第158話 信者の原因

「いい加減、ストレスで胃に穴が開くな。」


「ストレスですか?それは大変な事です。

 私でよろしければ、是非ともお力になります。」


「私も力になるわよ。」


 グレースは比較的にまともだ。

 マルグリットは・・・・ノーコメント。


『原因を探られるので?

 確かに、初期はマスターのせいですが、2期目以降はおかしいですね。

 マスターが担当したガリウス様、サラティーナ様、カイ様は信者にはなりませんでした。

 むしろ、普通に尽くして下さいますね。』


 ちょー久々に聞いたな。

 後で会いに行くか。


 ヴィシュヌ、ウェインはイカれたな。


『死にかけの状態でしたから。

 ルシファル様とベルナーレ様は別の意味でおかしいですね。』


 アイツらは何か違うからな。


「とすると、問題は1期目か。」


「1期となると、初期メンバーでしょうか?」


「確か、ここの歴史講座で習ったわ。」


「何教えてんだよ・・・・」


 ここの歴史とか1番要らんやん。

 アイツ古株だよ。ぐらいで良いわ。

 こういうのも信者を誘発させる原因かもな。


『カリキュラム自体を見直す必要がありますね。』


「シアを筆頭に拡散してんのは間違いないが。

 ミアはそんな事はしないし、ロキもか。

 ヘルガーは怪しい。シェリオも引っかかる。」


「考えればキリが無いけど。」


「1番はあのイかれた肉塊騎士だろ。」


 マルグリットさん。そういうのは本人の前では口にしないでね。

 後々、疲れるから。


「アリシアね。彼女が1番の原因なのは間違いないわね。

 後は、各々で心からの信仰はあるけど、誰か新しく見繕ったりとかはしないし。」


「グレースの考えが今んとこしっくりくるな。」


「アレをお止めになられますか?あなた様。」


「無理。」


「諦め早いわよ。」


 だって、強いもん。


『アリシア様だけではなく、クロエ様も別口で勢力図を広げてますから。』


 ア・イ・ツもか!


『但し、黒龍内だけで治めているそうです。』


 それなら・・・・いいの?


