31 ~紫狂の少女~ SHIKYOU
「『
名古屋城の天守閣。
金の鯱に並んで眺めるそこには、
「理屈の上では、あり得るとは分かっていたけれども、まさか、本当に人間からあの怪物が誕生したとでもいうの………!?」
「『特別緊急事態宣言』と、それに
「う、うん………」
隣に立つリサ先輩の横顔には、この季節には珍しい
無理もない。
ディザイアーは、
その能力の一つが形となったものが《
本能で動く
そしてただでさえ複雑な思考能力を持つ人間がディザイアー化したならば、厄介どころの話ではなくなる。
獣を元とした
欲に支配された脳―――そもそも脳と呼べる器官が存在するのかも怪しいが――は理性と言語能力を失ってしまうが、それ
それを理解出来るため、リサ先輩の緊張は
「さっき確認した情報だと、まだ現地市民の避難が終わってないみたい。私達もそっち優先で動くわよ」
「うん」
「………」
リサ先輩の指示に
現場にほど近いビルの屋上に立つと、その
先に到着していた現地や近くから来たのであろう魔法少女達は、その大半が当のディザイアーの対応に
今まで現れていたディザイアーとは違う、複雑かつ非情な動きを見せる相手に救助活動が思うようにいかないんだ。
その上、
救助を進めるために立ち向かい、ディザイアーの抵抗か攻撃でやられたのだろう。あるいは市民の人達を
リサ先輩と
そこにはおびただしい数の乗用車や路線バスに観光バスが、横倒しになったりひっくり返ったりしている。中には潰れているものもある。
魔法少女達が
魔法少女ではない、普通の人の救助隊員では危険過ぎて近付けないんだ。
ルナちゃんも、これから向かうその場所を見下ろしている。
その観光バスの中には、
「ッッッ!!!」
その時
「アキ――――――――
な
に
を
し
て
い
る
き
さ
ま
ぁ
!
!
!
足元のビルの上部を
「―——―――!? ルナちゃ―――」
その
立ち並ぶビルの屋上を次々に踏み砕いて。
とにかくどうにかしようと外へ向けた手の反対、右手に
「
頭の上から聞こえた渋声の通りに、杖の先を少し左に向けて推力を右に
崩れていく
「っ、ルナちゃん!!」
リサ先輩の手首を離し、飛び移ったビルの屋上のフェンスに走り寄る。
「あああああああああああああ!!!」
迫り来る
が、黒い怪物の反応速度よりも早く、
「す、
いつの間にか
人型ディザイアーの腕を打ち抜いたルナちゃんは、着地した先のビルの壁を蹴り壊し、紫色の衣装を
しかし今度は人型ディザイアーもしっかりと反応し、無事な方の腕で
打ち落とされたルナちゃんは、真下のビルに
そして、なおも怪物に
まるで
「行かなきゃ…………!」
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