第167話 ダークエルフたちとの会合

「チッ。助かったな。

 少し見直すことにした。覚えておけ。」


「・・・・・・・」


 圧倒されている。そんだけ強くなったのか。


「旦那様。申し訳ありません。

 今、同胞との会合を手配して参ります。

 少しお待ち下さい。」


「だ、大丈夫よ。

 ありがとう。ミア。後は頼んだよ。」


「かしこまりました。必ずや。」


 ミアは本当に優しいな。

 いいお姉さんだ。心では1番よ。


『言葉にできない〜♪』


 歌うな。


「ふう。申し訳ありません。

 大変お見苦しいお姿をお見せしてしまいました。お許しを。」


「気にしないで。ディアの心意気も伝わったから。俺は嬉しいよ。」


「はいっ!ありがとうございます!」


 嬉しそうに元気を取り戻してくれた。

 これでやる気が出るのもどうかと思うが。




「そろそろか?」


「キャスト様。」


 ウェイン君とアズドラ君のイケメンコンビが来た。

 人種関係なく、仲が良いPRは大事だね。


「ご準備が整いました。

 それと、勇者様方も来られました。」


「はいよ。行くか。」


『いよいよですね。』


 まだ法国にすら入ってないけどね。


 法国前に解決すべき点がいくつかあった。

 同盟の内容、それぞれの目的、予言の件、種族間でのわだかまりである。


「問題点が悩ましいな。」


「種族の問題は未だに解決しない難解な話です。」


「ですが、キャスト様であれば可能かと。」


「そうか?やれるだけやるけど。」


 ウェイン君も信者なのを忘れてた。


『客観視はできてますよ。自信を持って対談に臨まれるとよろしいかと。

 私も付いておりますので。』


 俺の見えない秘書(剣)も付くことに。


 『フライングボード』を出ると、勇者勢4人とダークエルフさんの代表方が何人かいた。

 フォリアとミレルメアは知っている。他は知らん。


「この前はどうも。」


「キャスト様。そんな、とんでもございません。

 こちらは危ないところをお救いしていただいた身です。感謝はこちらにあります。

 一族を代表して、お礼を。」


 フォリアは綺麗にお辞儀をした。

 なお、取り巻きはギャーギャーとうるさい。


『ミレルメア様が大人しいですね。』


 だろうな。

 ミアへの当て付けで、俺にあーだこーだ言ってただけだろ。


『よく見てますね。』


 それだけが取り柄ですので。


「うるさい連中だ。黙らせましょうか?」


 うちの女子たちもうるさい。

 一部男共も。

 気が散ってますよ。主に殺気が。


「やる気のところ悪いが、俺はお話をしに来てな。

 無駄な事に、いちいち時間を浪費する暇がない。」


 暇はあるけど。


『ものは言いようです。』


「そうね。彼の言う通りよ。」


「姉さんに賛成する。」


「コイツと同じってのはアレだが。お、お前ならいいぞ。」


 マイ・メイコンビは乗ってくれた。

 マナミも賛成してくれたが、顔が赤い。

 炎の勇者だけにか。


『上手くはないよ。』


「そーだぜ。こんな何もない山の中で立ち往生したくないんだよ。

 さっささと、終わらせてくれ。」


 バーナードのアホは相変わらずだ。

 お前そんなクールキャラじゃないだろうが。


「申し訳ありません。そうですね。」


「鼻につく言い方にだけど、分かってるわよ。人間。」


 ミレルメアさんは本当に分かっているのか?

