25.お呼び出し
昨日は気付いたら夕方近くまで寝ていた。
他の子達は起きていなかったので起こそうと思わなかったので寝顔を見ながら撫でていたらあっという間に時間が過ぎていった。
暗くなると流石に冷えるので、暗くなる前に起こして、ご飯を用意してログアウトした。
たっぷりのんびりしたことでだいぶ軽くなった気分で今日もログインする。
「おはよう、みんな」
「おはようおにいちゃん。」
「おはようアニキ」
「わふ」
「ホー」
特に早くにログインした訳じゃないので昨日と同じようなジャム作りは出来ないため簡単にスープやベーコン入り目玉焼きなどとパンを用意する。
ご飯を食べ終わると一日の予定を考えるのだが…さて、今日は何するかなぁ。特に何も決めてないんだよな。
「アニキ。人来た」
「ん?」
クロが反応して少しすると扉がノックされる。
「はい、なんでしょう?」
扉を開けると立っていたのは、首から下を高級そうな鎧に身を包んだエルフの女性だった。
「失礼します、王国近衛騎士団のレイスと申します。もふた様のお宅で間違いありませんか。」
綺麗なお辞儀をし、そう名乗る彼女。とても様になっているこの礼儀正しさから悪い話ではなさそうか?
「はい、俺がもふたです。ご要件はなんでしょうか」
「は。セコンドの襲撃にてスキールニール殿からもふた様にお世話になったと伺いました。国としては今回の件を重く見ており、恩人である貴方様を城へ招待したい、とのことです」
「なるほど…。え?城?お世話になったって…俺はスキールニールさんに助けて欲しいって頼み込んだだけなんですけど…」
しかし国としての決定となると拒否することは出来ないよな。
「分かりました。俺はこの通り時の旅人なので、色々と疎いので作法など無礼にならないとよいのですが」
「我が王は懐の広いお方です。気になさいませんよ」
民思いとかで優しい王様だったらいいなぁ。
「あ、そうそう。2人の子どもや精霊もいると聞いてます。そちらの同行も大丈夫ですよ」
「お、ありがとうございます。今から向かうのでしょうか?」
「はい。もふた様には戦闘力がないとも聞いておりますので、馬車を用意しております」
「わかりました。では準備するので少しお待ちください」
「はい。急がなくても大丈夫ですよ」
「おにいちゃん、おでかけ?」
「あぁ。2人も着いてきて良いってさ」
「ほんと!いく!」
「わかった。それならいく」
「偉い人に会いに行くからちゃんと言うこと聞くこと。いいね?」
「はーい」
「じゃあ、レイスさん。よろしくお願いします」
「はい。騒ぎにならないように少し離れたところに馬車を止めましたので少し歩きますよ」
配慮がありがたい。
王都って何処にあるんだ?そういや聞いたことないな。
「王都までどのくらいかかるんでしょうか?」
「そうですね。セコンド、スード、フォウア、フィヴを経由した次になります」
「なかなか遠いですね」
つか名前よ。危うくツッコミそうだったわ。運営そこだけ手抜き過ぎんか?
「移動に随分と時間がかかりませんか?」
「えぇ、まぁ。この国は広いですから。」
「夜はログア…えと、時の旅人の特有の長時間睡眠を取らないといけなくて。」
「そうですね。今が朝ですので明日の夜に着くかと。」
イベントだからか、ボスなどスルーして移動に専念出来るのなら妥当の時間…なのか?
「昨日出発出来れば良かったのですが…」
「あれ、昨日来れない理由が?」
「あ、いえ。あんなに気持ちよさそうに寝ているのを起こす気にはなれませんよ。」
うっ、見られてたのか。
クスッと笑う彼女の顔に当てられたのか、恥ずかしさからか顔が赤くなるのを感じる。
「さ、着きましたよ。お乗り下さい」
御者だろうか、待機していた人に会釈をして中へ入る。
国が用意した馬車だから派手なのかなと思っていたが、華美な装飾がなく好感が持てた。
座席は柔らかく、長時間座ってもおしりが痛くならなそうだ。
両隣にクロとユキが座り、レイスさんが対面側に座る。実体化させると窮屈になりそうなため、フェルとククは姿を消してもらっていて、戦力を隠してるなどと怪しまれないようにレイスさんには伝えてある。
「ふわふわ〜」
「そうだね。見た目よりも実用性を重視してる、いい馬車だよ」
「そうですね。貴族の中では見栄えばかり気にして実用性を考慮しない馬車もありますが、こちらは実用性を考慮してます」
馬車が動き始める。ガタゴトと軽い振動は来るもののやはりおしりは痛くならない。サスペンダーだっけ?とかいう振動を軽減するものでも設置されてるのだろうか。どうあれ助かる。
「もふた様は時の旅人なのに戦闘力を持たないとは?」
「はい、そういった能力を犠牲にし、現地人の皆さんと仲良くなりやすい職業なんです」
「へぇ…。時の旅人というのは戦闘がお好きように思い込んでいました」
「多くの人はその通りだと思いますよ。ただ俺はこの世界を存分に楽しみたいと思っただけです」
「なるほど。ふふ。面白い方ですね。正直に話すとは。自分に戦力がないって言うのはもし私に悪意があったら大変なことになりますよ?」
「まぁ普通なら言いませんよ。貴方は信用した、それだけです」
ここまで凝って俺を騙すメリットがないしな。
それから道中はただの雑談をしたり、この国や偉い人達のことを聞いたりして、夜にログアウトを挟み、予定通り次の日の夜に王都へ着いた。
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お読みいただきありがとうございます。
毎回こんな風に後書きで語ってますが、読む側としてはどうなんでしょう。素人が頑張ってる様子やどんなことを考えてるのかを楽しんでたり?
不評なら感謝を述べるくらいにします
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