第4話 力を求めて 1

 なんやかんやあった茶会は終わった。

 俺はその足で図書館へと向かい、調べてものをしていた。


 夕方は図書館で書物に埋もれながら考え事をしている。私こと、キャスト・エンバイス(27+4歳)です。


 魔力やスキルがない私は当然、知識力が必要になるのだが、元々覚えるのは苦手だ。

 というよりも、この世界において知識どうこうって割と難しいものだ。


 なぜなら、スキルと魔法が重視されている。


 つまりは、商売やら物作りやらをしようにも、必要なスキルがある人たちの方が大きなアドバンテージを背負えるわけで。

 ちょっとした知識や技術どうこうで答えられるほど優しい世界ではございません。


 そのため、実際は知識力だけで生き抜くって、簡単なように見えて実はめちゃ難しい。


 前世にあったファンタジー小説のように、簡単にいかんのだよ。ワトスン君。

 てか、周りの人たちがチート過ぎて辛すぎるんですが。


 そう思いつつ、本を読み返すと少し気になった項目があった。


 勇者召喚についてだ。

 転生者が他にもいる説が少し強まった。


 勇者召喚は割と驚くことに、大国とされる王国、法国、帝国、皇国、聖王国、魔道国、龍国の各国々において可能とされている。


 ん?なんか多くね?


 国によって、信仰している神の属性が異なっており、我が国の皇国では

 風を司る女神アシュタルテとされている。


 王国は土を司る豊穣の男神 ヘルポイロ 


 法国は雷を司る裁きの男神 ライコウ


 帝国は水を司る水麗の女神 ラウメル


 龍国は火を司る生命の女神 イルヴァーナ


 聖王国は光を司る導き手の女神 アラヌス


 魔道国は闇を司る常闇の男神 ゾロシャーナ


 とこんな感じで、大きな神様はそれぞれの国で奉られておりますとさ。

 なんだかなぁだよね。

 他にもチョロチョロといるらしい。


 こんなに神様いるなら1人くらいスキルをくれるのでは?と思惑した。

 神様巡りの旅をしようにも普通に旅する年齢どころか、途中の道端でお亡くなりになれられる想像しかつかない。


「はぁ〜〜。ん?魔力についてか。」


 あまり興味はないが。

 さらっと読んで理解しておこう。


 まず初めに、魔力は体内の生命力の一種である。簡単に言うと、五大栄養素に近くいイメージだな。

 当然無くなりかければ、死ぬかはわからないが、瀕死または衰弱状態になるらしい。


 マナポーションなどで回復したりなど、魔道具で補うなど工夫し、魔力量をコントロールしていく。


 だが、元々保有できる魔力量は生まれてくる時に決まるそうだ。

 大体は子孫が強いと魔力も強い説だが、稀にそうでもないケースもあるらしい。

 正に神のみぞ知る世界だな。


 そして、扱える属性も生まれた際によっては異なる。

 その国の神が司る属性に対して、同じ属性が扱えることが分かれば、専用の固有スキルが必ず与えられるとかなんとか。


「身勝手な話だなと思う。

 ほしいわけでもないのに、手にするだけで注目や視線を浴びる訳だからな。

 人によるが、僕は気分が良くないな。」


 なんも与えて貰えてないから、このような悪態をついていると思う。

 我ながら小物臭ぱない。


 後天的なスキルは父上曰く、が。

 実際に体験したわけではなく、聞いた話だとかなんとか。

 そう考えるとそれに望みを託すのは悪手だな。


 スキル持ちほどではないにせよ、出来るだけ武器や知識を身につけておいた方が今後の身のためになるだろう。

 生き残りのための処世術は全世界共通の必須能力だからな。


 魔力に関しては魔道具でしか身に付かんだろうな。

 魔力の最大値を伸ばすことができるらしいが、魔力そのものを身につける方法が無いときた。


 魔力が無い事自体の前例がないからであろう。

 この世の生物は最低限は魔力を持っているという話だ。生活魔法とかがいい例だ。

 だから魔力に関しては、ほぼ詰んでるので諦めですね。


 魔道具に関しては、より入念に調べておく必要がある。

 道具頼みだが、魔力がついたり、スキル代わりに使えたりすると、かなり便利になるな。


 長時間の調べ物をしていたせいか、空腹によって食事の時間だと気づいた。


「ふぅ。お腹減ったな。食事でもしに行くか。」


 椅子から立ち上がり、本を片付けてからミレルミアに。


「お待たせ。行こうか。ミレルミア。」


「かしこまりました。

 食事の支度は済んでおります。ご案内いたします。」


 母上の部屋へ案内をしてくれる。


 食事に関して、前は家族揃っていた。

 私の件が絡んでか、かなり険悪なムードになっため、それぞれで食事を摂るようになった。


 母上、マーシャ、ミレルミアと壁際で控えているメイドさんのマール、メイドさんのウィンカ、老執事のマイエスがいる。


 基本的に食事は母上、僕、マーシャ、ミレルミアと摂るが、稀に義姉上ことセイランとキアラが来ることがある。

 勿論、義兄上ハルバンも。


 伯爵家というか、中世の料理ってなんか味薄なイメージだった。

 しかし、割としっかりと調味料と下ごしらえなどができているのか、美味い。


 特に、好きなロブスター料理が美味い。

 そのままでもいけるが、胡椒と特製のタレをつけて食べると更に美味い。


 サラダも普通のサラダとは違って鮮度の高い品になっている。

 多分管理魔法とかの能力だろうな。すげぇ。


 スープはさっぱりしたオニオンスープで、くどくない味に対して、温かく口の中でタマネギが踊っております。


 パンはパンでした。以上。


「ふぅー食べた食べた。」


 満腹を示す僕。


「もう。はしたない真似はよしなさいな。」


 優しく諭す母上。


「本当にたくさん食べられますね。

 今回はお気に入りのエビ料理でもありましたので、ご満足そうで何よりです。」


 ニッコリ顔で話すマーシャさん。


「私は肉自体が好みですが、たまには魚の肉でも満足できるものですね。」


 豪快な肉好きアピールをするミレルミア様でした。


「では、僕はちょっと考え事しに自室に戻ります。これで、失礼します。」


 礼儀は弁えている。


「ええ、少し早いけどおやすみなさい。キャスト。」


 微笑みながら見守る母上


 一礼をした後に部屋を出る。

 ミレルミアも少し後から部屋を出て、追うようについてくる。


 んー。廊下長いし広くね?


