ!?」
そこで薄白の魔法少女は、今まで忘れていたことを
「えっと………。人型ディザイアーが襲った、
「………………そう。………そっか、良かった」
ルナちゃんは
ルナちゃんにとって、「アキラ」という子がどういった関係の子なのかは分からないけど、多分、守りたいモノの、一つなんだろう。
だから、あんなに取り乱し、そして、こんなにも安心しているのだ。
出会ってから
だけど、
けれどそれは
「……ありがとう。もう、一人で立てるわ」
「え、もう? あんなに激しく戦ってたのに」
「大丈夫よ。感情が
言いながら、
「あなたはもう戻りなさい。私は大丈夫だから。あなたが向こうへ着く頃には、私の魔力もおおよそ元に戻っているわ。総量が少ないから、魔力の回復速度には自信があるのよ」
「ルナちゃん………」
「後で
「っ! うん!」
まだ
そんな彼女に突き動かされるように、
頭の上から、
「ふん。
「テリヤキぃ?
後から聞いた話では、この時テリヤキはキョトンとした顔をしていたらしい。
何を隠そう、この大柄な魔法猫は、ルナちゃんが蹴り崩したビルから脱出した時から、ずっと
器用に
魔力体と言えど、実体に干渉できる以上、痛いものは痛い。
「ああ。忘れておった。いやすまぬ。
そう言って、悪びれた様子も掴めぬまま契約魔法精霊獣は
若干軽くなった頭を
「…………私も少しは気になっていたのだけれど、大丈夫かしら?」
「うん。ありがとう。ルナちゃん程じゃないから心配しなくてもいいよ」
ルナちゃんも、人型ディザイアーとの殴り合いで、
「……ふっ」
「……ぷっ」
「ふふ」
「あはは」
「………その様子なら大丈夫そうね」
「うん」
それだけで、なんだか体中に力が湧き出してくる気がした。
けれどすぐにまたいつもの顔に戻ってしまう。
少し残念だ。
そんな彼女に、声を掛ける。
「あんまり無理しちゃダメだよ」
「………ええ。まだ
「分かってるよもー。じゃ、待ってるね」
言って、スカートの
ちらっとルナちゃんの顔を盗み見ながら、
「無茶しないように、か」
私も
「はぁ………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます