26.王城にて

 高い高い、見上げないと上が見えない王都の外壁をくぐる。


「このまま城へ向かいますよ」

「了解」

「わーい!おしろ!」

「あんまりはしゃぎ過ぎるなよ?」


 城の手前で馬車を止め、レイスさんと歩いて着いていく。

 門兵にレイスさんが少々話しかけ、ついに城の中へ。

 石造りの城で、ファンタジーのイメージ通りの城だ。

 一応失礼にならないように簡易な立ち振る舞い方をレイスさんに教えて貰っていたため、そのまま玉座へ。


「では入りますよ」

「はい」


 緊張する。温厚な人だと聞いてはいるが、それに甘えて失礼な態度を取っていい訳では無い。

 扉が開く。

 派手過ぎないが貫禄を感じる格好をした王様と、とんでもなく美人の王妃様。いや若くないか?

 コホン。周りには大臣やら貴族らしき人が沢山立っている。

 王様達の少し手前まで歩くとそこで右膝を床につき、頭を下げる。


「時の旅人、もふたです。お招きいただきありがとうございます」

「よい。表をあげよ」

「はっ」

「此度はよくぞスキールニール殿を立ち上がらせてくれた。あの者は随分と前に剣を取らなくなってしまってな。心配していたのだ」

「いえ、私は私に出来ることをしたまでです」


 これは本心だ。


「それでもだ。褒美をやらねばな…ふむ…。おっとすまぬ。お前たちは今着いたばかりであったな。別室を用意するゆえそこで休息を取るがよい」

「はっ」


 こういう展開になることはレイスさんに聞いていた。

 別室に着いてメイドさんが用意してくれたジュースを飲み、一息つく。

 ふー。緊張した。


 コンコン


「はい、どうぞ」

「失礼します」


 やってきたのはレイスさんだ。


「お疲れ様でした。褒美については…」

「失礼するぞ。」


 続いて入ってくる王様と王妃様。


「えぇ!?王様!?」

「わはは。直接話を聞いた方が良いだろう」

「ふふ。失礼するわね」


 そして王様の足元に金髪の女の子が張り付いている。


「あ、えと、とりあえずお座り下さい」

「あぁ、そうさせてもらおう。さて。自己紹介が遅れたな。儂が モフテン・フォン・ルイ、このモフテン王国の王だ」


 あ、そんな名前だったのねこの国。


「私がエリザベス。ルイの妻よ」

「そしてこの子が第三王女のシャルロットだ。」

「よろしくお願いしますわ。」

「あ、も、もふたです。時の旅人です。よろしくお願いします。」

「ふむ。レイスよ、お前から見て彼はどうだ?」

「はい、正直で気遣いの出来る、心の優しい少年だと思います。個人的には気に入りましたよ」

「ほう、そうか。」


 え?なんでレイスさん、王様と仲良く…?


「ふふ。どうして王様と仲良くしてるのか、と言いたそうな顔ですね。自己紹介を改めて。モフテン・フォン・レイス。王国近衛騎士団団長兼第一王女です」


 とウインクする。

 くっ…あざとかわいい…。


「すまぬな。こいつはお転婆でな」

「び、びっくりしました…」

「ふふ、面白い反応してくれてありがとう」


 ふと、視線を感じてシャルロット様を見ると目が合う。

 なんだ?悪寒?


「っ!失礼しました、もふた様。」

「む。シャル、目を使ったのか!すまぬな、もふた殿。シャルロットは人のステータスなどを見ることが出来るんだが、それをされた人の中で気配に敏感な人には気が付くのだ。もふた殿は気配に敏感なようだな」

「な、なるほど。」


 それで悪寒を感じたのか。

 対面側に座っていたシャルロット様が立ち上がり、俺の膝に座る。

 ふわりといい匂いが…。


「え?え?」

「御父様。もふた様に一目惚れしました。褒美の件ですが、私をもふた様の元へ置くことではいけませんか?」

「ほう…。しかし押しつけになってしまっては褒美とは言えんぞ。もふた殿、どうですかな」

「え、ちょ、待ってください。…え?」


 えぇ…。ちょっと待って、頭が追いつかない。


「ふはは。そうだな、確かに直ぐには決められぬだろう。しかし…。シャルロットはその能力ゆえになかなか人に懐かなくてな。一目惚れとは更に珍しい。」

「もふた様から優しい雰囲気がすると言いますか…暖かい感じがします。精霊に気に入らている以上悪人でもありませんし、レイスお姉様を鬱陶しがったりしてません。色々と込みで一目惚れですわ」


 頬を赤く染めて俺の顔を見上げてくるシャルロット様。えと、こうも好意的に言われると恥ずかしいのだが…。

 シャルロット様は金色の長い髪をツインテールにしている美少女だ。小学生くらいかな?

 今考えると、別にロリコンじゃないんだが周りにロリが多い気がする…


「むー!おにいちゃんはあげないもん!」

「大丈夫ですわ。この国は一夫多妻制。妻が1人である必要はありませんから」

「そうなの!?じゃあゆるす!」

「はっはっは、随分と気に入られたな、もふた殿。こうなったシャルは頑固だぞ」

「う…はぁ…。ですがご存知だと思いますが、私に戦闘力がないので、守れるかは分かりませんよ?」

「そうだな…そこをどうするかな…。っと、もふた殿。今は人前ではない。口調も楽にして良いぞ。儂のことは王様でなくルイでよいぞ」

「あ、はい、ありがとうございます。でもせめて敬語はさせてください」

「誠実だな。よいよい、確かに気に入るな。嘘はつかぬ、相手を気遣う優しさ。どうやらシャルを受け入れてくれる様子。身の安全は影で目立たぬ護衛でもつけておけば良いだろう。よし!褒美は決めたぞ。シャルがもふた殿に嫁ぐことで王家が後ろ盾になろう。」


 なんか凄いことになったな…。




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 お読みいただきありがとうございます。

 王女(ロリ)が主人公に近付くテンプレですね。

 ロリ、好きなんです笑

 あと1人…いや、2人かな?ロリの加入を考えてます笑

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