第2話 どうしてこうなった 2
いや〜普通チートとは言わないけどなんかあるでしょ!?
どうしてこうなる!!
せめて鑑定とか、ステータスみたいなのが備わってないの?
最低限もないの?一つでいいからさぁ!
先っぽだ・・・ゲフンゲフン!
キツキツ無理無理!
急に知らん土地に来させられ。
知らん貴族の一家に生まれたと思ったら三男でって。
あれ?割とやばくね。
スキルと魔力もないから。
あれか。前世に娘を置いて行ってしまった罰か何かかな。
いきなり苦労人生の始まりか・・・
「神官殿!本当に何も無いのか!!」
声を荒げて肩を掴み揺さぶり、神官さんを問い詰める父上だ。
「本当に何も表示されないどころか、感じることもなかったのです。
女神様からも何も映し出されてはおりませんでした。」
「なんと・・・・・それは真なのか」
なぜに父上は武士口調?とは思った。
「大丈夫よ。大丈夫だからキャスト。
私があなたの側に居るわ。」
・・嬉しいので泣き喚きます。
「やはり、皇国の第3皇女というハズレの子というわけか。」
いきなり不穏な発言をし、周りから視線を得たのが、次男のキクルというガキだ。
私もか。
「おい、不穏なことを言うな。
我々は母上が違えど大切な家族だ。
皆父様の子であり家族だ。
わかっているのか?」
長男のハルバンがいい事を言っている。
そのイケメンから想像できないくらい怖い顔をしてキクルへ詰め寄っていた。
「しかし事実です。義兄上よ。
事実以外何も無いのです・・・・
では、失礼します。」
言いたい事を言い終えたキクルは黒髪の黒騎士を連れて出て行った。
その後、神官さんもそそくさに出て行った。
おい。逃げんな。
えーと、何この空気。気まづ
武人オーラ全開の白髪ポニーテール姉上ことセイランから。
「大丈夫です。メイリーン義母上。
スキルや魔力がなくとも騎士として、1人の武人として強く、立派な人になれます。
いや。私がして見せます!」
「セイラン・・・・ありがとう。」
母上と父上から涙がでてる。
父上・・・鼻水垂れ過ぎ。
その後は解散し、私は生まれた部屋に戻り、母上の胸から栄養補給した。
そして、お腹いっぱいで寝てしまった。
今思えば、あの女神像ぶっ壊したくなってきたわ。
誰か近くに持ってきて。殴り壊すから。って今は無理だ。
成長したら覚えとけよこの野郎。
とある一室にて
黄金のドレスを見に着け、白い椅子に座り、白い机の上で茶菓子と紅茶を広げ、優雅に嗜んでいる。
その女性と向合うように座っているキクルが口を開いた。
「サルベリア母上。メイリーンは無事に無能を誕生させました。
これにより、次期当主の座は兄上か私のどちらかになりました。」
そしてキクルの目の前にいる女性から
「油断はできないわよ。愛しき我が子よ。
セイランが力をつければ次期当主候補に上がるわ。
女とはいえ、実績と武力の積み重ねによる力は大きいわ。」
「はい。仰る通りかと。
ですが、今はまだ義姉上とはいえ、年齢は2つ上の6歳と兄上と同じです。
今すぐにとはいかないでしょう。
しかし、このまま何もしないのも悪手ですので、何かしらの策や行動を起こしていきましょう。
(私が必ず勝って見せる!母上のため!)」
キクルの体は未だ小さい4歳の子供だが、胸の内に秘める野望は大きくギラギラとしている。
その目を見つめたサルベリアは感心しながら
「まあ、では少しずつですが。仕掛けをしていきましょう。
そうだわ。娘であり、あなたの妹キアラも利用・・・ではなく、協力させましょう。」
そして、とある一室にて不穏な会話が終わった。
キャストの寝室
心配と不安が重なりながらも寝ている息子を慈愛の目で見つめるメイリーン。
「かわいい寝顔ね。天使みたい。
ずっと見つめていたいけど・・・・そうはいかないわね。
今後どうしましょうか。あなた様。」
「うーむ、稀にだが、スキルの場合だが後天的な目覚めもあるかもしれない。
それまではゆっくりと育てていき、言語や必要知識、最低限の武力を身につけされるのが無難ではないかと思う。
一応、俺から息子や娘にも働きかけておこう。」
「そうね。じゃあ、それでお願いします。
多くの不安があるので、教育兼世話役が欲しいところです。
確か、マーシャの部隊から1人候補が上がっておりましたね。」
そう語ったメイリーンの視線の先には
金髪ショートスレンダー騎士ことマーシャ・クロイツ。
伯爵家現当主ドルガル・エンバイスが設立した豪炎の騎士団所属 第3番隊の隊長を務めている。
「はい。メイリーン様。
候補の騎士は既にドアの前にて待機させております。
お呼びとあれば、すぐにお連れいたします。」
「早速で悪いけど、呼んできてもらってもいい?
色々な事情も含め話さなければなりませんので。」
マーシャは綺麗な一礼と共に
「かしこまりました。
ミレルミア!入室を許可する。」
ドアの奥から
「承知しました!失礼します!」
ドアを開け、入室した女性の肌は黒く、耳が尖っている。
ダークエルフと言われている、見た目美しい女性である。
大きな胸にスタイルも抜群に良い。
髪は銀髪ショートで騎士団の3番隊副長を務めているその人である。
「失礼致します。
今回、教育兼世話役へ立候補させて頂きました。ミレルミアと申します!」
綺麗な一礼と共にハキハキと伝えた。
メイリーンは目の前の立派な姿に頼もしさを感じる。
「フフ。元気な騎士さんね。
これからよろしく。と言いたいところだけど。
その前に今回の結果と今後の話を聞いて欲しいの。」
「かしこまりました。」
その後、メイリーンの口から今回の件と今後のことが語られ、ミレルミアは話を聞き終えた後にキャストの顔を覗いた。
なんとなくだが見られていると感じた私・・。
もういいやと思い、僕はパッと目を開けた。
目の前には、なんと美しくて綺麗な女性であろうか。
程よい耳ピアスにスタイルの良さ、更に褐色や褐色!これ重要ですとも。
私の好みランキング上位に浮上しますとも。
そして、ミレルミアが見つめたのと同時に、
キャストはたまたま笑っていた。
屈託のない純粋な笑顔に惹かれるミレルミア。
だが、実のキャストは、(ふぇーふぇっふえっーたまらんのお)と、いやらしいおっさんの心そのものであった。
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