第209話 レギオン 『コロッセウム』
「書状が届いたぞ。」
ウェインは帰還と共にギルドからの連絡を受け取っていた。
「お前たち・・・・」
ウェインは呆れた。
ボロボロになっているアリシア、ミレルミア、クロエ、ベルナーレがいた。
「いやのお。妾は止めよと申したのじゃ。」
「アルマも焚き付けて楽しんでいたんだろ?」
「神が見ているとはいえど、些かやり過ぎだぞ。」
アマギ、フェリシア、ミレルマナが4人を介抱している。
「全く、内容を言うぞ。
今回のレギオン先は予想通りの『コロッセウム』だ。
50対50の戦いだが、こちらはペナルティがある。
証拠も無い上での争いの火種扱いだ。
お陰で半数に減らされた。」
「いいじゃないか。
元より、そんなに人を割くことはできん。」
「アリシア。君の強さは解る。
だが、リスクがあるのは理解しておけ。
こっちが悪役の片棒を担がされてもいるんだ。」
「フッ。正義の味方な訳がないだろうに。
私以外は主様へ近付けば殺す。
例え仲間であろうとな。」
アリシアは刀を周りに向けていた。
敵味方関係無く、戦う姿勢を見せる。
「だが、私はそこまでバカではない。
主様が悲しまれる事はしない。
処罰は与えるがな。」
クラウディアはしくじった件を刑に処されている。
「荒いな。肉団子。そんなんでは旦那様は振り向かん。
私のような落ち着きがなければな。」
暫くの沈黙後、再び戦いが始まった。
「もう放っておきますか。」
「珍しく、アンタに賛成だ。」
ベルナーレとクロエは下がった。
「それで続きは?」
「ええ。向こうの『ブリゲイド』のマスターは英雄です。」
「でしょうね。予想はできていた。
あの仲間の萎縮具合を見るにね。
ついでに、仲間を切り捨てれる決断力もある。」
クロエは会議中、全体を観察していた。
「見事ですね。貴女の思う通りの人です。
仲間ですら手にかける。
闇ギルドにも名が通っておりますから。」
「して、名前は?」
「名前はマリュカス・クルーディア。
出自、家柄共に不明です。
いきなり、王国に現れた凶人と聞きました。
彼女の得意な武器は刀です。」
ベルナーレが反応した。
「何だ?似てねえか?」
「妾も違和感を抱いたぞ。」
「はて?私もそう思いました。」
アリシアとマリュカスは似ているように一致している。
髪型と髪の色が違うだけで、思考や行動、武器の特色から似ている。
「真似をした?そんな訳がないか。」
「では、たまたま?」
「考えても無駄なら無視すれば良い。
どうせ、ソイツの相手アリシアの予定だ。」
クロエは思考の切り替えが早い。
他にもメンバーの選定や『コロッセウム』での計画も同時に考えている。
「やはり、お館様の言質を取らねばな。」
「だから行きたいだけ」
「待て待て。なら、こうしよう。
俺たちで行こう。
それならいいだろう?」
ウェインは無難な提案したが、女性諸君の顔色はよろしくない。
が、渋々 OKをだした。
「んで、俺んとこに来たと?」
「申し訳ありません。お休みの所で。」
「気にするな。俺が役に立つなら頑張るぜ。
と言ってもだ。心当たりが無い。
4歳だったかな?その頃、森を出たしな。
それから修行三昧よ。
ホムラを助けたのもあるが、後は修行後だ。」
「となると。」
「ですね。」
クロエとウェインは何かに気がついたようだ。
「ほう。妾の星が言っておるぞ。
主よ。力がない頃に出会っておるな。」
「???3、4歳の辺りか?
うーーーん。いつだ?」
「こういう時、元お付きの騎士様がいるべきだが。」
ミアは只今、お取り込み中だしな。
「少し時間をくれ。思い出してみる。」
『んで?思い出せんのか?』
無理。
『即答かよ。』
小さい頃の記憶なんて俺がある訳ない。
『本当か?
年取り過ぎてボケてんじゃねえか?』
失礼な!ピチピチのそろそろ14歳ですぅ!
すると、お呼び出しがあったのか、メイドさんが連絡をしにやって来た。
「ご主人様。お話中に申し訳ありません。
お客様でしょうか?
ただ、争うつもりは無いそうで。」
そこには水色のミディアムヘアー美少女がいた。
「あらま。お早いご対面だ。」
「何をしに来た?」
クロエたちは警戒する。
「久しぶり。キャスト君。
覚えてる・・・って言っても、君は小さ過ぎたよね。」
「すまんな。貴女のような美しいお方を忘れてしまう私は罪な男だ。
許してほしい。」
『急にキモいなお前。』
籠手も剣も変わんねえ。口が悪りぃ。
「フフフ。面白いね。相変わらず。
私ね。キャスト君の言う通りに頑張ってみたよ。
そしたら、ここまで強くなったよ。
だから迎えに来たの。」
「お迎えね・・・・(ガチで忘れている。)」
「(アホじゃ。妾の夫は。)」
クロエやウェイン、ベルナーレは察してはいるが、口にはしない。
「キャスト君の周りに害虫が蔓延ってるから、まずはそのお掃除をしてからだね。待ってて。
あ、そうだ。君を傷付けようとした奴は粛正したから大丈夫だよ。
ごめんなさい。私の監督不行き届けなの。」
アリシアがもう1人いる。
「あの光の騎士さんも邪魔だから、彼女を消さないとね。」
「さっきから無視とはつれないのぉ。」
アルマ様が痺れを切らしたらしい。
「うん?ああ、星族の龍さん。
ごめんなさい。
キャスト君と会えて興奮してたみたいなの。」
『お前さん。変なのにモテんな。』
美少女だから良いもん!
最近、美少女は大魔王の代名詞になりつつある。
「他の人も初めまして。
そこの男性騎士さんが身元を調べていたけど、名乗るよ。
私はマリュカス・クルーディア。
皇国で没落した貴族の娘なの。
そして、キャスト君の1番弟子にして、最強の奥さんなの。」
1番弟子?俺は弟子を食い物に何かしないぞ。
『そこにツッコミ入れんのおかしくね?』
「最強か。買い被り過ぎでは?」
「証明しようか?」
マリュカスは刀を構えた。
そして、周りは臨戦態勢に入ったが。
「なーんてね。手の内は晒さないよ。」
シアよりユーモアがあるか。
フッ。面白い。
「キャスト君。今日は久しぶりの対面で退いてあげる。
次は私と一緒だね。」
マリュカスはそのまま消えた。
「テレポート・・・・」
「魔法も一級品か。」
嵐が去っていった。
「いやーー、今日もいい天気だね?」
コロコロと車椅子に乗せられている俺だ。
「何でやねん!?何で俺これっ!?」
ヴェルディが後ろから押してくれている。
「ご主人様。落ち着いて下さい。
数秒でも回復する方法に着手されただけです。」
お爺ちゃんか!
『実際、そうではありませんか。』
ジジイなんで剣もほっぽいて行きます!
『残念。それは呪いの装備であった。』
自分で呪いって言ったよね?今言ったよね?
「主様!お元気そうで何よりです。」
ぐすりと涙ながら近付く、シアだ。
シアは俺好みのギャル形態である。
そして、俺に近付けば俺のエデンが解放される事に。
「何をしている。」
ゴンッと頭にゲンコツを入れたミアだ。
ミアが守ってくれた。
俺という獣から。
『下らないです。』
『しょうもない。ホジホジ。』
今日も頭の中はうるさいようで。
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