第214話 マリュカスVSマルグリット、セイラン
「焚き付けられた。ですか?」
セレストから疑問を投げつけられる。
「ああ。今回は確実に怪しい。
って言っても毎回怪しい事に首を突っ込んでますけどね。」
ゾーンというイカれた研究者の確保、世界の真実のデメリットと考えれば妥当だが。
『何かしらの罠には掛けられましたね。』
罠に嵌りすぎだろ。
『お前らしくていいんじゃないか?』
その度にボロ雑巾なんですけど。
『お似合いかと。』
「何か酷くいじめられている。」
「???ご、ご主人様?大丈夫ですか?」
ウルリカさんが撫で撫でしてくれる。
優しい。
後、近いからお胸が当たる。ウフフ。
『キモ。』
久しぶりに厳しい2文字だ。
『もっと触れよ。』
正直な一言も入った。
「何ニヤケてんだ!」
ライカ、怒りのツッコミが入った。
「ご主人様。よろしければ私のをお触り下さい。いつでも大丈夫ですよ。」
ヴェルディさんもニコニコしながらお胸を差し出してくれる。
なら、遠慮なく揉み揉みと。
「ぶっほ!」
ライカに直接頭を叩かれる。
「気まづいですね。」
セレストが溜息混じりに呟く。
「!!!」
「な、何だ?どうした?」
「何かお姉ちゃんとしての勘が。」
「?何言ってんだ?」
敵の後方、城近くまで攻め入ってるセイランとマルグリットである。
「敵を引きつけているせいか、この辺は手薄だな。油断はできねえけど。」
「分かってる。
けど、向こうで暴れてるとは言え、こちらが上手くやらないと。」
「こんにちは。お2人方。」
マリュカスが城の影から現れる。
その横には緑ロングヘアーのエルフのテュナ、ツンツン髪の少女、ピンク髪のツインテール女がいる。
「敵の主力がこんなとこに居ていいのかよ?」
「ええ、大丈夫です。
人数や時間を稼ぐ面子はこちらにはいます。」
テュナは強気で答えた。
「そう。
じゃあ、こっちに顔を出したのが運の尽きね。」
セイランは剣を2本構える。
「うわあっ!血の気が多いね。コワコワ。」
ツンツン金髪女は挑発をしてくる。
「バッカね。アンタ下手な挑発をしないの。」
「何ぃ?ビビってんの?」
「あ?うっせ!」
「黙れお前たち。マスターが怒る前にね。」
「うっ。ご、ごめんなさい。」
「すいません。」
2人はマリュカスの名前をチラつかせると、やけに大人しくなる。
「大人しく不細工な犬だな。」
「マルグリット。言い過ぎ・・・・」
セイランも少し引いた。
「そうだね。少々その行動は不細工かな。
後でしっかりと教育しておくよ。」
ツンツン金髪とピンクツインテールたちは恐怖で身を震わせる。
「はあ。だから言ったのに。」
「彼に相応しい女性かな?って拾ったんだけど。
何かなあ。って感じ。」
「そ、そんな事ありません!
ご、ごめんなさい!マスター!」
「そ、そうです!すいません!すいません!」
「何だ?これ。」
マルグリットも疑問を抱く。
元から何かあるとは解ってはいたが、この2人の慌てようから只ならぬ何かを感じ取る。
「ほら、敵さんもやる気無くすから。」
「テュナぐらいかな。」
「私は彼に抱かれても良いけど。
彼自身には間接的に恩もあるからね。」
すると、セイランは更に一歩踏み込んだ。
「勝手に話を進めるな!私は彼の姉だ!
姉である以上、私が認めた奴としかキャストの隣は認めない!」
マルグリットも横で槍を2本構え。
「珍しく同調してやんよ。けど、私の方が相応しいぜ。」
「話聞いてたの?」
流石のセイランも呆れた。
しかし、等のマルグリット本人は知らぬ存ぜぬ。
「へえ。君たち程度がね。あ、でもセイラン姉さんの存在は知っていたよ。
キャスト君の周辺は調べ尽くしたから。」
「ストーカーなの?」
「そう言われるのは心外かな。
会う条件をなかなか満たせなかったからね。
そう見られてもしょうがないかな。」
そして、彼女は黒刀を構える。
「黒い刀身・・・・・」
「ほう。業物を使うだけの技量があんだな。」
「そうだね。魔法武器でもあるよ。
お嬢さんの槍と同じようにね。」
「はっ。解ってんなら早えな。」
マルグリットとマリュカスはジリジリと距離を詰める。
そして、素早く何撃か打ち合う。
その動きはあまりにも速く、セイランでも捉えきれていない部分もあった。
「へっ。やるな。」
マルグリットの肩と頬に斬れ跡が入っている。
対して、向こうは無傷であった。
「マルグリット!」
「解ってる。主人様も利口な女が好きだからな。
共闘すんぞ!」
セイランも改めて横に並ぶ。
「いいよ。2人で。こっちは1人でいい。
彼への商品を傷つける訳にもいかないからね。」
「仲間を商品・・・そんな奴をキャストが好きになる訳ないし!」
セイランとマルグリットはお互い初のコンビだ。
しかし、息は思いの外ピッタリであった。
槍の中距離攻撃、剣の近距離攻撃を上手く出し合っている。
そんなマリュカスは黒刀一本で綺麗に受け流す。
「チッ!器用だな!」
「どうも。」
涼しい顔で応対し、今度はマリュカスから仕掛ける。
「よし。サイハデン流『百花』。」
花びらのように綺麗に斬撃が舞う。
斬り込む先が見えず、コンマ数秒で100連撃が襲う。
「く、くそがっ!」
「まずい!下がって!」
セイランとマルグリットはその攻撃を捌けなかった。
しかし、お互い致命傷は守り避けた。
「だ、大丈夫?」
「ああ。治癒魔法で癒すが。時間は掛かる。」
「もう終わり?次行くよ?」
マリュカスは遠慮なく2人の方へ踏み込む。
「サイハデン流『居合 紅水』!」
「「!!」」
セイランは身を挺して、マルグリットを突き飛ばした。
そして、2本の剣で前を守るが。
剣事切られた。
腹部から出血が発生する。血が垂れている。
すぐさま、傷自体を『気』で癒しているが、時間が掛かる。
だが、一瞬で受けたダメージ量は相当なものであり、両膝を地面へ突いている。
戦闘は不可能であった。
「良かった。真っ二つじゃなくて。
少し加減はしたの。
お姉さんだもの。家族を殺したら私が嫌われてしまうし。」
マリュカスなりに手加減をしたようだ。
「仲間を守ったのも正解だね。
あの人まで斬られたらお終いだし。」
「それは・・・・どうも。」
セイランは力が入らなくなっている。
『気』で回復を努めるが、『気』の量が多い訳ではない。
そのため、体力の消耗により戦闘自体が危うい。
「ケッ。自分が動けなくなってどうすんだよ。バカが!
・・・・・本気で行くぞ。あまり使いたくはないが。」
マルグリットは『神装』を展開した。
雷の化身『トネドラ』と雷の槍を構え直す。
「『神装』・・・やっぱり片方は英雄ね。
なら、私も。」
マリュカスも『神装』を発動する。
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