41.始まりの街 西方面奥地にて
さてと。
朝食を済ませ、食休みがてらみんなでのんびりしているわけだが、相変わらず特に予定を決めていないんだよな。
どうしようかな…。ん、そうだ。セキとフェルがいれば今まで以上に遠くまで行けるんだよな。行先は…東の草原がセコンド方面だから、西側の遠くまで行ってみよう。
まだプレイヤーの移動手段は歩きだから、遠くまで行ってるプレイヤーってあんまり居ないはず。
さらに西側はただただ広い平原で、出てくる魔物は、素材が用途不明なことと、経験値が少なすぎることで有名なスライム。
旨みが全くないため不人気のエリアだから、人が滅多にいなくて、セキが走っても迷惑になりにくいエリアだ。
西門を担当している門兵さんに挨拶をして平原に出る。
見渡す限り平原で、草丈が短く、木などの遮蔽物がない。
「セキ、乗せてね。フェルは警戒を頼む」
「ガル」
「わふ」
最初は少し走る程度だったが、景色に見飽きて何か見えるまで全速力で走ってもらっていると、大きな湖が見えてきた。
「おお〜」
すごい、向こう岸がかろうじて見えるくらいのサイズだ。
太陽の光を反射し、キラキラと光っている湖はとても綺麗だ。
魔物がいるのか確認するために湖を覗き込んでみると、透明度がとても高く、泳いでいる魚、さらに湖の底までくっきりと見えた。魔物はいなさそう。
こんな所に綺麗な湖があるとは…運営はどうしてこんな所に用意したんだか。
出てくる魔物はスライムだけで、初心者でも余裕とはいえ時間がかかり過ぎるろだう。ピクニック目的で来るとしても距離が問題だ。
単に運営の嫌がらせかもしれないけどな。憩いの場を用意してはいるが、旨みがなくて開拓されにくい場所に置いておくってね。
プレイヤーが欲しているお米だって未だに見つかってないわけだし。
ま、そんなことはいいか。
湖だが、端の方でも結構深さがあって、水泳がしたいならともかく、水遊びには向いてなさそう。水遊びがしたいなら海へいけってことなのだろう。
いやー、釣竿作っておくべきだったな。あと船…とはいかなくても水に浮くことができる足場も欲しいな。いかだとか。
そしたらみんなでこの景色を見ながらピクニックとか釣りを楽しめそうだ。
「ガル…」
「ん?あぁ、セキは水が苦手か?まぁそうか。火の精霊だもんなぁ」
「ガルル…」
しょんぼりしているセキをなでなで。こんなセキの様子を見ると可哀想になるが、この景色は他の子達にも見せたいなぁ。
フェルは水とか大丈夫そうだな。湖に飛び込んで犬かきしている。
犬…うん。何も言うまい。
どこまでも広がる青空に、キラキラ光る水面。楽しそうにしているフェルと、時折ポチャン、と魚が跳ねる。たまに吹くそよ風が柔らかく肌を撫でる。
っとと、時間を忘れてボーッとしてるのもいいけど、ピクニックするなら準備しないとな。
帰ってから作ってもいいけど、せっかくこんなに広い場所にいるんだ、ここで作るとしよう。
インベントリに入っているもので、しなりがあって、結構な太さと長さのある木の枝があったのでそれをメインに。糸は…ん?グランドスパイダーの糸?とやらがよさそうかな。あまり数は多くないけど糸ってそんな使わないだろうし…うん、丈夫なのに細くて見にくい。これでいいな。
針は流石にないから、鉄インゴットをセキに熱してもらって、丈夫で平らな素材の上に乗っけて、買ってあったハンマーでカンカン。
うーん、不格好な形になってしまった。糸を結ぶ部分、魚が食いついたときにすぐに外れてしまわないように返しを意識して作ったんだが、初めてだし上手くいかないな。
これは流石に使えない。溶かして鉄インゴットに混ぜ、また針の形にカンカン。
それを数十回ほど繰り返しただろうか、ようやくマシな形になったのでこれを糸に結んでっと。よし、簡易的な釣竿完成!
次はいかだだけど…大きいのは無理かな?
3メートル四方になるようにインベントリにあった木を組み合わせていく。バラバラにならないようにそれらを紐で結んで…よいしょ。いかだの完成!
湖に浮くか試して…
「あれっ!?なんで!?」
ブクブクと沈んでしまった…
…はっ!木って水に浮くやつと沈むやつがあるんじゃないっけか?
試しに使った木を湖に浮かべようとすると…
「あちゃー、やっぱり沈むかぁ」
これは確認しなかったことが原因の失敗だ。
あれ?釣竿の方確認してなかったけど、ちゃんと針沈むかな?
よかった、こっちは大丈夫だった。
インベントリに入っている木を片っ端から湖に浮かべてみて…お、これなら大丈夫そう。
今度こそいかだの完成。
浮くのを確認して、俺も乗ってみて…大丈夫!
ふいー、一度失敗すると怖いなぁ。
なにはともあれ、これで準備出来たっと。
家に帰ったらピクニック用に弁当用意しようかな。
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お読みいただきありがとうございます。
なんと…フォロワー様が1000人超え…!
いつも読んでいただいて本当にありがとうございます。
これからものんびりほのぼのをメインに、のんびりと書き進めて行けたらと思います
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