第9章 学園レッツゴー

第119話 序列発表 俺いないんだが。

 どうも皆様。アリシアです。

 前回、主様のご実家騒動の件は見事、出し抜かれてしまいました。


 私はこの件を深く深く後悔しております。


 この怒りに、何度自分の頭を叩きつけたのだろうか。

 途中で、フェリシアが止めに入っていなかったらどうなっていたことか。


 しかし、主様はいつ見てもお美しく、勇ましいお方です。

 ご実家から戻られてからは、更にその磨きが増しておりました。


 嬉し過ぎて、何度逝ってしまったことやら。

 はしたないですね。申し訳ありません。


 前回の騙されたクエストは問題なく、遂行して参りました。

 その後に、エラルドを詰めましたが。

 ですが、我がアリシア隊の実力を推し量るには、丁度良いクエストでした。


 あのクロエなる奴の黒龍隊には負けはせん。


 確かに、クロエは頭がズバ抜けて良い。

 恐らくは、エラルドやシェリオよりも良い。

 アイツが来てからは、大きくギルドの情勢や利益率が変わっていった。


 Sランクの中でもより上位へと、持ち上げるほどにだ。

 実力は定かでは無いが、知能や知識では勝てんだろうな。


 他にもナタリア・ハイネ率いる、エルフ魔戦隊、グラディエの剣闘士隊、ブラスの隠密隊、ヘルガーの砂塵旅団、ミレルミアの騎士団と、まだ増え続けている。


 そんな中でも、我々は飛び切り腕も良く、個々の能力値や少人数における連携も良い。

 他の奴らとはレベルが違います。


 この力を証明する日が近い内に来るでしょう。


「皆、よく集まったな。」


 ここは4階の多目的ホールであり、会議や発表会などで使われている。

 エラルドとクロエが壇上で、スピーチと魔力映像で書類や個々の成績を映し出していた。


「噂は聞いてはいたと思うが、これから序列を発表していく。」


 クロエがマイクを代わり。


「その前に、約束してもらいたい。

 納得が行く行かないは個々の自由です。

 ただ、ここで暴れるな。

 悔しければ、結果で示して下さい。

 いいですね?」


 クロエが黒龍の威圧を出しながら話した。


「(それはお前も守れるのか?)」


 エラルドは心内に不安を抱えるのであった。


「では、エラルド。後はよろしく。」


 クロエから再びマイクを受け取った。


「まずは、序列の説明をしよう。

 他のギルドでは、冒険者ランクによる選別やギルド貢献によって地位を与えられている。

 

 たが、成績によっては、年々変わると知れ。

 そういう意味では、他のギルドには無い下克上を見れるぞ。

 新人も入った事だ。チャンスは誰にでもある。」


 拍手とおお〜という声がちらほや。


「だが、一先ずは今回までの成績で決める。

 いいな?

 次で、結果を持ってやり返せよ。」


 無言と沈黙が広まった。

 エラルドは本当にコイツらは守るのか?という不安に駆られている。


「まあいい。

 序列は上位部門の『シュバリエ』とその下の『ウォーリアー』で分けた。

『ウォーリアー』での1位〜10位と『シュバリエ』から1位〜10位となる。」


 緊張感が高まったのか、エラルドにも伝わった。


「では、初めに『ウォーリアー』部門からだ。

 呼ばれた奴は前に出てこい。バッジを渡す。


 10位リタ、9位アルケミー、8位イチエイ、7位フェリシア、6位サクヤ、5位アマギ、4位シェリオ、3位ベルナーレ、2位ヴィシュヌ、1位がナタリアだ。」


 それぞれが呼ばれた順に前に来て、バッジを受け取っていった。

『ウォーリアー』バッジは銀製でできており、剣2本が交差している形をしている。


「『ウォーリアー』以上だ。

 あくまで、この下位序列は上位へのチケットだと思ってくれ。頑張り次第だがな。

 次はメインを発表する。」


 ザワザワしていた空気が一気に静まっていった。

 皆、誰が呼ばれるかを見合っているようだ。


「ここは一人一人の方が楽しめるか?」


「いいから早くして下さい。」


 クロエが強めに言っていた。


「そうカッカするな。

 ・・たく、分かった。10位からだ。

 10位は・・・グラディエだ。」


「よっし!やったぜ!」


 キャスト大好き連中全員に睨まれた。


「あ、あの・・・なんか、すいません。」


 蛇に睨まれた蛙のように、一瞬で萎縮した。


「やめて!グラディエさんは!凄い人です!」


 エミールの妹である、アムールがそう言い放った。


「そうだ!

