第159話 作戦とメンバー選定
「会議を進めましょう。」
シェリオは呆れながらも話を戻した。
「キャスト様の護衛は勿論だが、1番は任務をスムーズに遂行する事です。」
落ち着いて座ったクロエが。
「任務遂行は勿論だが、その場合は英雄で固めるのか?
適材適所で行くなら、任務のスムーズ性は極めて難しい。
特に、法国というエルフの領域です。
未知な分、スムーズ性よりも確実性と判断性に長けた者を意識すべきかと。」
この一瞬でそれが出るとは。流石は天才や。
あの紙には既にメンバーやら作戦の予定やらも書いてあるな。
『クロエ様は先も読んでいますから。』
しかし、1人におんぶに抱っこはいかんぜよ。
これを刺激に成長してほしい。
『社長らしい事言いますね。』
だって、社長だもん。
「でも今回はクロエたちは来れないだろ?」
「悲しい事にそうですね。
我々がお館様に同行すれば、必ずお役に立てましたが。
同行した場合のデメリットが非常に大きいです。」
「龍とエルフは仲がよろしくないですからね。」
「シェリオの言うこともあるが、1番は龍国との関係性がより悪化する可能性がある。
それに、我らの神によって救済されたばかりだ。今、国は立て直している状態だ。」
ヴィシュヌの言う通りだ。
龍国は今どこかの国に攻め入られたら確実に滅びる。
崖っぷちの状態だ。
勇者を派遣する事で国々との国交を上手く維持している。
下手な事はできないようになっている。
「勇者も政治の道具か。」
「外交という意味なら若の言う通りよ。」
「勇者勇者と言われていますが、お館様に比べれば所詮は人の子です。
限界はいずれくるでしょう。」
クロエさん。俺も人間やで。
『最早、人の認識をされなくなっていますね。』
か弱い人なんだけど。
『普通の人はあれだけダメージを受ければ、身体がバラバラになります。』
『気』の力って凄いね。
「そんな勇者に頼られる我々も大変だな。」
「エラルドよ。これはこれで旨い話だ。」
「ヴィシュヌの言う通りだ。」
「そうですね。エラルドたちも気付いていますが。
我がギルドの知名度の向上に、勇者や国との個人的関係性ができますから。
どちらかというと、特しかありませんね。」
「シェリオの話を総合すると、そんなに悪くないとは俺も思う。」
「ありがとうございます。
ですが、引っ掛かることが。」
「?」
「それは、キャスト様が必ず動かなくてはいけないことです。」
確かに何となくだけど、大きな案件に首を突っ込み過ぎなのでは?と感じる。
『マスターの奇妙さを買って下さっているのでしょう。』
奇妙で買うなし。
ゲテモノみたいで何かヤダ。
それに、俺よりも強い奴らはゴロゴロといるがね。
『普通に話しやすいとか、予言とかで色々と関わるからかと。』
関係性は大事だよね。
ただ、予言はもう嫌がらせ。
「神が前線に立たれる事で、我らの士気も高揚致しますが。
臣下である以上、それは望ましくない状態です。」
「ヴィシュヌと同じ意見です。
お館様は我らの背後にいて、後ろから支えて下されば良いのです。」
「それができたら1番楽だけどね。」
俺の最大の目標みたいなもんだな。
『徐々に叶いつつありますね。』
メンバーに難ありだから道のりはまだまだ長いよ。
「よし。では一旦、この話はメンバーを決めてからにしよう。
それで早速で悪いが、メンバー編成をしていくぞ。」
エラルドの議題に3人が頷いた。
「今回はキャスト様が出迎えられるということ。
ならば、最高戦力の護衛をお付けしましょう。」
「ヘルガー・ロキ・アリシアは学園の護衛をこなしている。
それに、今後も継続するだろう。
なら今回はミレルミアで決定か。
『シュバリエ』の上位人であるのに対し、クロエが出られないからな。」
「じゃあ、今回は僕が出る。」
今まで静かに話を聞いていたルルが口を開いた。
「良いだろう。どうせ暇していたんだ。
若の所でしっかりと働け。」
「はいはい。
キャストのために全てを捧げるよ。」
この堕天使お姉さんは何てけしからん事を言うのだ。
是非、よろしくお願いします!