 ミアとマナとは違って、意外と短期な面が見える。


「ま、いいか。んじゃ、俺が進めんぞ。

 最初は同盟内容の確認だ。

 俺たちは金・資源が主な目的だ。単純な動機だ。

 予言が何たらとか、興味はない。」


「ざっくりと言うわね。

 その方が分かりやすいから、返って取り繕われるよりはマシね。」


「かしこまりました。

 金銭はありませんが、代わりに提供できるものを後ほど、ご提示させていただきます。」


「なりませんぞ!王女様!」


「そうですぞ!」


 また外野が騒ぎ出した。

 何であんな奴らまで来てんだよ。


「少し、静かにしたらどうなのかしら?」


「!!あ、あなた様は!」


「どうして!!」


 リリーア学園長に皆が驚いている。

 フォリアは更に驚いていた。


「まさかね。」


「あり得る。」


「マジかー。」


「お姉様。いらしていたのですね。」


 ですよね〜。


『強力な方なので、何かしらあるとは思いましたが、かなり大胆なお立場にいらっしゃいますね。』


「せ、聖女様だ!」


「氷の精霊王サマ!」


「英雄がいるぞ!」


「氷結の女王様〜!」


 色々だな。


「それで?静かにするの?どうなのかしら?」


 すると、皆が静かに口を閉ざした。


「ありがとう。学園長。」


「もう。折角助けたのよ。名前で呼んで。」


「リリーア。ありがとう。」


「どういたしまして。」


「お、お姉様・・・どういうご関係で?」


「関係・・ね。そうね。恋人なの。彼。」


 何を無茶苦茶な。


『告白は体現してましたよ。』


 ぶっつけ本番ですね。行為に因んで。


『だから、上手くはないよ。』


「なっ!そ、そうなんですね?ウフフフ。

 キャスト様?これは一体どういう事ですか?」


 笑ってない。絶対に笑ってない。


「修羅場ね。」


「私たちは私たちで進めているから、貴方たちは話が終わったら来てね。」


 マイたちが俺、フォリア、リリーアで切り離そうとしている。


「まあまあまあ。」


「面倒いから。スケコマシ。」


「酷い!」


「勇者と変わらないわね。アンタ。」


「うん。キャスト。だめだよ。」


 メイとミレルメアにまで言われた。


「はっ。ザマァねえな。」


「お前には一生分からんだろうから、あまり突っかからない方がいいぞ。」


「何で俺だけ冷静に返してんだ!」


 バーナードに言われると腹立つ。


「あら?あなた。人の妹にまで手を出したの?」


「そんな冤罪な。」


「まあまあ。お姉様には手を出したので?」


 俺板挟みやん。


「旦那様!!聞いてませんよ!」


 言うか普通は。


「キャスト様。それでも私はあなた様をお慕いしております。」


 ディアはもう分からん。


 このままではどんどん増えていくので、終止符打つ事に。


「皆。今はそれを話すべきなのか?

 俺はそれでも良いぞ。全員に真摯に向き合うつもりだ。

 その上で聞かせてくれ。今必要なのか?

 俺はすぐにでも法国に行かないといけない。

 予言自体が既に動いているかもしれないからな。」


 一気に場の空気が静まった。


「ご主人様。こういう時にそれは狡いわよ。

 でも、そうね。お姉さんはその話に賛成よ。」


 ナタリアさん。


「ご主人様を信じます!」


 リタさん。いつのまに。

 背が小さくて分からんかった。


「私も。」


 センキまで。お久しぶりです。


 この勢いに全員が賛同してくれた。


「ありがとう。みんな。」


 こうして、ちゃんとした話し合いを進めていけたのであった。




 数時間後


「よし。これで決まりか。」


 まず、我々『ファミリア』が先遣隊を担う事に。

 勇者は別口で先行・調査すること。

 ダークエルフたちは外部の探索を行うこと。

 その際、うちのメンバーを何人か派遣する。


 よって、俺の護衛はディア、エイン、センキになる。

 強い英雄の方々はそれぞれのグループで指揮をとる事に。


 チームエルフズは俺と共に行動する事に。

 国内の情勢や国内部が分からないため。


 ドワーフチームはダークエルフの里近辺で待機する事に。

 武器の手入れと即席武器の作成に力を入れてもらう。


 斥候も何人かいるため、外敵に備えさることに。


『ざっくりのようで、ちゃんと役割があるのは良いですね。解りやすいですね。

 大元の目的さえ、達成していれば問題無いですから。』


 その通りだけどね。でも、イレギュラーが前提だ。

 イレギュラーの中でも各々の役割を果たしてくれれば良いが。


 不安の種は実る一方であった。

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