 僕たちのグラディエさんはキャスト様の所でも活躍していた!」


「分かった分かった。座れ。お前たち。

 グラディエの事は俺たちがこうして、しっかりと評価している。

 だから、安心せい。」


 エラルドは2人をヨシヨシするように、大人しくさせた。


「悪いな。エラルド。借りができちまった。」


「借りになるかこんなもん。

 気にするな。それよりもおめでとう。」


「おう。ありがとうな。」


 グラディエは金製の剣型バッジを受け取った。

 拍手と共に席へと戻っていった。


「では次だ。9位がハイネだ。」


「よっ、よっし!」


「やったわね!ハイネ!」


「やりましたわね!ハイネ様!」


「ナタリアさん。カルバーナさん。ありがとう!」


「ハイネは戦争の件然り、普段のクエスト等などの活躍が大きい。

 しかし、壁と破壊の請求費用がバカにならないため、今回は9位とした。」


 うぐっと。

 ハイネの心に何かが刺さっていた。


「そ、それ・・は。すいません。

 勢いというか。つい。」


「分かっている。

 若も絡んでおったのだろうが、少しは自身で判断してみろ。」


「わ、わっかりました!」


 ハイネもバッジを受け取ると、すぐに席へと戻った。


「続いて、8位は予想通りだ。ブラス。おめでとう。」


「うむ。確かに。」


 ブラスは静かにバッジを受け取った。


「これからも我がギルドを支えてくれ。」


「勿論だとも。主人様に誓ったのだ。

 ならば、この命はここで使い尽くす。」


 ブラスも席へと戻っていった。


「7位か。7位はセンキだ。前に。」


「む。なぜだ?」


「お前は何やかんや、護衛任務や若を直接護衛とギルドを護ったろうに。そこが大きい。

 それに、他ギルドの襲撃等も見事に防いでいる。」


「そうか。嬉しいな。ありがとう。」


「こちらこそだ。」


 センキはバッジを受け取った。


「次は6位だ。・・・・クロエだ。」


「フン。今は我慢しておきましょうか。」


「おめでとうございます。クロエ様!」


 アマギに続いてか、黒龍たちから賞賛の声と拍手が飛び交った。


「いちいち説明はしなくてもいいな?」


「分かってます。

 だからこそ、今は我慢してやると言ったまでです。」


 クロエは理解していた。

 新参者でここまで上り詰めたのも、元々の頭の良さが活かされているからだ。


「それならいい。次は5位クラウディアだ。」


 サッとクラウディア立ち上がり、前に出た。


「えらく無言だな。」


「これくらいは当然かと。

 ですが、まだまだ努力が足りません。

 キャスト様のお力をしっかりと物にする事と、アリシア様に追いつかねばなりませんので。」


「己をしっかりと見つめられる事はいい事だ。

 これからも励んでくれ。」


 クラウディアもバッジを受け取り、下がった。


「では、4位はミレルミアだ。

 当然、文句はないな?」


「分かっている。私がヘマをした。

 そして、旦那様に迷惑がかかった。

 本来なら、序列などに組み入れて欲しくないが、成績を見るなら・・。」


「そうだ。

 長い間、お前が支えてくれていた。

 俺はそれを知っている。それもある。

 けどな、若は常に危険に追われる男だ。


 だからこそ、お前たちと俺自身も含めてだ。

 若の危険を取り除かねばならない。

 決して、招いてはならんのだ。」


「・・・・。二度としない。

 もし、今度も捕まりそうなら、バレないように自害する。」


「それで若が悲しまなければいいが。

 そうはならんようを努力で埋めてくれ。」


 ミレルミアは下がっていった。


「では、いよいよ3位だ。

 3位はヘルガー。前に。」


「クソが。」


 悪態をつきながらも前に出たヘルガーだ。


「納得はいかんか。」


「いかないが、いく。」


「よう分からん。」


「頭では分かっているが、あの肉に負けたのが、本能では納得が行かないだけだ。」


 ヘルガーは雑にバッジを受け取り、下がっていった。


「では、2位だな。2位はロキリアだ。前に。」


「2位か。まあ、上々かな?」


「そうだろうな。

 途中加入でここまでの実績に、護衛ときたら優秀だぞ。

 それに、意外と常識も弁えているからな。」


「それはどうも。とだけ言っておくよ。」


 ロキリアは下がっていった。


「1位は・・・これ発表する必要あるの?」


 エラルドは予想どころか、ほぼ決まっていた答えに疑問を感じていた。


「しなさい。」


 アリシアから圧力をかけられた。


「はいはい。1位はお前だよ。おめでとう。」


「当然です。私以外に務まらないかと。」


 アリシアは当然と言わんばかりに、全員を敵に回しかねない発言をしていた。



あとがき


本日から新章開始です。

新しい職先でそろそろ働くため、時間が不定期になってしまいます。

誠に申し訳ありません。

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