16 〜夕戯の少女〜 YUGI
江戸川を越えた
猫や犬のようにお尻を落とし、首との境が見分けられない頭を乗せたスラリとした胴を
「あれはイタチ型じゃないかしら」
近くの商社ビルの屋上で様子を見ていた
「えっ。フェレットじゃないの?」
「人に飼育されている生物がディザイアー化したのなら、あなた達
「そっかー。フェレットじゃないかー。………フェレットじゃなくていたちなの?」
「あなたのそのフェレットに対する思いは一体なんなのかしら………」
ため息と共に吐き出された言葉に、返事は不要と言うように
「ところで、私がこれに気が付いてここへ向かって来るまでにそれなりの時間があったと思うのだけれど、他の
ルナちゃんに向けていた視線を外し、いたち型のディザイアーの
警戒避難誘導のアナウンスが、江戸川の向こうから聞こえてくる。
そうして数分前にここへ来たときにも、誰も居なかった。
今こうしていたち型ディザイアーの動向を
「うん、
「……………っ」
言葉は口にしなくても、ルナちゃんが
それとも、前に言っていた”守りたいもの”が危険に
「大丈夫だよ。療養中って言ってもほとんど治ったようなものだし、魔法少女は
言ってはにかんでみせると、
夕日ももう山の向こうに隠れて表情は見え
数日前に見た時は綺麗だと思ったけれど、パラパラと
「…………だとしたら、あのディザイアーは私の手で
「えぇ? もしかして一人で戦う気!? 危ないよ。ルナちゃんは確かに強いかもだけど、一人でディザイアーと戦うなんてそんな危ないことはさせられません!」
「問題無いわ。これまでもそうだったし、今回も今まで通りやるだけ。それに私一人の方が下手に連携を組むより効率的で安全よ」
「だったら
恥ずかしがり屋さんだなぁルナちゃんは。
「(あなたという人は、やっぱり他の狗共とはどこか少し違うわね)」
「……ん? 何か言った?」
「あなたみたいな甘い人間がよく今まで生きてこれたものだとある
「ホント!? えへへぇ、そんな程でもないよ」
「
ルナちゃんはまたも左手で頭を抱える。そして、むぅ~、と
「………別に無茶な戦い方をしようと言っているわけではないわ。第一、あれが病院の上に居る以上こちらもそうそう手を出せないでしょう。それにあれも
「と………?」
「関係無いから無視してちょうだい」
「わぷ……!」
ふい、と
なんの負けるか! と、それを逆に押し返す。
ふんぬぬぬ。
「ちょ、なに頭を押し付けてこようとしてるのよ! この………!!」
ぐぐぐ……、と双方引かぬ押し合いの綱引きが繰り広げられる。
右手を左手で支えるルナちゃんに、両足をしっかりと踏みしめて顔を突き出す
ふとそれを見ていた―――目のようなものは
「わきゃっ!? っぺぶ!」
「………こんなことをしている場合じゃないでしょう! まったく……あなたと居ると調子を
「いたたたた………。
「そうね。ディザイアーは
「あんなにじっとしてるなんて、どんな欲望からディザイアー化したんだろう」
「それについては
「「!!」??」
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