『マスターの手の甲に聞いて下さい。』


 ああ、忘れてた。

 黒龍たちと契約の際、プチ焼を入れられた令呪もどきがある。

 何か力とか漲らないかな。


『そういう効果はありません。』


 別のはあんのね。


「あなた様。ここはあの女を殺しましょう。」


「極論過ぎよ・・・もうちょい頭を使いなさいな。」


 グレースさんがまともな事を代わりに言ってくれた。

 流石、俺の女だ。


「ありがとう。ヨシヨシ。」


「な、何で撫でてんのよ・・・」


 そう言いつつも嬉しそうなグレースさんだ。


「あ!ず、狡いです!私もお願いします!」


 別にそういうサービスじゃないんだけど。


「貴方ね。だったら、まともな意見の1つでも出したらどう?」


「ぐぬぬぬぬぬ・・・・いいだろう。」


 女の人でぐぬぬぬって言うの初めて見た。


「そもそも、どうして信仰が生まれるのか?ですかね。

 あの女はあなた様を愛してはいますが、独占欲というよりは仲間と共に愛される事?を目指しているような。」


「多分、シア的に自分が1番であり続け、他の奴らに恵みを与えるイメージの元で行動しているかな。」


「ちょっと曖昧だけど、言ってる事は分かるわよ。」


「であるなら、信仰心自体を打ち砕きましょう。」


「ほう。例えば?」


「はい。アリシア自身に危機感を抱かせます。」


「んーーんん?」


「追加で説明しますと。

 今現在は勢力が拮抗していますが、アリシア陣営の中から第一妃を敢えてピックアップさせ、徐々にアリシアの優先度をあなた様に下げてもらいます。」


 何か酷い事をしている気分になるな。

 しかし、言いたい事は分かる。


 自分を押し上げさせるための組織を作っているなら、それを内から崩せって事だ。

 他の奴らはシアに道を譲ろうとするが、俺が頑なに周りから選び続ける事で、周りが煩わしくなってくる。


 という感じだな。

 俺は俺で疲れるなコレ。


『かなり良い作戦かと。法国に行くので、ついでに作戦を実行して見ては如何ですか?』


「うーーーん。悪くないな。良くはないが。」


 撫で撫でとマルグリットを撫でてあげた。

 凄い喜んでいる。

 こんなんで良いのか?英雄よ。


「嬉しそうね。

 じゃあ、私たちも内々に動いてはみるわ。

 ダーリンはアリシアが聞きにきた時だけ、対応しておいてね。」


「はいよ。」


「間違えてはいけないのが、他勢力から引っ張るのは危険だという事です。

 新たな徒党ができるだけなので。」


「了解。

 しかし、シアの党が崩れたら他が勢い付くのでは?」


「それは恐らく大丈夫かと。

 そもそも他は増えることも無く、あなた様の妻になるため、努力を各々でしているだけなので。」


「何か面と向かって言われると恥ずい。」


『今更か。』


 だって、何か恥ずかしくない?

 こんな事無かったし!

 俺も余計に自分を磨かなくてはいけなくなったな。


『力もそうですが。人間として、まずは世界の常識と学業に励んで下さい。』


 1番ツライ。


『諦め早。』




 信者部屋から移動


「とにかく、グレースとマルグリットのお陰で何とか出れたな。」


 探検したいが・・・打ち合わせの時間か。


『ちゃんと覚えていたんですね。』


 打ち合わせって大事だからね。


 俺はエラルド・クロエ・シェリオ・ヴィシュヌの待つ会議室を気で辿った。


 ここか。


 コンコンとドアを鳴らしてから入室した。


「「おはようございます。お館様。」」


 アマギとクロエが挨拶をしてくれた。


「おはよう。」


 久々な気もしなくはない。


「おはようございます。キャスト様。」


「おはようございます。神よ。」


 シェリオとヴィシュヌも挨拶をした。


「おはよう。」


 後ろの護衛さんたちも挨拶してくれた。

 美男美女やね。何か負けました。


「若。今回は法国のメンバーと段取りを決める会議だが、いいか?」


「ああ。それで頼むよ。」


 エラルドが会議の指揮を取った。


「では、早速だが。

 1週間後に法国へと向かう事になった訳だが。

 龍国のような、ミス連発を晒す訳にもいかない。」


「エラルドの仰る通りかと。

 キャスト様の安全もそうですが、どう考えても対処や対応レベルが低過ぎでしたね。」


「だが、今回だけは違う。我らもそれなりに熟るようになった。

 神の道を作り、神をお守りするだけには至った。」


 神様呼ばわりやめて。背中痒い。


「ここかい?」


「ん?ああ。ありがとう。」


 何か大きな胸が背中に当たってる。

 この感触と大きさはルルだ。


『キモいです。』


 え?


「酷いな。学園から戻って早々に会議なんて。

 僕に先に会いに来てくれると思ったのに。」


「ごめんよ。ルル。後で顔を出そうとしたんだ。

 けど、余計な事にね。」


「全く、今日抱いてくれるなら許すよ。」


 な、ナンダッテェェエエ!


「貴様!神をそのような!」


「チキン風情が調子に乗るなよ。」


 クロエとヴィシュヌが怒りをむき出しにしてます。


「お前ら!会議ぐらい大人しくさせろ!」


「エラルド。いたんだ。やほー。」


「やほーじゃない!」


「そんなに怒らないでよ。禿げるよ?」


「お前らのせいだ!」


 分かる分かる。

 俺はストレスで胃に穴が開きそう。


『その分、下心で解消してるじゃないですか。』


 今日はかなり鋭い一撃だね。


『聖剣なんで。』

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