第166話 再びダークエルフ 道中

 退屈なボード日和も、もうすぐ終わる。

 途中で止まる事なく飛んでいたが、何日か日は経ってはいた。


 普通に、馬車や歩きで行くよりは圧倒的に早いが、国を2つほど跨いでいる分、それなりに時間は掛かった。


「ダークエルフと再びご対面か。」


「そうね。キャスト君は英雄だもの。

 きっと、皆んな歓迎してくれるわよ。」


「弓とか飛んでこないよね?」


「凄い事考えていますわね。あなた。」


 バーディスさん。だって、俺人間ですよ?

 何かこの前、めっちゃ恨まれてたし。


『それは個人的な問題かと。』


「大丈夫です。旦那様は私がお守り致します。」


「ミレルミア様もおりますが、私も微力ながらお守りさせていただきます。」


 ディアとミアが励ましてくれているのかな?


「ありがとう。その時はよろしく頼むよ。」


 にしても女子率が・・・・

 悪くは無いが、会話に困るな。


『今までやりたい放題してきたのに、急に奥手とはどういう事ですか?』


 いやね、話せない訳では無いのよ。

 ただ、ほらね。なんか気まづいのよ。


「キャスト様?何かお飲み物をお持ち致しますか?」


 ディアはめちゃくちゃ張り切っている。

 見るからに分かる。


「そうだな。何があったけな?」


「紅茶・エール・お茶・果汁種ジュース数種類ご用意できます。」


 多くね?


「んーー。ブドウジュースで。」


 やはり、王道の一択なり。


『どの世界の話ですか?』


「かしこまりました。少々お待ち下さい。」


「ねえ。貴方のお仲間さん?お嫁さんなのかしら?

 どちらでもいいのだけれど、少し激しくない?」


 リリーア学園長と久々に話す感じがする。


「そう・・・ですかね?」


「何で疑問系なのよ。」


「だって、知らないもん。」


「貴方ね・・・・」


 ジト目で見てくる。

 いや、本当に知らないのよ。初期メンバーはしょうがないよ。

 でも、後半は本当に知らない!


 俺は悪くない!