 窓の外を眺めながら歩いて、僕の部屋にたどり着いた。

 僕が振り向くと。


「私はこれにて失礼させていただきます。

 何かありましたら、すぐにお呼びください。

 何においても、必ずお側に駆けつける所存でございます!」


「あ、うん。ありがとう・・・」


 なんか顔近い。

 綺麗なのでついつい緊張し目を逸らします。


 前世は結婚して子供もいた。

 だからといって、女性と多く付き合ってきたわけではない。


 それから部屋に入ると、すぐにベッドの上に転がり、考えにふけていた。


 きついな。

 ただでさえ、転生した理由がわからない。

 あれよこれよのてんてこ舞い状態になり、気づけば4年の月日がたった。


 義兄上ことハルバンと義姉上のセイランは13歳になったら学園へと移動となり。

 そこで3年間教養を学び、1年間の職先の実務体験を経た後に、新たな職先へと旅立つ。


 まぁ、当主になる人は別件だろうがね。


 そんなことは今はどうでもいい。

 僕自身だ!

 このままでは学園は愚か、修行中に死ぬ。

 危険なことはさせないだろうが、正直なところ、僕アンチ派閥が何をしてくるかわからん。


 母上とアーシャ義母上に対する反発を持つ勢力がサルベリア義母上だ。

 よくもそんなでかい派閥をこの短い期間で作り上げたものですねと感心したわ。


 やっぱスキルによる知識力かな。

 チート嫌いになりそう。

 もらえない事への偏見で。


「そのためにも対抗手段を取らないとな。」


 独り言が多い僕だ。

 普通は、盗聴や誰かが聞き耳を立ててる危険性があるため不用意な一言は言わない方がいいらしい。

 しかし、僕如きに必要ない。


「自分で思ってて悲しくなるな。

 ほんと、どうするかな。」


 暫くしてから目を閉じた。

 そして前世の夢を思い出すな


 魔法とかスキルとか異能系やら、たくさんのアニメや漫画に触れてきたな。

 現実的に考えて、あり得ないことが数々と画面の中であった訳だ。


 ん?そういえば。

 この某アニメのキャラクターは格闘術を使ったり、手からビームやら光弾など出したりしてるな。


 大国中華で、その昔に気力を使った気功師なる者がいたとかいないとか。

 現代では、マッサージでも応用されてたっけ?

 あまりにも胡散臭過ぎて、その存在が頭から離れていた。


 某アニメもそうだが。格闘系アニメ、漫画にの戦いぶりを見て思い出したが、魔法や異能系は見当たらない。

 どちらかと言うと、念や気迫とかを使ってる感じだな。


 実際、魔法やスキルと言ったことはなく。

 どちらかというと、気とか生命力を使うケースが多い感じがする。


 やってみるか。


 パッと起き上がり、あぐらをかいて座り。手を半月状態にして下の方に沿える。


 どうイメージをする必要があるかな?

 魔法だと、その色や属性の特徴を捉えることで発動するとかなんか。


 では、体に纏わりついている気だとどうなる。

 体の外や体内に潜む、生命力を放出するとかかな?

 とりま集中して放出のイメージでやってみよう。


 少ししてから気づいた。


 これでオーラが出てるとかわかるのか?

 座って、座禅紛いなことしてるだけで。


「って分からんわ!

 明日イメージ力について、ミレルミアにでも聞いて考えてみるか。」


 全ての考えを振り切って不貞寝した。



 夜 


 屋敷の隣にある騎士専用の建物がある。

 その一室を使っているミレルミアの部屋である。


 今日も図書館で本をお読みなっていたな。

 考えている姿はとてもかわいらしい。

 ちょくちょく小言が多いようだが、まだ4歳の小さな子供だ。

 抑えや精神の未熟さからポロッと出てくるのだろう。


 それにしても結婚か・・・。

 ちょくちょくキャスト様から聞こえるが。

 身分違いもあるし、今はまだ子供だ。

 少ししたら思いも変わるだろう。


 けど、心の内では期待している自分がいる。


 はじめて見せた幼い時の笑顔は今でも覚えている。

 キャスト様が生まれてから、初の笑顔が私だったらしいからな。


「フフフフフフ♪」


 ちょっとらしくない笑いだ。

 いろんな男どもに言い寄られるケースは多いが、なぜかどれも靡くことはなかったな。


「さて、明日の朝も早いから寝るとしますか。」


 明かりを落として、ベッドに寝転がりこんだ瞬間。


 途轍もない威圧感を感じた。


「!!」


 すぐに起き上がり、あたりを見渡すが。

 既に何もなかったかのように静かだった。


 気のせいとは思えない威圧感だった。

 だが、ミレルミアは騒ぎが起きないため、気のせいと思い、再びベッドで体を休めた。


 その夜の威圧感騒ぎは家内の実力者たちは気づいてはいるが。

 誰が発したかは定かになっていない。



 あとがき


 キャラクター紹介など、まとめられ次第投稿していきます。

 よろしければ今後ともよろしくお願いします。

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