『下心剥き出しのあなたが心配です。』
「ルルにミアか。これだけで相当、凄い事になるな。
あ、そうそう。今回付いてきた学園長こと、リリーアも追加でお願いします。」
「かしこまりました。
所で、また1人捕まえたので?」
「お館様。是非詳しく。」
「それは僕も聞きたいな。」
「お館様。観念して下さい。」
「神よ。私もお聞かせいただきたいです。」
女子連に急に詰め寄られた。
皆んな顔が怖いよ。
『死にましたね。』
あっさりと死刑宣告された。
「シェリオよ。次のメンバーだが。」
「そうですね。私的には」
2人は見て見ぬふりをし出した。
くっ!殺せ!
久々のセリフが出た。
「という訳で、こんな感じにまとまったか。」
リーダー キャスト
護衛 ミレルミア、ルシファル、マルグリット、エイン、ウェイン、センキ
斥候 アイン、ライカ、ウルリカ、ナタリア、アズドラ
魔法隊 ハイネ、カルバーナ、グレース、サラティーナ
サポート ドゴンド、リタ、リリーア、キュルキ
「これ獣人・エルフが多いな。
後はまばらって感じだけど。」
「あの地域に合わせた編成でもある。
それに、戦力は過剰な方がいい。」
「お館様。魔力が高めのメンバーでもあります。
あくまで、お館様のお力のカモフラージュにでもなればかと。」
「了解。要は俺の力自体を隠匿するのね。
エルフの奴らに厄介な目で見られるしな。」
「我らから、1人でも付いて行ければと思ったのですが。
申し訳ありません。
年数回のギルド定例会議があります。」
ナニソレ?また新しいのが出てきたし。
「ギルド定例会議は、主にSランクギルド同士で情報や組合から討伐等の依頼をまとめて聞く会議となっております。」
確かに、横の繋がりと他のギルドの情勢とかも知れるチャンスだしな。
どんだけSランクがいんのか知らんけど。
合同依頼とか、大型依頼もあるからな。
会議自体あってもおかしくはないか。
『その通りかと。
ただ、どこも我らを敵視する傾向が多いですから。』
またやらかしてんのか。アイツら。
『マスターに良くない注目がありますが、主な原因は女子たちにもあります。』
聞きたくないな。
もう分かりつつある自分が怖い。
『じゃあ、言いません。』
ありがとう。
「あんまり悪い事しないでね。
俺自体に問題もあるし、何とも言えないけど。」
「何を仰いますか!!
あのクソ共が神を侮っているだけです!」
お前らのソレのせいでもあるよね!?
「キャスト様。差し出がましいようですが。ヴィシュヌの言う通りかと。
キャスト様の素晴らしさを我々は理解しております。
しかし、他の者たちがどうも気に食わないそうです。」
「シェリオ。分かっている。
ただ、原因はそれだけでは無いだろうな。」
「ま、そうだな。若の件は絡んでいるが。
1番に厄介なのは
「だろうな。」
「確かにね。キャストの素晴らしさのあまり、暴走してんだろうね。」
「お前もだぞ。ルシファル。」
何したの君?
平気な顔で、私何もしてませんけどみたいな顔してるけど。
「先週、何人を神殿送りにしたのだ?」
「ああ。だって奴らが私に下心剥き出しで絡んでくるし。
それに、キャストを馬鹿にしてきたからね。
その報いを受けさせただけだよ。」
背後からギュッと強く抱きしめてきた。
胸の感触が・・・
「若の件で怒るのは解るが、死ぬ寸前だったそうだぞ。」
何してんのキミ?
ありがとうって言いかけたよ?
『殺人未遂の同伴者になりかけましたね。』
マジで危な!
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