『悪い人が言うセリフですよ。』


「貴方も苦労しているのね。慰めてあげましょうか?」


「是非、よろしくお願いします。」


「ちょっ!学園長!それに、あなたも!」


 バーディスさん。初なのね。


「あら?貴方は・・・・2組の代表生徒さんね。」


「も、申し訳ありません。自己紹介が遅れました。

 私はバーディスと申します。

 火の精霊王の娘であり、誇り高き法国の民です。」


 何か歯にかかる言い方しますね。


『ダークエルフとエルフは仲が良くないですから。ただ、相手は学園長です。』


 良い顔しないとね。表面上は。会社かよ。


「そう。よろしく。

 私もちゃんと自己紹介させてもらうわね。

『リヴ・イグノーシ』の学園長をしている、リリーアと言うの。」


「リリーア学園長。よろしくお願いします。」


「ええ。こちらこそ。

 ところで、貴方は彼の彼女なのかしら?」


「ふぁ!な、なななな何を!!ワタクシがニンゲンなんか!!」


 あ、こら。

 耐性付いてないんだからあかんよ。


 茹蛸のように顔を真っ赤にして、あわあわしている。


 ハイネに似てるな。


『心が読まれなくなってから、好き放題言ってますね。』


 普段の仕打ちをここで。


『小並感凄い。』


「違うのね。」


「リリーア。と言ったらいいのか。」


「ええ。そんな貴方はミレルミアさん?」


「はい。旦那様が学園ではお世話になっております。」


 お前は俺のオカンか。


「むしろ、こちらが色々と助けてもらっている側よ。」


「なるほど。早速ご活躍をされているようで。」


『何ですかあれ。雰囲気が少し変ですね。』


 差し詰め、同胞で俺と肉体関係があると見たが、お世話になっている学園長だし、氷の精霊王とかで何かあるのだろう。


「貴方は彼の?」


「はい。旦那様の第一夫人です。」


 サラッと嘘を言うね。

 結婚どころか、プロポーズもできてない。

 俺の歳も関係しているが。


「へぇ。いい事ね。種族関係無しに接しているってことかしら。

 なら、私も成れるわね。」


「成れる?とは?」


「彼のお嫁さんよ。」


「「・・・・・・・・・」」


 ちょー久々に沈黙シリーズでたよ。


『ハイネ様、ナタリア様、クラウディア様、ミレルマナ様も見ておりますよ。』


 戦争かな。


「そうですか。

 同胞であってもなくても歓迎はしますよ。」


 心が篭ってないぞー。


「そう。ありがとう。意外と寛容なのね。」


「な訳あるか!!キャスト君!貴方は氷の女王様もいただいちゃった訳なの!?」


「ま、マナ姉さん!そんな言い方は無いんじゃないのかい!?」


「キャスト様!詳しくお願いしますね!」


 ハイネさん。魔力全開で問い詰めないで。


「あら?お姉さんも聞きたいわね?

 私たちを置いてきぼりにしておいて、自分は新しい女ですか?」


 ナタリアさんは目が笑ってない。


「キャスト様!私もお聞きしたいです!

 アリシア様や我々がいるではありませんか!?」


 そこであの人の名前も出す辺り、凄いです。

 皆んな、近いよ。圧死するって。


『潰されてしまえ。』


 聖剣にも見離される始末だ。


「そうだな・・・・すまない。

 俺はどうも人を愛しやすいようだ。

 これは一種の病だ。」


『アホか。』


「へぇ。病ですか?面白いですね。

 ウフフフフフフ。」


 ハイネさん。1番怖いです。


「では、旦那様。その病を私が治しましょう。

 これから四六時中、私がお側にいて全てをお慰め致します。」


 俺のプライベートねえじゃん。


「な!み、ミレルミアさん!抜け駆けですぅ!」


 ハイネさん。ツッコミがなっちゃないよ。


「ミア・・でも、シンプルでいいわね。

 私も世界樹で約束したしね。」


 マナ姉さん・・・


「な、なな何をしでかすつもりですので?」


 バーディスさん。聞かない方がいいかと。


「貴方は少し休んでいなさい。」


 リリーア学園長が


『魔力耐性が高いエルフ相手に効かせてますから、相当強度ありますよ。』


 優しくはなかったようだ。


 そして、オラも優しくされなかった。

 激し過ぎて、着く頃にはヘロヘロになってしまった。




 ダークエルフ里近隣


「着きましたか。」


「ここがそうなのね。」


「とりあえず、我々は準備しましょう。」


「ハイネ、マナ姉さんは各班に指示を。」


「「了解(です!)」」


 俺だけ杖を付いている。

 準備ができてないのだが?


『自業自得です。』


「キャスト様。私が抱えましょう。

 さあ、楽にして下さい。」


「鎧何で付けてないのよ。」


「その方が痛く無いかと・・・」


 その大きな物に当たると、再び元気になってしまう。

 はっ!これも孔明の罠か!


『なわけ。』


「クラウディア。旦那様は私が抱えよう。

 代わりに周囲を頼みたい。」


「ミレルミア様。これは譲れません。

 本日はキャスト様からの直々のご指名で配属となりました。」


 あまり強く言ってやんな。

 これがあるから、今回の周りから崩そう作戦はキツいのよ。


『デメリットは付き物です。』


 正論だよ。


「ほう。逆らうか・・・少しは理解があるとは思ったが、つけ上がるなよ。腰巾着が。」


 怖いです。

 最近のミアは闇精霊王になった影響か、口がすこぶる悪いです。


「アリシア様に引っ付いている事実は否定できません。

 私は何を言われても構いません。

 ですが!この任務と護衛は私の全てを賭けております。それは譲れません。」


 おお。ディアが強気だ。


「ちょっと!ミア!何してんのよ!

 あなたがいないと先に進めないじゃないのよ!早く来てちょうだいな!」


 マナ姉さん、ナイスタイミングだ!

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